Mahler/Erde [交響曲(マーラー)]
私がマーラーを聞き始めたころは、「大地の歌」は第1、第4、第5あたりと並んでメジャーな部類に属していたと思いますが、最近はそれほどでもないでしょうか?「番号なし」が災いしてか、取りこぼされることがあるような気がします…。
- アーティスト: ベイヌム(エドゥアルト・ヴァン), メリマン(ナン), ヘフリガー(エルンスト), ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団, マーラー
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 2006/04/26
- メディア: CD
1950年のモノラル録音で、音は推して知るべしですが、早くになくなってしまったベイヌムの貴重な録音のひとつです。よくメンゲルベルクと対比されて「剛毅、実直」というような言葉で表されるベイヌムの解釈ですが、少なくともこの「大地の歌」は、それほど融通が利かない、という感じではありません。歌が入っていることもあるのかもしれませんが、歌うところは歌い、語るところは語っていて、ストレートな解釈です。特に第4・第5楽章のややワイルドな、早めのテンポに乗った勢いのある音楽と、第6楽章の幽玄な世界の対比は見事だと思います。ベイヌムについていくオーケストラ、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(まだこのことは「ロイヤル」ではありませんでした)もまたすばらしく、きちんと聞き比べたわけではありませんが、当時はひょっとしたら、マーラーを演奏させたら世界一だったのではないかと思えてしまいます。
この録音でテナーを歌っているのが、日本の歌曲を多くドイツ語で歌い、先ごろ90歳近くで亡くなったエルンスト・ヘフリガーです。彼のデビューは1942年ということですから、このころはすでにかなり活躍していたのでしょう。歌曲で聞かせてくれるはっきりとした歌い方はそのままですし、やはり壮年期独特の張りや勢いがあって、第1楽章など、ほれぼれしてしまいます。蛇足ですが、ヘフリガーが師事した人の中には、ワルターとこの曲を録音しているユリウス・パツァークもいるそうです。
今回、私は昔のレコードから落としたテープを聴いたのですが、最近のCDはけっこうリマスタリングもきちんと行われているので、(ごくたまにはずれはありますが)安心して聴けるのではないでしょうか。どうぞお試しください。
そうそう、スコアはこちらです。
オーケストラの編成こそ大きいですが、全楽器が同時に音を出すことは無く、第4楽章だけのパートがたくさんあったりして、全体の音はマーラーの歌曲並みに薄めですので、第8までの交響曲よりは楽にスコアを追えると思います。
こちらのDover版なら、日本語の解説はありませんが、大型版が若干安く入手できます。
Mahler: Das Lied Von Der Erde in Full Score
- 作者: Gustav Mahler
- 出版社/メーカー: Dover Pubns
- 発売日: 1988/07
- メディア: ペーパーバック
さらに、Doverのヴォーカル・スコアなら「さすらう若人の歌」「なき子をしのぶ歌」の楽譜も同時に手に入ります。自分で歌ったりピアノを弾いたりなさる方は、こちらも面白いですね。
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