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Stravinsky/春の祭典 [バレエ音楽]

また、「なつかしの名盤」的なエントリーです。今回はデジタル初期の録音です。

ストラヴィンスキー:春の祭典

ストラヴィンスキー:春の祭典

  • アーティスト: ドラティ(アンタル),ストラヴィンスキー,デトロイト交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2003/07/30
  • メディア: CD

 

60年代後半から70年代にかけて録音の質が向上し、オーディオ・ブームの高まりもあって、この曲の録音が飛躍的に増えました。

アメリカのオーケストラだけでも、メータ/LAPO、ショルティ/CSO、バーンスタイン/NYP、ブーレーズ/クリーヴランドなどの録音があり、デイヴィス/ACOなども加わって、覇を競っていました。そこへ、デジタル時代の到来とともに殴りこみをかけたのがこのドラティ盤でした。

デトロイト・シンフォニーは、録音でしか海外のオーケストラを知らない私にとっては未知の楽団でしたが、当時、LPで聴いて、そのアンサンブルの精確さに驚いた覚えがあります。また、これはドラティによるところ大だと思いますが、テンポの切り替えが明快で、きっちりしています。

「春の祭典」のアプローチは大別して2種類、テンポを揺らす官能的なタイプと、場面場面でのリズムをキープするタイプとあると思いますが、ドラティは典型的な後者ですね。早めでさっぱりと進む部分が多いです。じっくり聴かせるところもありますが、全体に場面ごとの描写やテンポの切り替えが明確で、端整な印象を受けます。またこの印象は、録音によるところが大きいような気がします。

デジタル初期の録音は、今から思えばいろいろ試行錯誤が行われていた時期で、聴いていてなんか居心地の悪いものもありますが、この録音はかなり成功しているほうの部類に入るでしょう。あくまでたとえ話ですが、スコアを見ていて「ここの3番ファゴットが聴きたい」と思えばその音がわかるような録音です。分離が良いというのでしょうか、一つ一つの音がはっきり聞こえるのですが、かといってばらばらに聴こえるのではない、うまく言えませんが、そんな感じです。

ドラティの録音は、昔からそんな感じのものが多いですね。例えばマーキュリーでの1812年(本当の大砲の音が入っていることで有名な、アレです)やデッカでのカルミナ・ブラーナなどにも似たような印象を受けました。ドラティくらいの世代の指揮者があまり録音の結果に口を出すとは思えないのですが、実際のところはどうだったのでしょう。

さて、「春の祭典」の楽譜ですが、まだ国内版は発売されていません。いちばん手に入れやすいのは、ドーヴァーのリプリントのポケットスコアです。今なら円高で、いっそうお買い得になっているのかな?(^_^;

Stravinsky; The Rite of Spring (Dover Miniature Scores)

Stravinsky; The Rite of Spring (Dover Miniature Scores)

  • 作者: Igor Stravinsky
  • 出版社/メーカー: Dover Pubns
  • 発売日: 2000/07/28
  • メディア: ペーパーバック

 

もちろん、ドーヴァーの大判やBooseyの改訂版も出ています-リンク先から見られますので、あわせてご検討ください。なお、この曲に関してはまだ版の違いをきちんと見ていない(オーケストレーションが主な変更で、「ペトルーシュカ」や「火の鳥」のようにバッサリ変わった印象ではありません)ので、そのへんについてはまたの機会に。


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コメント 25

吉田

こんばんは。
「春の祭典」は一時期ブームでした。C・デイヴィスの録音が発売されたころ、柴田南雄のFM番組で聴き比べをやっていたのが今でも記憶に強く残っています。
ブーレーズ/フランス国立放送、ブーレーズ/クリーヴランド、メータ/ロス、ショルティ/シカゴ、アバド/ロンドン…。
ドラティとデトロイトのは、その番組の後に登場しましたが、もう今ではスタンダードになりました。いい演奏です。
by 吉田 (2008-12-15 22:21) 

stbh

吉田さん、こんばんは。
「春の祭典」、はやりましたね。私のスタンダードはメータ/LAPOでした。あまり情緒的でない、という点では、ドラティの録音に通じるところがあると思います(同じデッカですし)。最近の録音は知りませんが、個人的にはドラティとデイヴィスが双璧だと思っています。
by stbh (2008-12-17 22:27) 

Lionbass

(遅ればせながら…)
8年前、某大学オケのOB管弦楽団で演奏したとき、スコアは確かブージー版を買いました。
CDは誰のものか忘れましたが、DVDは小澤指揮です。オケはバイエルンかサンフランシスコだったような…。
by Lionbass (2008-12-18 15:46) 

サンフランシスコ人

「デトロイト・シンフォニーは、録音でしか海外のオーケストラを知らない私にとっては未知の楽団でした....」

サンフランシスコでは、以前FMでデトロイト・シンフォニーの放送がありました。

by サンフランシスコ人 (2008-12-19 08:06) 

stbh

Lionbassさん
おお、あのOBオケですか。タイコはあっという間にパートが埋まってしまったんですよね(;^_^A 小澤のDVDが出ているのですねー。
by stbh (2008-12-19 23:48) 

stbh

サンフランシスコ人さん
以前、ということは、最近は無いのでしょうか。最近はデトロイト・シティー(自動車産業の城下町)自体がいろいろとたいへんなのかもしれませんね。USのオーケストラはパトロンによるところ大でしょうから…。
by stbh (2008-12-19 23:50) 

サンフランシスコ人

海外のオーケストラの放送は、インターネットになりました。
by サンフランシスコ人 (2008-12-20 07:26) 

stbh

サンフランシスコ人さん

ネットラジオ、ということでしょうか。通常のFM放送でも、クラシック・チャンネルのような局がどこへいってもありましたが、最近はそうでもないのでしょうか。
by stbh (2008-12-22 07:38) 

サンフランシスコ人

「ネットラジオ、ということでしょうか。」

デトロイト・シンフォニーの場合、オーケストラのHPにライブラリーがあります。

http://www.detroitsymphony.com/buick/?page_id=32

by サンフランシスコ人 (2008-12-23 03:01) 

stbh

なるほど、そういうことなのですね。ありがとうございました。聴いてみます!
by stbh (2008-12-23 23:06) 

stbh

先ほど気がついたのですが、この録音、わずか1年足らず前にエントリーしていたのを全く失念していました…。われながら情けない。これからもまたやってしまうかもしれませんが、どうぞお目こぼしを…m(_ _;)m
by stbh (2008-12-30 22:12) 

サンフランシスコ人

「最近はデトロイト・シティー(自動車産業の城下町)自体がいろいろとたいへん......」

"The Detroit Symphony Orchestra lost just more than $500,000 in 2008, though the deficit would have been far greater if not for $2 million in last-minute emergency funding from some of the orchestra's most reliable donors. "

by サンフランシスコ人 (2009-01-12 04:28) 

サンフランシスコ人

FREE PRESS(デトロイトの新聞)• 2008-12-28

by サンフランシスコ人 (2009-01-12 04:34) 

stbh

"some of the orchestra's most reliable donors" ということなので、ひとり(1社)ではないのでしょうが、200万ドル=2億円というのは日本のオーケストラの予算規模に比べるとすごいですね。
by stbh (2009-01-15 22:49) 

サンフランシスコ人

デトロイト響録音再開!
by サンフランシスコ人 (2009-02-21 05:29) 

サンフランシスコ人

Thanks to Slatkin's ongoing relationship with the widely distributed Naxos label, four initial projects are planned. A Slatkin-DSO Rachmaninoff series starts with the Symphony No. 2 and "Vocalise," which will be drawn from concerts in September. (デトロイトの新聞)
by サンフランシスコ人 (2009-02-21 05:33) 

サンフランシスコ人

デトロイト交響楽団の来シーズンのスケジュール

http://detroitsymphony.com/upload_files/homepage_images/DSO_0910Classical_Grid.pdf
by サンフランシスコ人 (2009-02-21 06:57) 

stbh

デトロイトSOはNaxosにスラトキンとラフマニノフを録音するのですか!楽しみですね。スラトキンのラフマニノフは、セントルイス時代のCDを持っています。
by stbh (2009-02-22 23:45) 

サンフランシスコ人

デトロイト交響楽団のシーズンのオープニング

http://www.detnews.com/article/20090912/ENT01/909120377/1033/ent01/Slatkin-debut-a-promise-of-good-things-to-come-for-DSO

Leonard Slatkin plunged into his first full season as music director of the Detroit Symphony Orchestra on Friday night, and the occasion was more than auspicious. It was a concert to remember.
by サンフランシスコ人 (2009-09-24 06:42) 

サンフランシスコ人

「デトロイト・シンフォニーは、録音でしか海外のオーケストラを知らない私にとっては未知の楽団......」

"One could argue that no conductor today comprehends this music or frames its rugged profile more eloquently than Slatkin. This was a magnificent performance, a testament to the DSO's collective virtuosity and a ringing promise of a new chapter in its annals."
by サンフランシスコ人 (2009-09-24 06:45) 

stbh

スラトキンはなかなか評判が良いようですね。DSOのコープランド、ドラティの録音が懐かしいです(シンフォニーはなかったように思いますが)。
by stbh (2009-10-04 09:35) 

サンフランシスコ人

デトロイト響の大赤字が話題になってます。
by サンフランシスコ人 (2010-01-12 06:09) 

stbh

あれれ、大変ですね。デトロイトの不況が直撃なのでしょうか…。
by stbh (2010-01-22 18:09) 

サンフランシスコ人

「大変ですね。....」

http://www.detnews.com/article/20100123/ENT01/1230333/After-heart-attack--healthier-Slatkin-vows-to-protect-DSO

The DSO ended fiscal year 2009 with a $3.7 million deficit. Executive director Anne Parsons has said that if the current musicians' contract remains in force, the deficit for 2010 could hit $5 million. The DSO has reduced its administrative staff, and 10 positions on the orchestra's official 96-member roster remain unfilled.
by サンフランシスコ人 (2010-01-27 09:15) 

stbh

500万ドルですか…。今年も景気は悪そうですし、心配ですねえ。
by stbh (2010-02-06 18:38) 

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