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Berio/Rendering [管弦楽曲]

オーケストラ・ディマンシュhttp://www.o-dimanche.org/つながりで、イタリアの現代作曲家、ルチアーノ・ベリオ(1925-2003)がシューベルトの未完の交響曲D936Aの草稿に基づいてrendering(解釈、表現)した「オーケストラのためのレンダリング」(1990)を。

ベリオ~シューベルト:レンダリング&モーツァルト:協奏交響曲[復元版]&ハフナー交響曲

ベリオ~シューベルト:レンダリング&モーツァルト:協奏交響曲[復元版]&ハフナー交響曲

  • アーティスト: スダーン(ユベール), ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団, ベリオ, ハッセ(イングリッド), ウンテラー(イザベラ), シュヴァイガー(ヴィリー), ヴィッマー(エドゥアルト), モーツァルト
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2004/12/22
  • メディア: CD

 

私の聴いているのは輸入盤ですが、いずれにしても、指揮は、当時のモーツァルテウム管弦楽団主席指揮者で、現在、東京交響楽団の音楽監督をつとめるオランダ人ユベール・スダーン。ザルツブルク音楽祭、モーツァルテウム大ホールでのライヴ。1999年と2002年の両方の日付が書いてあり、この曲がどちらかはよくわかりません(^^;

シューベルトの交響曲のスケッチを、現代音楽風の響きでつないで楽章を完成させた作品。ベリオの「解釈」は2管編成(ホルン2)で、シューベルトのオーケストラを踏襲していますが、「作曲」部分にチェレスタが入っています。この曲の醍醐味は、もちろんシューベルトの交響曲を再現する、というよりベリオの構成のウデを楽しむところにあるでしょう。とはいえ、正直、シューベルトの部分のほうが容易に耳になじむのは致し方ないところですね。現代音楽風の不協和音やリズムの明確でない響きが耐えられない方は、欲求不満になってしまうかもしれません。

D936Aというニ長調の交響曲は、シューベルトが死の年(1828)に書き始めたと言われています。「ザ・グレート」D944より若い番号がついていますが、ドイチュ番号がつけられた当時、「ザ・グレート」は1828年に作曲されたと考えられていたからだそうです(現在、「ザ・グレート」の作曲年代は1825年説がもっとも有力)。シューベルトの交響曲の作風は「未完成」(1822)を境に大変換を遂げるのですが、その最後の到達点がこの曲、ということですね。

第1楽章、快活なDのユニゾンからしばらくは、シューベルトの草稿のまま音楽が進みます(たぶん…。私は「スケッチのみ」の演奏・録音は聴いたことが無いので)。響きがだんだんクリアーでなくなってきて、「あれ?」と思うとチェレスタの響きが…。拍子感、調性感のない部分から唐突にD-durに戻るのを聴くのは、だまされていたような気分になります。この部分のシューベルトのスケッチはかなり残っているようですね。提示部の最後のようなAのピツィカートが「なんか不気味だな…」と感じたころには、曲はすでに第2の「ベリオ節」へ。しばらく瞑想のあと、トロンボーンのコラールからまたシューベルトに回帰。快活に楽章を閉じます。

第2楽章は緩徐楽章、妖しげな雰囲気の弦とチェレスタから始まり、コラージュ風に木管が絡まる前奏からh-mollの主題へ移っていきます。「未完成」「ザ・グレート」の第2楽章とよく似た息の長い、雄大な曲想ですね。ブルックナーを予感させるようなコラールは、まさに晩年(といっても30歳前後!)のシューベルトの証。スケッチが希薄になり、ベリオ作曲の部分に移っていき、また戻ってくるのがフェイド・アウト/フェイド・インのように聞こえるところがあるかと思えば、「ふっ」と雰囲気が変わってしまうときもあり、なかなか凝っています。

ベリオによる音楽の中、Aのピツィカートが「ぽん」となり、もやもやっとした混沌の中から一筋の光のようにD-durの主題があらわれて終楽章(第3楽章)になります。主題の裏の木管の細かい動きはちょっとシューベルトっぽくないようにも感じますが、先にも出てくるところをみると、どうやら草稿にあるようです。この楽章はシューベルトの部分が長いですが、オーケストレーションが「ザ・グレート」などより複雑になっているように感じます。最後の「チャン・チャン!」は思わず笑ってしまいますが、これはベリオのアイデアでしょう。

最後になってしまいましたが、シューベルトの草稿のみの音をどうしても聴きたい方、マリナーの全集が発売されています。他の未完成の曲も含めて、お楽しみください(@TOWER.JPのサイトにリンク↓)。

  Schubert: The 10 Symphonies / Marriner, ASMF

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