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Mahler/Sym5 [交響曲(マーラー)]

次のマーラーは第5、ウィーン・フィルつながりでバーンスタイン/ウィーン・フィルによる、1987年の録音です。珍しいことに、フランクフルト交響楽団の本拠地、アルテ・オパーで録音されています。

マーラー:作品集

マーラー:作品集

  • アーティスト: オムニバス(クラシック), アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団, バーンスタイン(レナード), マーラー, ハンプソン(トーマス), ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, プファイファー(フリードリヒ)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2005/03/23
  • メディア: CD

オリジナルの美しいイラストのジャケットにこだわらなければ、あるいはバーンスタインの全集をすでに持っているのでない/持つつもりが無いならば、このCDは買いだと思います。グラモフォンの2枚組廉価盤(1500円!)であるパノラマ・シリーズは、この他にも魅力的な録音が収録されていることが多いように感じます。なかなか売ってないようですが(^^;

この曲は、マーラーの作風の転換点にあります。曲を楽章より大きな「部(Teil)」に分けるのは第1の初期稿や第3と似たコンセプトですが、第1楽章(序奏的な意味合いの葬送行進曲)を除けば、ソナタ-スケルツォ-緩徐楽章-ロンド・フィナーレという、古典的な楽章構成で、声楽を伴わず、形式的にも器楽的になったといわれる、いわゆる第2期(第5から第7まで)の先駆をなすもの、といえるでしょう。

私は最初、この曲になじめませんでした。映画音楽として名高いアダージェット、リズムがかっこいい葬送行進曲などはともかく、他の楽章は難解で、特に第2楽章が最後まで苦手でした。この曲が始めて「わかった!」と思えたのは、自分が乗った(出演した)最初の本番だったと思います。楽器はグロッケン(鉄琴)でしたので、第3楽章はかなりよくわかるようになりました。あと、それまでどうもまだるっこしくて苦手だった第4楽章が、実際に目の前で鳴り出すと、1和音1和音が、1音1音がとても美しく、次の音に移るのがもったいないように感じられたのです。

打楽器パートは、ホルツクラッパー(木の板を叩き合わせる「むち」)は使われていますが、得意のカウベルや鐘(チューブラー・ベルズ)などは出て来ず、大太鼓、スネア、シンバル、トライアングル、ドラ、グロッケンと、オーソドックスな楽器で固められています。また、第2、第3に比べると使われる頻度が減り、その分、いっそう効果的に、印象深くなっています。特に大太鼓は、第1楽章の最後とか、第3楽章のコーダとか、丸裸のソロが何箇所もあり、スリリングですね。もちろんティンパニは、第5楽章の最後をはじめとして全編バリバリで、やるのも見るのも面白いですよ。

このバーンスタインの録音、第4楽章(「アダージェット」)が褒められることが多いです。しかしそれだけでなく、あたりまえですが、バーンスタイン節がここかしこに作用しています。テンポを失いそうな、ヘヴィーなリズム、極端なクレッシェンド-デクレッシェンド、時にはリタルダンドもつける、など、かなりやりたい放題やっているのですが、そこはウィーン・フィル、きっちりと受け止めています(笑)

特に80年代のバーンスタインのマーラー演奏(録音)は、細部のしかけが強調され、テンポは落ち、いっそう耽美的になっています。これに短時間でついていって、録音していく作業に耐えられる団体として、DGはニューヨーク・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウとウィーン・フィルを選んだのでしょうか。来日時に超名演を聴かせた(らしい-私は聴く機会がありませんでしたので)イスラエル・フィルとも、シカゴとも、マーラーは録音しませんでしたね。


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おさかな♪

マーラー5番を演奏してから、やみくもに大量の演奏をすることの無意味さみたいなものを感じました^^。先日、マリスヤンソンスのマーラー1番を聴いてきました。
以来、最近寝る前に良く聴いています。
by おさかな♪ (2007-05-23 12:02) 

Lionbass

奇遇(?)ですね。
私はきょうのエントリーで、バースタイン=ウィーンフィルのブラームス4番(81年のライブ録音)について、以下のように書いたところでした。
<以下引用>
”ある意味「叙情的」です。
最近の「あっさりした」演奏を聞き慣れた耳には、「過剰に感情が入っている」という感じです。”
<引用終わり>

おさかな♪さま
はじめまして。
私も去年11月、ヤンソンス=ロイヤルコンセルトヘボウの「ベト8、巨人」というコンサートを聴きに行きました。
詳しくは↓
http://blog.so-net.ne.jp/lionbass/2006-11-29
by Lionbass (2007-05-23 14:30) 

stbh

おさかな♪さん
遠くベルリンからのnice!とコメント、ありがとうございます!
ベルリンでドイツ系(だけじゃないでしょうけど)の音楽を聴いたり、演奏したりできること、うらやましいです。満喫してきてくださいね。ブログ楽しみにしています。
by stbh (2007-05-23 22:40) 

stbh

Lionbassさん
ご来訪と、nice!とコメント、ありがとうございます。
実はその録音、私も言及しています。
http://blog.so-net.ne.jp/classicalandsoon/archive/20060218
もう1年以上前なので、文体が今とずいぶん違っていますが…。いずれにしても、やはり「バーンスタインのブラームス」になっていますね。ブラームスは、こざっぱりしたのよりもっさり、どろどろしてる方が好きです(^^;
by stbh (2007-05-23 22:47) 

Lionbass

stbhさま
「既にお書きになっている可能性はあるな」とは思っていたのですが、遡って調べてみるのをさぼっておりました。
早速トラックバックさせていただきました。

VPOならどんなどろどろの演奏でもよいのですが、へたくそなアマチュアがやるのはいかがなものかと…。(苦笑)
それに、年を取ると、どろどろに弾くのは疲れます。
by Lionbass (2007-05-23 22:58) 

stbh

Lionbassさん(すみません、「さん」で統一しているので、失礼させていただきます)

さっそくのトラックバックありがとうございます。恥ずかしい…(;^_^A
どろどろ、確かにだんだん面倒くさくなってきています、聴くのも、演奏するのも。

明後日が本番なのですね。田舎勤めゆえ、なかなか東京の演奏会には足を運べませんが、ご成功をお祈りしています!
by stbh (2007-05-23 23:14) 

サンフランシスコ人

一度、サンフランシスコ交響楽団の定期演奏会で、マーラーの交響曲第5番(MTT)を聴きました。


by サンフランシスコ人 (2008-03-09 04:55) 

stbh

MTTのマーラー全集の録音の時だったのでしょうか。よいですね~。
by stbh (2008-03-11 18:22) 

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