Mahler/Sym8 [交響曲(マーラー)]
今回のエントリー、ハデ好きな私は「千人の交響曲」(笑)-このギャグわかった方、金曜の朝は眠くないですか?(^^
ちょっと順不同になりますが、今日は第8番。もう30年以上前の、ある意味、歴史的な録音が復刻されています。このCDはタワレコ限定なので、写真およびタイトルはTOWERRECORDSのサイトにリンクします。多少迷ったのですが、なくなる前にやっぱり買わなきゃ、と思って最近入手しました。
マーラー:交響曲第8番|ショスタコーヴィチ:交響曲第5番/朝比奈隆、大阪フィルハーモニー交響楽団、他
1972年6月、大フィル100回記念定期において、実際に1000人(以上)の奏者を集めた演奏会(マーラー)の録音です。発売は1978年、もちろんマーラーだけでLP2枚組でした。確か5000円以上したと思います。「ふええ、すげえ」と思いながらも高額に手が出ず、「へっ、所詮、日本のオケのイベントよ」かなんか言って強がっていたのではないかな。
この録音、発売当時から、演奏の粗さは定評(?)がありました。さらに、聴いてみると「全員オンマイク」のようであまりに残響が無さすぎ。しかし今からもう35年前、あの「人類の進歩と調和」の万博からわずか2年後の、マーラーブームが起きるか起きないかの時代に、これだけの人数を集め、破天荒な演奏会を行った事を思うと、細かいことは二の次三の次のはるか下で、1000人から噴出する音の洪水に身を任せるだけで、まだ前向きだった時代の高揚がよみがえってくるような感じがします。特に第1部の再現部、大太鼓がとどろく中、シンバルの一閃と共に主題が帰ってくるところからは震えっぱなし。第2部もやはり、女声の3重唱あたりから次第に気持ちが昂ぶって来ます。そして終幕の「神秘の合唱」が圧巻なのは言わずもがな。
朝比奈の解釈は、全体に遅めのテンポをあまり変えないで維持していますが、これだけの規模の曲ですから、小細工を弄さず基本に忠実なのが、もっとも望ましい形のひとつかもしれません。むろん、アマチュアを含むこれだけの大人数を纏め上げるのに、細かい部分にこだわりすぎるわけにはいかなかったという面もあるでしょう。これまで聴いた「千人」の中でも、変哲の無さでは一、二を争う録音だと思いますが、この曲は、実はそれで、音楽がそこで鳴っているだけで十分なのだということがよくわかりました。買ってよかった。泣けます。ぜひ聴いてください。
あえてこのCDに高望みをするとすれば2つ。マスターテープがそうなってしまっているのかもしれませんが、第2部の2箇所、すなわちLPで面が交代する部分で音がふっと消えてなくなります。これ以外の部分でずっと緊張を維持しているだけに、非常に残念な気がします。もう1点は、演奏会の模様を伝える写真が全く無いこと。版権の問題かコストの問題か、何があるのかわかりませんが、初出のLPジャケットは確か演奏会の写真だったような…(うろ覚えなので違っていたらごめんなさい)。片鱗でもいいから、この演奏会を視覚的にも共有させてもらえたらありがたかったと思います。
最後になりましたが、楽譜はこちら。
これだけ巨大な編成ですから、指揮者のようにきちんと音を追っていくのは大変ですが、「音とシンクロしている図形」と思ってボーっと眺めて、ページを繰っているだけでも楽しめると思います。いかがでしょう?
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