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Schmitt/Tragedie [管弦楽曲]

あっという間にGWも終わり、また日常が戻ってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。今日は、「もうひとりのシュミット」、フランスのフロラン(フローラン)・シュミットFlorent Schmitt(1870-1958)の代表作のひとつ、「サロメの悲劇(La Tragédie de Salomé)」作品50(1907)。そうそう、フロラン・シュミットは、吹奏楽関係の方には「ディオニュソスの祭」の作曲者として有名だそうですが、ご存知ですか?

「サロメの悲劇」は以前「バレエ」と書きましたが、もともとはパントマイムの台本をもとに、管弦楽曲として作曲されたものだそうです。私が聴いたのはこの↓CD(リンク先は以下すべてTOWERRECORDS)なんですが、HMVのサイトによると廃盤だそうです。買えなかったらごめんなさい。



Schmitt: Tragedy of Salome, etc / Various Artists

同じ演奏(マレク・ヤノフスキ指揮パリ放送管弦楽団・合唱団の演奏、1980年代後半の録音と思われます)が1枚ものでも出ていますが、こちらも入手は困難なようです。もしどこかで見つけたら、即ゲットをお勧めします。



Schmitt: La Tragedie De Salome/ Janowski,Marek

この曲には、私もLPで持っているマルティノン盤(EMI)があるのですが、これも現在は発売されていないようです。これだけではあんまりなので、現在、というかごく近い将来、入手が可能そうなCDをご紹介しておきます。

F.Schmitt: La Tragedie de Salome Op.50 / Thierry Fischer, BBC National Orchestra of Wales & Chorus, etc

「予約受付中」だそうなので、どうぞお試しください。で、ご感想お聞かせくだされば幸いです。

さて、CDの話でだいぶスペースをとってしまいましたが、この曲、「サロメの悲劇」は、ワイルドの戯曲ではなく、ロベール・ドゥミエールという人の台本(詩)に基づいて作曲されています。もともと1907年に小編成オーケストラ版が初演されています(シュトラウスの「サロメ」パリ初演と同じ年)。その後1911年に現在の特殊3管編成に拡大された版が演奏され、1913年にはオペラ座のバレエのレパートリーになったそうです。作品はストラヴィンスキーに捧げられていますが、その経緯・年次などは不明です。もし1907年だったとすると、フロラン・シュミットは、「火の鳥」も発表していない、無名に近い若手作曲家に、この曲を捧げたことになります。ちょっと謎ですね…。

曲は大きく2部に別れ、演奏時間は約25分程度です。第1部は、ヘロデ王の宮殿のテラスを表す「前奏曲」と、サロメの最初の踊りである「真珠の踊り」、第2部は、海上にソドムやゴモラなどの幻が見える「海の魔法」、サロメが預言者ヨハネの首を得る「稲妻の踊り」、そして正気に戻ったサロメが首に追い回され、嵐の中襲いかかられる「恐怖の踊り」からなっています。3管編成とハープ・各種打楽器を駆使したオーケストレイションで、これらの情景を余すところ無く描写しています。

カップリングの「詩篇47」は、祝祭的なその内容にふさわしく、華々しいファンファーレで幕を開けるのですが、この曲は低弦とホルン、ティンパニの曖昧模糊としたうねりから始まり、やがてコーラングレに主題が現れます。ゆったりとした主題を受け渡しながら、曲はもやが晴れていくようにだんだん盛り上がりクライマックスに達します。その後もう一度静まると、スケルツォのリズム(3/8)になり、「真珠の踊り」へ。3拍子に4音入れる特徴的なリズムは、ドビュッシーもよく使いました。何度も繰り返しクライマックスになりかかっては静まり、とうとう最後に、全オーケストラのトリルとハープのグリッサンドで熱狂的に終わります。

第2部は、コントラファゴットの代わりに指定されているサリューソフォーンのソロで始まります。これはオーボエやファゴットと同じダブル・リードで、サックスのような金属のベルをもつ楽器で、いろいろあった中で「コントラバス」の音域のものだけが残って、この名称で呼ばれているらしいです。ラヴェルが「スペイン狂詩曲」で使っています。その後、木管のソロやハープ、弦の刻みなどで幻想的な情景を描いています。クライマックスから静まると、女声(歌詞なし)が印象的な主題を歌いだし、妖しい雰囲気が高まってきたところで、突如変拍子(4分の3+1/2拍子)になり、「稲妻の踊り」が始まります。ここから5/4拍子の「恐怖の踊り」の終幕まで、色彩感に溢れた官能と恐怖の描写が続き、最後は急転直下、曲が終わります。

この曲を聴くと、官能的で色彩的で、ドイツのシュミットさんが(第4交響曲は娘のレクィエムだから、いっそう仕方ありませんが)いかにも禁欲的で内向的な印象を強くします。われわれ一般リスナーとしては、どちらがいいとかではなく、もちろん優劣でもなく、聴きたい気分のときに、聴きたいほうを聴けるのが幸せですよね。こういう作曲家(二人とも)を知ると、自分の音楽体験の幅がぐっと広がったように感じます。あまりCDが販売されていないのが難点ですが、ぜひ機会を見てお試しください。


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