Beethoven/Sym6 [交響曲(独墺系)]
ちょっとした理由があり、この時期にいつも、この曲(「田園」)を聴きます。
- アーティスト: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 カラヤン(ヘルベルト・フォン), ベートーヴェン, カラヤン(ヘルベルト・フォン), ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2007/09/05
- メディア: CD
カラヤン最後のベートーヴェン全集から、今年再発売されています。発売当初、CDでこの組み合わせで出ると聞いて、びっくりしたのを覚えています。なぜかというと、だいたいの演奏時間のイメージとして、第5は約35分、「田園」は約40~45分程度と思っていたので、とてもCD1枚(当時は最長74分でしたが、たいがい60分程度まででした)に入るとは想像していなかったからです。この録音では、第5が30分強、「田園」は35分足らずで、余裕でCD1枚に入ってしまいます。
その演奏時間から想像できるように、全体に早いテンポで、流麗に進んでいきます。晩年のカラヤンは60・70年代ほど「快速」ではなくなりましたが、このベートーヴェンでは「カラヤン・スピード」は健在です。いっぽう、1982年の録音ですから、それほど弦楽器は絞っておらず、音色的には重厚なのです。そしてフレーズはレガートに、あくまで華麗に、流れるように。「カラヤン節の集大成」といえるかもしれません。
第1楽章はもともとアレグロですから「早め」くらいの感触ですが、旋律が次々、とめどなくつむぎだされていくような、独特の色合いがあります。第2楽章は、私が慣れ親しんだ60-70年代の録音だと、のんびりした、あえて退屈そうな雰囲気をもった録音も多いのですが、この録音は第1楽章に近い雰囲気になっており、いささか気ぜわしく感じられます。
第3楽章の舞曲、そして第4楽章の嵐は、いずれもスピード感を前面に押し出し、荒々しい感じになっていますが、決してアンサンブルが乱れることはなく、音楽は「カラヤンの掌中」にあります。そして第5楽章。音色は美しく、クライマックスに向けて雄大なのですが、「ちょっとゆっくり行きましょうよ」と言いたくなるような、無理目のテンポと私は感じてしまいます。
ベートーヴェンの交響曲に関しては、継続的にさまざまな録音が行われていますし、その中でもピリオド楽器/奏法による演奏が増えてきて、そちらが標準になってきた感もあります。そういった近年の状況においては、カラヤンの影はだんだん薄くなってきたように感じます。特にこのデジタル録音の全集はいささかアクが強く、今となっては、あまりスタンダードとはいえないでしょう。とはいえ、最後の全集はある意味「カラヤン芸術の集大成」であり、興味深い録音ではあるのですが。
こんばんは。
「田園」の名録音は数々ありますが、カラヤンの演奏も気に入っています。快速でありながら表情が豊かで作りも丁寧です。
この演奏、「スポーツカーに乗っているような」と評されますが、スポーツカー、いいですよ!
by 吉田 (2007-10-28 22:31)
吉田さん、こんばんは。いつもありがとうございます。
思い返してみると、「田園」を聴いてちょっとしんみりしたい、という気分のときにこの録音を聴いてしまったので、違和感をおぼえたようです。第5も、同様に快速なテンポですが、こちらは文句なく心地よいです。
「元気な田園」(笑)を聴きたいときに、もう一度トライしてみます。
by stbh (2007-10-28 23:33)
「田園」というと、昔、長崎に住んでいたころ、日曜日朝のラジオ番組のテーマとして流れていたことを思い出します。
確か、キリスト教系の宗教の番組でした。
これがベートーベンの「田園」という交響曲だと知ったのは、後のことでした。
ということで、1楽章冒頭を聞くと、何となく宗教的な厳粛な気分になります。
そういえば、数年前、ウィーンフィルが来日公演で「田園」を演奏しましたが、冒頭、「非常に美しい音だ」と感激したのを思い出します。
その時のことを含め、去年1月に「ウィーンフィルのコントラバス」という話↓を書いておりますので、よろしければご笑覧くださいませ。
http://blog.so-net.ne.jp/lionbass/2006-01-08
by Lionbass (2007-10-29 09:49)
Lionbassさん、nice!とコメントありがとうございます。
若い頃(子供のころ?)の刷り込みは、効果絶大ですね。今でも「天国と地獄」を聴くとカステラが食べたくなります(嘘)
コントラバスのお話、楽しく拝見しました。またいろいろお教えください。
by stbh (2007-10-30 00:17)
こんにちは。
カラヤンの最後の全集も、懐かしい演奏になってしまいました。
この全集が出た時には、「またかよ」と思ったものですが、DGでの3種のベートーヴェン全集を聴き返してみると、それぞれ特徴があって面白いですね。
録音の加減か、最後の全集は我が家では少し重く感じます。でも、中盤以降はさすがカラヤン、颯爽としていますね。
で、結局、僕はカラヤンを好きなのだと自覚しました。
by mozart1889 (2007-10-30 16:21)
mozart1889さん、こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
確かに、3つの全集の中ではいちばん重い音がしているようです。徹底したレガートや、あまり変化をつけないテンポ運びからそう感じるのかもしれません。他の曲も含めて、早い楽章のほうが、より「颯爽としたカラヤン」を聴けますね。
by stbh (2007-10-31 00:04)
いちき りんこさん
nice!ありがとうございました。遅くなって失礼しました。またお立ち寄りいただければ幸いです。
by stbh (2007-12-04 15:32)
カラヤンのコンサートに1回だけ行きました。
by サンフランシスコ人 (2008-12-31 04:01)
すばらしいですね!アメリカで行かれたのでしょうか。
by stbh (2009-01-03 15:43)