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TomitaPlanets [その他の音楽]

今日は通勤ではないのですが、車で移動する機会があったのでちょっと寄り道。

惑星

惑星

  • アーティスト: 冨田勲
  • 出版社/メーカー: BMGファンハウス
  • 発売日: 1991/03/21
  • メディア: CD

1977年の製作ですが、いまでもりっぱに現役盤のようです。オリジナルは4チャンネルだったはず…と思っていたら、もう出ていたのですね(本人によって再編曲されているようです)。私が今日聴いたのは、例によってカセットテープでしたが…。

 

冨田勲/惑星<2003> 4.1サラウンドによる

冨田勲/惑星<2003> 4.1サラウンドによる

  • アーティスト: 冨田勲
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2003/03/29
  • メディア: DVD Audio

シンセサイザー・クリエイター(勝手な造語ですが)としてのデビュー盤である「月の光」がアメリカでブレイクし逆輸入されて、「展覧会の絵」がヒット、そして「火の鳥」と、ピアノ曲から管弦楽組曲に軸足を移つつ製作を続けていた冨田。おりしもオーディオの発達とともに大ダイナミックレンジ管弦楽曲の録音がはやっていたころ、60年代の本家ボールト、カラヤン/VPO、そして70年代になってバーンスタイン/NYP、オーマンディ/フィラデルフィア、メータ/LAPO、プレヴィン/LSOなど、スペクタキュラーな音楽を得意とする(とレコード会社に喧伝されていた?)面々が次々と録音を行っていったのが「惑星」。たしか全音ピアノピースの「ジュピターの主題」が出たのも75~76年ではなかったでしょうか。

高校生だった私が仲間と「冨田は次に何を入れるか」について話していたとき、最右翼はやはり「惑星」でした。そして本当に出てきちゃったのですよね。

冨田の「惑星」はいつになく遊びの要素が強く、ロケットの発射はまあお約束としても、宇宙飛行士と地上管制官の二重唱、宇宙嵐、「天王星」と「海王星」のオーバーラップなど、いろいろなしかけがあります。また、毎度のことながら気の遠くなるようなオーバーダブ、オルゴールは冨田がオルゴールキットを使って自分で作ったとか、交信の場面の音はトランシーバーで飛ばしたとか、録音に関する逸話にも事欠きません。

一切の編曲やカット、部分演奏を認めなかった遺族を説得して発売にこぎつけた、という話題もありました。確かスコアに書かれていたはず、と思ってスコア(B&H中型)を見たのですが、書いてありません(汗)。ホルスト没が1934年だから、1979年改訂/1983年出版のスコアにだったら何か書いてあってもよさそうなものですが、購入は1989年だから、もう注意書きをはずした版なのかもしれません。高校生のときに買った小型スコアには書いてあったと思ったんだけどなあ。誰かにあげちゃったか売っちゃったかしたと思うのですが、ちょっともったいなかったかも。

この後、ダフクロ、グランドキャニオンなどをはじめとして数々の録音を作り続けた冨田ですが、やはりこの「惑星」が頂点だったのではないでしょうか。題材と冨田のセンスのベストマッチだったと思います。マイク・オールドフィールドからエンヤに至り現在に続く「オーバーダブ・ロード」(変な表現)の重要な一角を占める作品だと思います。

高校生のときの思い出話をもうひとつ。通常、この作品をLPに入れるときは「木星」までがA面なのですが、冨田は「水星」までをA面に配し、「木星」はB面に持ってきています。これは「宇宙嵐」で木星から土星につなぐため必要な措置で、時間的にもA面約25分、B面約27分とバランスがとれているとはいえ、ちょっと違和感がありました。そこで出た結論。「冨田はB面を聴かせたかった」

確かに、若かったわれわれが好んで聴いていたのはかっこいい「火星」と「木星」、そしてついでにそれらに挟まれた2曲が中心でした。いささか退屈な「土星」や、神秘的とはいえ盛り上がらない「海王星」はあまり聴かなかったですね。そこで冨田は、「木星」以降をより物語性の強いアレンジにし、あまつさえ「天王星」と「海王星」を重ねたりして、「土星」以降の3曲のプレゼンスをあげようとしたのだ、というのがわれわれの論拠でした。真偽のほどはわかりませんが、妙に納得いきませんか?

(この記事はmozart1889さんの「冨田勲の音楽」

http://www.doblog.com/weblog/myblog/41717/1534975#1534975

に触発されて書きました。最初はコメントしようと思っていたのですが、書きたいことがどんどん増えちゃって書ききれなさそうだったので、自分のブログに書きました^^;)

☆追記 サラウンド盤のジャケ写がうまく見えないようです(編集中は見えるのですが)。申し訳ありませんが、興味のある方はアマゾンで「惑星」「冨田」で検索してください。必ずヒットすると思います。


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コメント 2

mozart1889

こんばんは。すんばらしいTB有り難うございました!
「惑星」こそ冨田勲の頂点だった・・・・同感です。このレコードはホンマに凄かったです。なるほど、B面を聴かせたかったんですね。(CDで買い直して聴いていますが、こりゃ、レコードで聴くようにしなくちゃイケマセンね^^)
大変懐かしく思い出しました。知らないこともいっぱいありました。感激しました。有り難うございました。
by mozart1889 (2005-07-03 22:59) 

stbh

mozart1889さん、こんばんは。さっそくコメントありがとうございます。
こんなに受けていただいて、私もうれしいです。
冨田勲の諸作品は、クラシックに限れば、ワルター(ウェンディ)・カーロス以後もっとも成功したシンセサイザー音楽でしょう。その理由は、作曲家の目で(耳で)作り上げた絶妙のアレンジメントと、それを根気よく実現する努力だと思います。その上で「脂の乗り切った」のが「惑星」ですね。ちゃんとCDを買おうっと ^^;
by stbh (2005-07-03 23:35) 

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