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Perotin/Viderunt [声楽曲]

フランツ・シュミットの歌劇「ノートル・ダム」の情報を検索していて、ふとこの曲を思い出し、聴いてみました。今まで取り上げた中で、圧倒的に古い音楽です。1200年前後に活躍した「ノートル・ダム楽派」の巨匠、ペロティヌス(ペロタン)の4声オルガヌム、Viderunt omnes 「地上のすべての国々は」。

ゴシック期の音楽

ゴシック期の音楽

  • アーティスト: マンロウ(デイビッド), ロンドン古楽コンソート, レオニヌス, ペロティヌス
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2002/06/26
  • メディア: CD

 

このCDはゴシック期全般(だいたい12から14世紀)の代表曲が集められた抜粋盤なので、ノートル・ダム楽派はわずかで、それよりあとの音楽が中心に編纂されています。もともとはLP3枚組で出ていたものの抜粋盤です。

私がLPで聴きなじんだ演奏はこちらでした。

パリ・ノートルダム楽派の音楽とランス大聖堂の音楽

パリ・ノートルダム楽派の音楽とランス大聖堂の音楽

  • アーティスト: コンソート(デラー), デラー・コンソート, マショー, コレギウム・アウレウム合奏団, ターナー(ブルーノ)
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2004/06/23
  • メディア: CD

もともと、マショーの「ノートル・ダム・ミサ曲」が聴きたくてこのLPを買ったのですが、余白に入っていた「ノートル・ダム楽派」の音楽に衝撃を受け、その後はこちらばかり聴いていました。デラーは1961年、マンロウも1975年の録音ですから、近年の整理されたアンサンブルとはまったく違ったアプローチになっています。特にデラーの録音は、種々の楽器が入り、歌の音程もきしみがちで騒音にも聞こえかねない響きですが、粗野であるがゆえに、まさに多声音楽の黎明期たるゴシック期(=ゴート人の=野蛮な)にふさわしく思えます。この印象がすりこまれてしまったため、最近の精緻なリアリゼーションには、いまひとつ魅力を感じることができません…。

「ノートル・ダム楽派」とか「オルガヌム」とかの説明は検索してもらえばわかることなので省略します。たとえばここhttp://homepage2.nifty.com/pietro/storia/gotico_polifonia.htmlをごらんください。この曲は初期の多声音楽のひとつで、グレゴリオ聖歌の長く引き伸ばした単音の旋律(テノールと呼ばれます)の上に、細かい動きをする声部が乗って音楽が進行します。多声になるのは聖歌の一部だけで、他の部分は元通りの単旋律で歌われます。これだけでは味も素っ気もない説明ですが、これは聴いていただくしかありません。ポリフォニーの原点は10世紀ごろのグレゴリオ聖歌だといわれていますが、その後100年余りで、このように複雑で、美しい音楽に発展したのは、それだけポリフォニーというものが衝撃的だったからではないでしょうか。

ところで、私の中世のキリスト教のイメージは、映画の「薔薇の名前」によるところが大きいです。

薔薇の名前 特別版

薔薇の名前 特別版

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2007/05/11
  • メディア: DVD

ウンベルト・エーコの原作を、ショーン・コネリーを主役に据えて、ジャン・ジャック・アノー監督が撮りました。時代は1327年でゴシック後期だし、舞台はフランスの教会でなくて北イタリアの山の上の修道院なのでペロタンと関係はありませんが、迷路の回廊を登っていく尖塔、時代考証された調度品など、 一度見ただけで引き込まれてしまいました。ストーリーは基本的にサスペンスなのですが、名作だと思います。数量限定の1500円盤で、毎年のように再発売されています。よかったらあわせてお楽しみください。いつにも増して大幅に脱線しちゃいましたね(^^;


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