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Dimanche#25 [実演]

オーケストラ・ディマンシュの第25回定期演奏会を聴いてきました。場所は葛飾シンフォニー・ヒルズ。1992年竣工、1318名収容の大ホール、「モーツァルトホール」ですが、私は初見参(^^;

曲目はもちろん、これまで紹介した、
ベリオ:レンダリング
フランツ・シュミット:交響曲第4番

指揮は同楽団常任の金山隆夫氏。ディマンシュを聴くのは初めてですが、もらったパンフレットやサイトを見ると、毎回かなーり凝ったプログラムで演奏会を開いているようです。しかし今回はシュミットはともかく、ベリオですからね、輪をかけてとんでもない、普通アマチュアが、というかプロもやらないようなプログラムです。

お客さんは、失礼ながら、思いのほかあまり多くありませんでした(6割くらい?)。おかげで2階2列の真ん中という、ほぼベストのポジションで聴くことができました。団員がそろう前、1stヴァイオリンの人が出たり入ったりしてましたが、なんだったんでしょうか?とにかくオケがそろうと、指揮者登場、とここまでは普通なのですが、指揮者がやおらマイクを取り上げ、「皆様、ようこそ」!うっひゃ、レクチャー・コンサートか!

いつもレクチャーがあるのか、今回が特別なのかはわかりませんが、ベリオの「レンダリング」について、原作のシューベルトのD936Aのリアリゼーション(ニューボールドと、誰だっけ(汗)とベリオ作品の比較。オーケストラの規模は同じでも、ベリオ作品が格段に近現代的な響きを持っているのがわかりました。さらに「レンダリング」とは「修復」という意味で、シューベルトの草稿の欠けている部分を、明らかにそれとわかるように、チェレスタを媒介に指定つないでいること、「つなぎ」の部分は本来何も無いところなので、小さい音でわけがわからなく演奏するのが作(編)曲者=ベリオの意図であること、「つなぎ」の部分は、D936Aだけでなく、さまざまなシューベルトの作品から引用されていること、などが演奏例とともに解説される。なるほどこれはわかりやすい。管楽器の特殊奏法(同音トリル、各種ミュートなど)も紹介されていました。

演奏も、かなり(特にベリオのオリジナルの部分は)難しいと思われますが、正確なアンサンブルでしっかり演奏されていました。シューベルトの明晰な部分と、ベリオの混沌とした部分の対比も美しかったと思います。弦(特にヴィオラ以下)の人数が少なかったせいか、トロンボーンやホルンのコラール的な部分では、音量的に若干負けているのではないかと感じましたが、十分許容範囲、ベリオの意図した世界が表出されていたと思います。

休憩を挟んで、メインのシュミット第4交響曲。ここでも最初にレクチャーで、トランペットの冒頭主題とチェロのアダージョ(第2楽章主題)を例題に、最後でも回想されること、全楽章を通して形を変えながら再現されることが説明されます。全体がアーチ構造というのは、スケルツォ部分の位置づけがいまひとつ不明確ですが、第1楽章と第4楽章が鏡像を意識して書かれたというのはうなずけなくもありません。

1930年代に作曲されたというのが信じられない、べたべたにロマンティックな、それでいて悲しい曲です。3管編成なのにフルートは2本で、和声は低音重視になっているので、やはり低弦が少ないのは苦しいところですが、よくがんばって、良いバランスを出していたと思います。スケルツォあたりはかなりへばってきていてアンサンブルが一瞬危ないところもありましたが、基本的に曲想どおりの美しさが再現されていたと思います。冒頭と最後のトランペットを初めとして、チェロ、ヴァイオリンはもとより、管楽器もソロの多い難しい曲だと思いますが、よく消化されていて、一体感が強く感じられました。

なお、指揮者は先日無くなったロストロポーヴィチ氏とワシントン時代に親交があったようで、彼の家を訪ねたときの思い出話を語ってくれました。ちょっと訥々としていて、必ずしも聞きやすい話し方ではなかったのですが、かえって親しみが持てるようでもありました。で、アンコールもレクチャーつき(笑)で、ストラヴィンスキーのサーカス・ポルカ。これはニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで象のサーカスが踊っているところなんだそうです。シューベルトの「軍隊行進曲第1番」のメロディーが最後に出てくるから、つながっているんですね。難曲のはずなんですが、やすやすとこなしているのはみんなウデがいいんですねえ。

個人的には、打楽器は全員知人、そのほかに知人なし(あ、ネットで有名なベースの神崎さんはいらっしゃいましたが)という初めての体験でしたが、堪能しました。打楽器は名手ぞろいなのがわかっているので安心して聴いていられました。ベリオは淡々と、クライマックスで最小限に使われているシュミットはダイナミックに、アンコールは颯爽とこなしていました。特にTちゃん、かっこよかったよ~。

今回のコンサート、最初に書いたようにお客さんは満員というわけにはいきませんでしたが、聴いた人は貴重な体験が出来たと思います。少なくとも私は、至福の時を過ごしました。アマチュアオケの演奏会に行ってこれほど気持ちよかったことはそうそうないと思います。次はシベ7とコルンゴルトのシンフォニエッタ(知りません…)ですって。でも、きっと面白いんだろうな(^^


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Lionbass

stbhさま
ここでははじめまして。
Lionbassこと獅子頭特大提琴こと52Cb某です。

ディマンシュは某S大学オケの関係者がたくさんいることは知っていますが、まだ聴いたことはありません。
葛飾も行ったことがありませんし…。

ともあれ、RSSに登録させていただきました。
ちょくちょく覗きに来ますので、よろしくお願いします。
by Lionbass (2007-05-01 10:30) 

stbh

Lionbassさん、ご来訪とRSS登録、ありがとうございます。そういえば、So-netだったんですね(^^;

ディマンシュも葛飾も初めてでしたが、曲の面白さもあって、楽しめました。ホールもきれいに鳴る、よいホールでしたよ。ぜひ一度、聴くか乗るかしてみられることをお勧めします(笑)
by stbh (2007-05-01 15:45) 

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