Puccini/トスカ [オペラ]
「プッチーニ箱」からの第3弾は、「トスカ」です。まず「箱」はこちら。
Puccini: Complete Opera Edition 
そして、「トスカ」の単売はこちらです。
- アーティスト: Sherrill Milnes,Clifford Grant,John Gibbs,Michael Rippon,Paul Plishka,Giacomo Puccini,Russell Burgess,David Pearl,Leontyne Price,Francis Egerton,Plácido Domingo
- 出版社/メーカー: RCA Red Seal
- 発売日: 2005/10/04
- メディア: CD
「ボエーム」のところでご紹介したように、このCDは歌詞対訳がCD-extra仕様になって1枚目に入っています。
レオンタイン・プライスの「トスカ」といえば、
カラヤン/ウィーンとの1962年DECCA盤をまず思い浮かべる方が多いかもしれません。あちらがディ・ステファノ、タデイといった50-60年代に活躍した歌手たちで固められているのに対し、このメータ/ニュー・フィルハーモニア盤はちょうど10年後にあたる1972年の録音で、ドミンゴ、ミルンズという、70-80年代に活躍する歌手が多数出ています。「トスカ」と言うのは、悲しいストーリーの多いプッチーニのオペラの中でもいっそう凄惨です。何しろ、主役級の3人が全員死んでしまうのですから。プッチーニの美しい音楽に彩られて話が進んでいきますし、美しいアリアもあるのですが、人が死ぬ／殺される場面はおどろおどろしいです。よく「ヴェリズモ（写実主義）」的色彩がいちばん濃い」と表現されます。歌舞伎で言えば「世話物」みたいなところなのでしょうか。まあ舞台の時代は、作曲されたときより約100年前なのですが。
この録音はオーケストラが雄弁で、音として聴くにはよいと思います。特に第1幕の最後でオルガンが出てきたり、オーケストラが鐘や大砲とアンサンブルする（！）ところでは、立体的な音楽がよく音として再現されていると思います。その他の部分についても、プッチーニの作品の中では「トゥーランドット」に次ぐと思われるダイナミックなオーケストレイションが効果をあげています。なおオーケストラは、EMIから独立して一時期名称が変わった「ニュー」フィルハーモニア・オーケストラ、指揮は当時（1972年）、飛ぶ鳥をも落とす勢いだったメータです。
主役級の歌手陣で目立つのは、まずミルンズでしょうか。悪役スカルピアを力強く歌いきっています。しかしトスカに言い寄るところなどは甘くいやらしく迫ったり、変幻自在ですね。トスカのプライスもはまり役ですから、愛に生きるトスカを毅然と歌っています。第2幕のスカルピア殺しの場面と、第3幕の最後、カヴァラドッシが殺されたとわかったときの表現も聴きどころ。この二人に比べると、若き日のドミンゴはちょっと固いというか、表情が単調なように感じますが、まあもともとあまり複雑で性格的な役どころではないので、いい線は行っているのかもしれません。
録音年代は古いですが音もけっこういいですし、トスカに馴染むには格好のディスクかもしれません。スコアを見るのも面白いと思いますよ。今ならディスカウントもあるようです。
- 作者: Giacomo Puccini
- 出版社/メーカー: Ricordi - Bmg Ricordi
- 発売日: 2000/02
- メディア: ペーパーバック
おまけ１：このオペラはローマの教会や城などが舞台になっていますが、「ダ・ヴィンチ・コード」でブレイクしたダン・ブラウンの「天使と悪魔」を読んでこのオペラを思い出した方、いらっしゃいませんか？
おまけ２：この曲は絢爛豪華なオーケストレイションが特徴ですが、「惑星」を思い起こさせるようなフレーズが何ヵ所かありませんか？
レオンタイン・プライスは、サンフランシスコ・オペラに頻繁に出演しました。
by サンフランシスコ人 (2008-12-21 02:52)
サンフランシスコ人さん
そうなのですか！一流の音楽を身近に聴けるというのはいいですね。東京も一流のアーチストが来ることは来るのですが、どうにも敷居が高くて…。
by stbh (2008-12-22 07:40)
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