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Mahler/Sym2 [交響曲(マーラー)]

別の曲についつい色気が出て、今回のマーラー・シリーズはいっそう遅々とした進みになってしまいました(汗
戻しましょう。「復活」は、「6つの初期歌曲」「嘆きの歌」に続いて、シノーポリ/フィルハーモニア。

マーラー:交響曲第2番「復活」

マーラー:交響曲第2番「復活」

  • アーティスト: シノーポリ(ジュゼッペ), マーラー, フィルハーモニア管弦楽団, ヴァイクル(ベルント)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2001/08/22
  • メディア: CD

楽譜はこちらになります。価格は全音のほうが安いのですが、オーケストレーションが若干異なり、通常演奏されることが多いのは音友版(こちらの方がマーラー協会版(ウニフェルザール)のリプリント)です。ご注意ください。

OGTー1395  マーラー交響曲第二番 (改訂版)

OGTー1395 マーラー交響曲第二番 (改訂版)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 2005/11/09
  • メディア: 楽譜

スコア マーラー/交響曲 第2番 ハ短調 復活

スコア マーラー/交響曲 第2番 ハ短調 復活

  • 作者: マーラー
  • 出版社/メーカー: 全音楽譜出版社
  • 発売日: 2006/05/08
  • メディア: 楽譜

さてCDに話をもどすと、「嘆きの歌」とは違ってスタジオ録音なので、かなり整理された響きになっています。出た当初はヴァイオリンの対向配置が新鮮でしたね。対向配置はヴァイオリンが対位法的に動くマーラーでは面白く聞こえますが、演奏するほうから見ると、ヴァイオリン同士が指揮者を挟んでのアンサンブルになるので、なかなか難しいような気がします。

この「復活」はシノーポリのマーラー全集の中で第5に続き2番目に録音されています。こなれていない、ごつごつした感触は、フレーズのつなぎをあえて滑らかにしなかったり、テンポをはっきり変えたりしているところから感じられるものでしょうか。もともと「計算された劇的な表現」を好んでする人ですが、その特徴が顕著に出た録音だと思います。

劇的な表現は、やはり第1楽章に顕著です。早いテンポで神経質な表情の第1主題と遅く夢見るような第2主題の対比のように、隣り合う部分のテンポをあえて断絶させてつなげたり、アッチェレランド+クレッシェンドの後半に「タメ」を持ってくるなど、随所に緊張感を織り込んでいるので、聴くほうも呑気に構えていられません。もう1点、コーダのpppppのヴァイオリンがこれほどかすかに聞こえる演奏も珍しいのではないでしょうか。エンジニアもシノーポリの意図を忠実に汲み取ろうとしているのだと思います。

第2楽章は、やや早目のテンポで、あまりフラをつけずに優美に、というよりは快活に進みます。ちょっと元気すぎるかな、くらいの印象を持ちます。対して第3楽章のスケルツォは、あえて遅いテンポでシリアスさ、晦渋さを強調しているようです。ハ長調→ニ長調→ホ長調と上がっていくファンファーレも、ここでテンポを速める演奏が多い中、押し殺したような重い表情のまま進むのがいささか欲求不満に感じられます。しかしこのテンポのおかげで、第5楽章冒頭を先取りした「爆発」の部分が、単なる混沌でなく精密に組み立てられていることが良くわかります。

遅いテンポは第4楽章も同じです。この楽章は例外的にポリフォニックな要素が少ないので、ひとつひとつの響き(和声)を重視した結果、必然的に遅くなるのでしょう。第3楽章とおなじように、終楽章冒頭は、テンポ感のある、明晰な印象を与える演奏になっています。非常に細かいことですがちょっと違和感があるのは、出だしの上行音形の最後のCと重なるドラの音が、1小節後のb-mollの和音(+シンバル)にかぶっていないで消えてしまうこと。スコア上は続いているので、編集の結果と思わざるを得ません。

長大な第5楽章は、何箇所かテンポ運びで「あれっ?」と思うところもありますが、基本的にスコアに忠実で、ことさら聴きやすく処理するでもなく、粛々と進んでいきます。全体は比較的遅めのテンポで、語りかけるようにじっくりと演奏されるので、何か哲学の講義でも受けているような気になってしまいますね。しかし、最後の最後のコーダは大爆発。テレビ中継された、来日時の「復活」演奏のときの表情を思わず思い出してしまいました。

最後にちょっと個人的な話題を。この曲は、ご存知のようにバンダ(舞台裏)に大太鼓+シンバル+トライアングル、およびティンパニが必要ですが、持ち替え、というか表から裏へ行く時間がものすごく短いのです。私は幸か不幸かこの曲の本番2回ともバンダが当たり、特に合唱が入る直前の部分のティンパニなど、舞台から去るまでは悠然と(しかし目立たないように)姿を消し、舞台上から消えたあと脱兎のごとく、しかし抜き足差し足で楽器まで走っていって演奏したのを覚えています。


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コメント 2

吉田

こんばんは。
シノーポリの「復活」はCDを聴いたのと、それから来日公演をテレビで観ました。
どちらも、神経質なまでに音を精妙に響かせるのですが、それの積み重ねがラストのものすごい盛り上がりにつながってゆくあたり、俯瞰的な計算も常に意識していたのでしょう。いい演奏です。シノポリは聴かせ上手な指揮者でありました。
by 吉田 (2007-05-03 00:26) 

stbh

吉田さん、コメントありがとうございます。シノーポリの解釈は、細部にこだわりすぎる感じがしてあまり好きではありませんでした。「復活」のテレビを見て、「おお、こいつこんなに熱いんだ」と思って以来、見方(聴き方)が変わりました。惜しい人を亡くしましたね…。
by stbh (2007-05-03 05:02) 

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