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Yes/Yessongs [その他の音楽]

なんとなく、月末は非クラシックの日。本当はこの前にもうひとつエントリーを書く予定だったのですが、とても余裕がなく、来月送りになりました(+_+)

私が中高生だった1970年代はいわゆるプログレ全盛期で、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、ELPなどが覇を競い合っていました。クイーンも当初はプログレ系の亜流に見られていて、あるアルバム("Sheer Heart Attack"だと思うのですが)には、わざわざ"No synthesizer added!"と書いてあったり、それほど「シンセサイザー」等を使った、「進歩的」な音楽がはやっていたのでした。

そんなロック・シーンの中で、イエスは、中心メンバーのジョン・アンダーソン(ヴォーカル)とクリス・スクワイア(ベース)に加えて、スティーブ・ハウ(ギター)、リック・ウェイクマン(キーボード)という個性派が次々と加入し、壮大な物語絵巻風ロックの世界を築いていきます。アルバム"Close to the Edge"(邦題は「危機」)が出たとき、A面1曲、全3曲と言う大曲ばかり、それもアドリブでなく綿密に構成された音楽だけで出来ていたことが非常に衝撃的でした。そして、その緻密なアルバムの世界をライヴで表現してしまったのが、1973年の来日直後に国内発売された、このアルバムです。

イエスソングス

イエスソングス

  • アーティスト: イエス
  • 出版社/メーカー: イーストウエスト・ジャパン
  • 発売日: 2001/07/25
  • メディア: CD

来日当時は、やはりビル・ブラッフォード(ドラムス)の変わりに加入したアラン・ホワイトを危ぶむ声が多かったのですが、そんな前評判が消し飛んでしまうほどすばらしいステージだったそうです(この辺はまだリアルタイムではないので…)。上のリンクは紙ジャケ仕様でLPと同じ3枚組です。ジャケット(のロジャー・ディーンの絵)も話題になりました。

1曲目、といっていいのかどうか。だってほとんど「火の鳥」の終曲のテープが流れているだけですからね。ちゃんと探してはいないのだけれど、これも演奏(指揮者・楽団)が特定されているのでしょうか、「2001年宇宙の旅」のツァラ冒頭(カラヤン/ウィーン・フィル)みたいに。

「シベリアン・カートゥルー」は変拍子(8+7というか4+4+4+3というか)にてこずりましたね。このライヴを聴きだしてからは終わり近くのアレンジが聴きたくてスタジオ録音を聴かなくなってしまいました。「同志」「危機」とともに、最新アルバムの全曲が収録されているというのもすごいことですね。これらの曲はさすがにスタジオより多少音が薄いですが、そのぶんややワイルドなタッチで、3曲ともぐいぐい迫ってくるものがあります。こうやって聴いてみても甲乙つけがたいですね。

「危機」からの曲が基本的にあまりアレンジをいじっていないのに比べて、「こわれもの」や「サード」からの曲は、もともとシンプルなアレンジだったこともあって、かなり手が入れられ、アドリブも適度に織り込んでかなり長くなっています。「燃える朝焼け」「オール・グッド・ピープル~ユア・ムーブ」などはかなりアドリブ・パートが充実しています。

ビル・ブラッフォード在籍時の2曲、「パペチュアル・チェンジ」と「ユアズ・イズ・ノー・ディスグレイス」は貴重な録音で、細かいリズムやオカズが、アラン・ホワイトとちがうのがわかる…ような気がします。どっちが優れている、ということではなく、スタイルが違うということなのでしょう。「パペチュアル・チェンジ」には少しですがビル・ブラッフォードのソロもあります。

他のメンバーも含めて、ソロ・パートはそれほど多くありません。スティーヴ・ハウの「ムード・フォー・ア・デイ」はあっという間に終わってしまうし、「ロング・ディスタンス・ランアラウンド」に続く「フィッシュ」のクリス・スクワイアも(ほかの曲でも暴れているからか)思いのほか、「好き放題」という感じではないですね。

リック・ウェイクマンの「ヘンリー八世と6人の妻(抜粋)」は、つぎはぎではありますが主なメロディーを網羅していて、「ハレルヤ・コーラス」のサービスもあって、楽しめます。メロトロンの音も、いちばんはまっているように思えます。(「メロトロン」というのがどんなとんでもない楽器か知りたい方は、検索してみてください)

名曲「ラウンドアバウト」で前半が終わるのですが、Good night! Byebye!と言っているところをみると(きくと)これもコンサートの終曲(アンコールではやらんだろ)なのでしょう。となるとLP3面ずつがひとつながり、2枚へ収録(3面分ずつ)の私のCDも捨てたものではないな、えへへ。

CD化される前は、例によってカセットテープで聴いていたのですが、120分テープに曲順を変えてダビングしてもどうしても納まらない。仕方なく、「スターシップ・トゥルーパー」はフェイドアウトにしたものを聴きこんでしまったので、CDを買って最後まで聴けるようになっても違和感が抜けません。習慣というのは恐ろしいですね。

3枚組のLPは発売当時でも5100円、サンタナ、ELPと並ぶ「高価格レコード出荷罪」と揶揄されていましたが、これも、今聴いても色褪せるどころか、イエスの最盛期の栄光の記録として輝いていると思います。


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stbh

MEICHIKUさん、nice!とトラックバックをありがとうございます。とても充実したMEICHIKUさんのサイトにくらぶべくもありませんが、ロック系もぼちぼち取り上げていきますのでまたお立ち寄りください。Queenも「オペラ座の夜」あたりまでならかろうじて守備範囲です(^^;
by stbh (2005-12-01 12:14) 

おさかな♪

stbhさん
 まずは記事100個目、おめでとうございます♪
 どの記事も楽しく拝読してます☆

 先日、永田町のりかえ時に、サイモン・ラトルさんそっくりの髪型をした
 初老の紳士を見かけ、おぉ、と思いました。
 ラトルさんは、マーラー6番の4楽章を「最も悲劇的なハ長調。
 崩壊を前にした王国のよう。」と言ってました。後半の表現は
 「さすが、キングクリムゾンを輩出した国出身だけある~♪」と
 感動してしまいました。

 ところで、曲順って大切だと思います。
 私は、コムサ(ビートルズの曲ばっかりかかっている服屋さん)で
 曲が終わったとき、次の曲のイントロが頭でかかるくらい
 幼少期(?)にビートルズを聴いてました^^☆
by おさかな♪ (2005-12-04 01:25) 

stbh

おさかな♪さん、いつもご来訪ありがとうございます。また、100回に気がついていただいてありがとうございます。
ビートルズは、お父様の薫陶でしょうか?(ちがったらごめんなさい) 確かに、聞き込んだアルバムでもその順番でなかったら曲が出てこなかったりします。クリムゾンのアルバムも、曲の構成はずいぶん練られていたと思います。
by stbh (2005-12-04 23:46) 

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