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Mahler/Sym6 [交響曲(マーラー)]

マーラーの続きです。この録音が出たときは、「ブーレーズがウィーン・フィルとマーラー?」とびっくりしました。

Mahler: Symphonie No.6

Mahler: Symphonie No.6

  • アーティスト: Gustav Mahler, Pierre Boulez, Vienna Philharmonic Orchestra
  • 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
  • 発売日: 1995/04/11
  • メディア: CD

しかしそれも、もう10年以上前のこと(1994年の録音です)、すでに国内盤はアマゾンに出ていませんでした。第8を除いて全て録音してしまった、ブーレーズのマーラー交響曲全集の第1弾がこれでした。 ところでこの全集、最初のいくつかは美しい絵画のジャケットだったのですが、最近は無粋なブーレーズの写真で、つまらないですね…。

マーラーの「私のこれまでの交響曲を理解したものだけが、この交響曲を理解できる」という言葉に象徴されるように、器楽のみで古典的な4楽章構成をとっていながらも、これまでのマーラーの諸交響曲以上に重厚で難解な曲である第6交響曲、通称「悲劇的」。終楽章の3回(現行版では2回)のハンマーの打撃を、マーラーの人生の3回の打撃になぞらえて「運命的である」としたり顔で言うような評論家はさすがに少なくなりましたが(アマチュアではまだいるようですが:P)、一見古典的な構成の上に、オーケストレーションの粋を凝らした音楽を載せたこの曲は、マーラーの諸交響曲の中でもひとつの頂点だと言って過言ではないと思います。

演奏(録音)については、もうあちこちで十分に触れられているので、あれこれ言う必要はないでしょう。ブーレーズの、主観的な表現を排したといわれる解釈は、そっけなく、無表情だという誤解を招くことも多いようですが、聴いてみればなかなか起伏に富んでおり、決して一本調子ではありません。遅い部分はそれほど遅くなく、全体に流れを重視している(独自のルバートやルフトパウゼが非常に少ない)のが特徴で、主観的な解釈よりは、かえって聴きやすく感じます。

実は今回、ちょっと遊びを試みました。このCDをコピーし、第2、第3楽章を入れ替えてCD-Rにコピーして聴いてみたのです。もちろん、現在のグスタフ・マーラー協会の解釈である「アンダンテ→スケルツォ」の解釈を尊重してのことだったのですが、結論から言えば、これはアカンでした。第1楽章と第2楽章の間が短すぎ、気分が切り替わらないのです。

もともとの「第1楽章→スケルツォ」はA-durのコーダからAの連打によるスケルツォへの同質感を維持するため、アタッカで続く解釈もアリで、短いほうが好ましく思えるくらいでしたが、アンダンテ(緩徐楽章)への切り替えは、第2、第3交響曲ほどでないにしても、気持ちを切り替える時間が奏者、聴衆ともに必要だと思われます。いっぽう、他の楽章間は違和感は感じませんでした。特にスケルツォが終楽章へつながるさまは、説得力があるように感じられました。協会版の新解釈が徐々に敷衍していくものと思われますが、時間はかかるのでしょう。

OGTー95 マーラー 交響曲第六番(改訂版)

OGTー95 マーラー 交響曲第六番(改訂版)

  • 作者: マーラー
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 1998/12/10
  • メディア: 楽譜

これ↑はウニフェルザール出版の協会版(エルヴィン・ラッツ校訂)に基づく楽譜です。この他に、次に示すオイレンブルクのレートリッヒ校訂版があり、これは初版(初演時の楽譜)に基づいたものです。ハンマーが3発ありますし、オーケストレーションも微妙に違っています。スケルツォの最後などは違いがわかりやすいです。

オイレンブルクスコア マーラー/交響曲第6番 イ短調

オイレンブルクスコア マーラー/交響曲第6番 イ短調

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 全音楽譜出版社
  • 発売日: 2007/05/14
  • メディア: 楽譜

オイレンブルクには、ブルックナーの改訂版=初版(第3、4)がありましたが、これらは絶版になってしまい、ノーヴァク版の第1稿と入れ替わってしまいました。マーラーだけなぜ残ったかは、よくわかりません。また、なぜこの時期に全音があえてこの版を出版したのか、興味があるのですが知りません。どなたかご存知でしたらご教示ください。

<いちど半端な状態でUPしたので、全面的に書き直しています>


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コメント 2

mozart1889

stbhさん、こんばんは。
TBを頂戴しました。ありがとうございました。
僕はこのブーレーズ盤で開眼しました。それまで苦手だったんです。マーラーの6番も、ブーレーズも。
苦手同士のカップリングが良かったんでしょうか、この演奏はビンビン僕の中に入ってきました。オケの美音、録音は最上級、隅々まで楽器が聞こえますし、ドロドロしていないのもイイです。素っ気なく無表情と酷評されましたが、それは僕には良かったようです。
お薦めの1枚ですね。
by mozart1889 (2007-06-05 01:29) 

stbh

mozart1889さん、ご来訪とTBありがとうございます。
この録音は、ウィーン・フィルがいつにも増して美しく聞こえます。あっさりした解釈で、何度でも聴ける気がします。ドロドロの、主観的な解釈も、もちろん面白いんのですが、1回聴くとおなかいっぱいになりますね…。
by stbh (2007-06-05 06:56) 

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