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Mahler/Sym3 [交響曲(マーラー)]

1時間以上続けて車に乗るときしか聴けない、カセットテープに入ったマーラーの第3(^^; こういう演奏を聴いたのですが、近いCDは検索であがってきませんでした。FMからのエアチェックですが、海賊盤もなさそうです。

 マーラー/交響曲第3番ニ短調
アルト:ゲンドリン・キルブリュー
指揮:若杉弘
エッセン・ウェルデン学校少年合唱団
北ドイツ放送女声合唱団
ケルン放送交響楽団
1979年12月6日 エッセン市立ホールにて
(表記は例によって当時のNHK準拠)

いちおう関連するものということでリンクを張りましたが、「お取り扱いできません」の上に、いかにも半端な曲目詳細がついているだけなので、ほとんど役に立ちません。

マーラー:交響曲全集

マーラー:交響曲全集

  • アーティスト: マーラー, 佐藤しのぶ, 伊原直子, 豊田喜代美, 渡辺美佐子, 大倉由紀枝
  • 出版社/メーカー: フォンテック
  • 発売日: 1997/01/25
  • メディア: CD
これは、都響との記念碑的な全集。珍しいのは、第1が1893年稿(5楽章、フィナーレのコーダが長い)、第2の第1楽章に初稿(いわゆる「葬礼」)を用いていることです。残念ながらタワレコでも「販売していません」になっていました。HMVではシュターツカペレ・ドレスデンとの第1がヒットしたのみと、マーラーに関して若杉のディスコグラフィーはとてもさびしいことになっているようです。
彼がケルンの常任になったのが1977年、もう30年近く前のことです。ミュンヘンやドレスデンなどでも活躍し、充実した壮年期をドイツ中心に送り、現在は主に日本で活動しているのでしょうか(Wikipediaとか参照)。もともと声楽やオペラが守備範囲だったこともあり、ドイツではオーケストラばかりでなく、いくつかの歌劇場の音楽監督も歴任してます。日本人の指揮者でこれだけ歌劇場を回っている人はまだ少ないのではないかと思います。
 オペラを多くやっているせいか、彼のマーラーは非常に明快でわかりやすいです。決して単調ではなく、音楽がとても生き生きとしていて、この長い曲をあっという間に聞かせてくれます。
第1楽章冒頭のホルンが鳴り渡り、大太鼓の重いリズムに乗って、トロンボーン・テューバ・ティンパニのリズム動機、ファゴットの合いの手とオーボエ・クラリネットのファンファーレと続いてくると、もうマーラー第3の世界に入っていってしまいます。練習番号5のあとのトランペットのディミニエンドの美しいこと!トロンボーンのソロも朗々と響きます。整然としたアンサンブルがどんな場面でも維持され、特に低弦の弱音での早いパッセージなど、ゾクゾクします。
第2楽章は、「のどか」「ひなびた」というより、「元気な」「生き生きと」という形容が似合います。細かいテンポや強弱の変化を生かしつつ、音楽が前進していきます。例によって3連符、5連符などがバリバリ出てくるのですが、崩れずにリズムにはまっていて、それでいて音楽の表情が豊かなのがすごいです。
第3楽章もポストホルンやホルンのアンサンブルなど、金管の表情の豊かさと精度の高さが目立ちます。かといって他の楽器との一体感が損なわれることもなく、緊密な合奏が繰り広げられます。コーダをゆっくりする演奏も多いのですが、ここは、この演奏のように一気に持っていってくれた方が体感的には好きです。
第4楽章では、アルトが「ツァラトゥストラ」を粛々と歌い、ヴァイオリンや木管が繊細なソロを奏でるのを聴くことができます。しかし決しておしなべて静かなのではなく、強弱(<>)などの表情をしっかり出しています。「大地の歌」の終楽章、そして第9交響曲の冒頭へとつながる二度の下降音形が消えいくと、アタッカで第5楽章に入ります。
鐘と児童合唱に導かれて女声合唱が「3人の天使が歌った」を歌います。これは例の「子供の魔法の角笛」からの詩。「テンポは快活に、表情は大胆(向こう見ず)に」"Lustig im Tempo und keck im Ausdruck"とされた曲想をよくあらわした、元気で明るい演奏になっています(^^ 鐘、少年合唱、女声合唱に加えてピッコロ、ハープ、鉄琴、各種金属打楽器等、高い音のする楽器が多用されているためか、この楽章ではヴァイオリンが使われていません。
私の持っている古いスコアだけなのもしれませんが、楽章の最初に「4つの音程のある鐘 F, G, D, C」と書かれているのに、実際には最後のページに2音だけ、Aの音も出てきていて、言い訳のように「Aの鐘があるときに限り、Aを(演奏)すること」と注意書きがされています。これも改訂によって変更された箇所なのかもしれません。
第5楽章の最終音が静寂の彼方に消えると、入れ替わりに(休んでいた)ヴァイオリンがいきなり主題を奏しはじめ、第6楽章の幕が開きます。弦楽器主体のこの楽章でも、若杉/ケルンの演奏は雄弁です。やや早めのテンポで、はっきりと4拍子が感じられるフレージングが施されていて、明るく、表情豊かでわかりやすい演奏だと思います。コーダのクライマックスまでの時間が非常に短く感じられます。
今回聴きなおしてみて、若杉の音楽性を見直す(傲慢で失礼な表現お許しください)とともに、ケルン放送交響楽団のアンサンブルの確かさにも驚きました。疵がないとかいう話ではなく、指揮者や、何より音楽への高い共感を持っていることが感じられる、好演だと思います。近年、日本の録音の復刻が増えてきましたが、都響とのCDも復刻してくれないかしら。

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