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Mahler/Sym1 [交響曲(マーラー)]

先日ご紹介したCDの、メインの演奏です。世界初の「花の章付き」の録音、国内盤は「薔薇の騎士」組曲とのカップリング。

マーラー:交響曲第1番

マーラー:交響曲第1番

  • アーティスト: オーマンディ(ユージン), マーラー, フィラデルフィア管弦楽団, ジョンソン(ギルバート), スコット(ロジャー), R.シュトラウス
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2001/04/25
  • メディア: CD

薔薇の騎士、確かにフィラデルフィアの華やかな音色と相性がいいかもしれません。私の持っているCDは、以前ご紹介したこちらの輸入盤。

Mahler: Symphony No. 1

Mahler: Symphony No. 1

  • アーティスト: Gustav Mahler, Eugene Ormandy, Sir Andrew Davis, Frederica Von Stade, London Philharmonic Orchestra, Philadelphia Orchestra
  • 出版社/メーカー: RCA Red Seal
  • 発売日: 2006/03/28
  • メディア: CD
 
オーマンディのマーラーで録音が残っているのは、第1以外には「復活」(2種、昨年新しいほうが復刻されました)、「大地の歌」と第10全曲版(唯一の第2稿の録音、これも昨年復刻されました)があったと思います。この「花の章」が世界初録音であるだけでなく、第10も世界初録音、そして大曲「復活」をすでに戦前に録音しているように、オーマンディのレパートリーは決して保守一辺倒ではなく、さまざまなチャレンジを続けてきていたことがわかります。

学生時代、1970年代の代表的廉価盤としてCBS/SONYのオーマンディの旧録音のシリーズ(「オーマンディ”音”の饗宴1300」という、前時代的なタイトルでした(^^;)があり、どちらかというと小物の管弦楽曲を中心に、そこそこの枚数を買いました。このシリーズが、「オーマンディはポピュラーもの」というイメージを定着させるのに一役買っていたと思います。当時RCAの新録音は高くてなかなか買えなかったのですが、1985年、オーマンディが亡くなったときに代表的録音が1800円になって発売され、この曲のLPも花の章聴きたさに購入しました。そのジャケットは↓これ。

 

廉価盤なので、たぶん統一された、味も素っ気もないデザインですが、使われている写真はきっと東京文化会館ですね。オーマンディ/フィラデルフィアの来日時のプログラム(http://www003.upp.so-net.ne.jp/orch/page008.html おおたに様感謝)でこの写真の打楽器の編成が該当するのは、たぶん1972年のマーラー第1+ハリス第3+バッハくらい。2枚のドラとチューブラーベルなど、マーラーで使わない打楽器も出ていますが、他の曲で使った可能性がありますし、リストを見ると、明らかにティンパニを2組使う曲は他にありませんでしたから。このときは「花の章」をやったんでしょうか?

ところで昔は、というかついこの間まで商売敵だったCBSとRCAですが、いまやこの↑CDのようにCBSの音源もRCA-BMGの音源も一緒になって出てきてしまっています。ここ数年でまた進んだレコード会社の合従連衡のおかげで、このような面白い企画盤が出やすくなった(そもそも、ちょっと前の録音がどんどん廉価落ちしている)反面、埋もれてしまった録音も数多いですね。

さて、マーラーの第1交響曲、通称「巨人」は、60年代あたりまでは第4、第5と並んでマーラーの交響曲でもっともポピュラーなものでした、というか、ほかの交響曲は演奏が難しく時間が長すぎて、ほとんど演奏される機会がありませんでした。近年は第8を除けばすべての交響曲が、とっかえひっかえオーケストラのプログラムに載っています。それでも、比較的時間が短く、声楽を伴わない第1は、特にアマチュア・オーケストラの格好のレパートリーになっていると思います。もともと全5楽章、2部(前半3楽章、後半2楽章)に分かれた「交響詩」として作曲(最初の完成は1888年)されていたのですが、改訂に改訂を経て、10年後の1896年に現在の4楽章形式(「巨人」の副題なし!)に落ち着きました。この間の1983年稿はウィン・モリス指揮で録音されています。これも機会を見てご紹介しましょう。

さて、やっと本題のこの録音についてですが、オーマンディ・フィラデルフィアのイメージに付きまとう破綻無くまとまった感じはなく、逆にかなり勢いのついた、「燃える」演奏です。特に第1楽章コーダや第3楽章(スケルツォ)は、最近の録音から見ると、いささかアンサンブルが雑で荒れた演奏に聞こえないこともないですが、それ以上に推進力がみなぎり、躍動感溢れる演奏になっています。いっぽう注目の第2楽章のトランペットはやわらかく、マーラーの「静」の雰囲気を堪能できます。最終楽章は、それまでの楽章に比べると端整で、いささか物足りない感じもしますが、やはりコーダはぐいぐい持っていかれます。最後の(2拍目の)Dの音にティンパニ(たぶん大太鼓も)を重ねているのは明らかにわかります。あまりきちんと分析していないのですが、この時代の指揮者の常として、きっといろいろ手を入れていることでしょう。見つけた方、ご教示ください(^^;

楽譜はこちらになります。残念ながら花の章は含まれていません。マーラー協会版の旧版(第3楽章のコントラバスがソロ)に近い、フィルハーモニア版に準拠しています。

OGTー1446 マーラー 交響曲第1番

OGTー1446 マーラー 交響曲第1番

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 1998/12/10
  • メディア: 楽譜

なお、この曲に関して詳述されているページがこちらhttp://www.asahi-net.or.jp/~wg6m-mykw/Library_Mahler_Sym1.htmにあります。ぜひご参考になさってください。


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コメント 10

mozart1889

stbhさん、TBを有り難うございました。
オーマンディの「巨人」は、明朗で屈託のないマーラーで、ドロドロしていないのがいいですね。情念的なマーラーではなく、フィラデルフィア管の巧さを単純に楽しめる1枚になっています。花の章付きというのも嬉しいですね。

オーマンディ没後のあのLPのジャケットは、懐かしかったですね。
by mozart1889 (2007-04-21 15:22) 

stbh

mozart1889さん、さっそくコメントとTB、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、楽しんでマーラーを聴ける、今となっては貴重な録音ですね。一連のオーマンディやレヴァインのRCAへの録音で、華やかな金管を中心とするフィラデルフィアの音は、はっきりとイメージが出来ていました。LPってデカくて存在感ありますね~。
by stbh (2007-04-21 17:52) 

サンフランシスコ人

フィラデルフィア管のヨーロッパ演奏旅行が中止になったですね。
by サンフランシスコ人 (2008-12-27 03:12) 

stbh

サンフランシスコ人さん、
そうだったのですか、知りませんでした。やはり不景気の影響なのでしょうか。残念ですね。
by stbh (2008-12-28 17:54) 

サンフランシスコ人

企業スポンサーがないです。
by サンフランシスコ人 (2008-12-30 03:35) 

stbh

この時期、どの国でも大変なのかもしれませんね…。
by stbh (2008-12-30 14:25) 

サンフランシスコ人

2006年(2007?)フィラデルフィア管のロサンゼルスでの演奏が、大変ひどかったのが明らかにわかります。
by サンフランシスコ人 (2008-12-31 03:14) 

stbh

オーケストラに限らず、アメリカの芸術は名士や大企業からの寄付によるところが大きいですから、不景気になると大変なのでしょうね。
by stbh (2009-01-03 15:41) 

サンフランシスコ人

来年フィラデルフィア管の演奏会がサンフランシスコでありますが...

http://www.sfsymphony.org/season/Event.aspx?eventid=50602
by サンフランシスコ人 (2011-06-19 05:10) 

stbh

フィラデルフィア管弦楽団、破産申し立てのニュースがしばらく前にありましたが、なんとか持ち直せるといいですね。
by stbh (2011-06-22 08:14) 

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