Mahler/JugendLieder [声楽曲(マーラー)]
さて、演奏会(前回と同じ、江東フィルhttp://kotophil.michikusa.jp/に出させていただきました)も終わり、久しぶりに、マーラーを聴こうと思います。
このCDが今でも現役というのは、ありがたいことですね。
- アーティスト: シノーポリ(ジュゼッペ), フィルハーモニア管弦楽団, ヴァイクル(ベルント), マーラー
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 2001/08/22
- メディア: CD
シノーポリの大きな遺産のひとつ、マーラーの交響曲全集から。で、シンフォニーは後にとっておいて、「6つのオーケストラ付初期歌曲」を聴きました。「若き日の歌」と日本語題がついている"Lieder und Gesaenge aus der Jugendzeit"から、ここでは6曲が選ばれています。これはマーラーの、唯一管弦楽伴奏化されていない(歌とピアノ伴奏の)歌曲集で、全部で14曲からなっています。そのうち1885年に出版された初期5曲を除いた9曲(1880年代後半から91年にかけて作曲、ちなみに第1交響曲は1888年に初稿が成立)には、「子供の魔法の角笛」からの詩が使われています。
選ばれた6曲は以下の通り。第2曲(レアンダー)以外は、「角笛」からの詩です。
1.自己感情
2.春の朝
3.もう会うことはない
4.シュトラースブルクのとりでで
5.夏の衛兵交代
6.悪い子供たちをおりこうにするために
曲想は、「子供の不思議な角笛」と非常に近い、マーラー独特のロマンティシズムに溢れたもので、この曲集もまた「さすらう若人」「角笛」と第1~4交響曲と渾然一体となって、初期のマーラーの世界を形作っています。ちなみに上の第5曲は第3交響曲の第3楽章と主題を共有しています。
この演奏の独唱は名バリトンのベルント・ヴァイクル、ちょっと斜に構えた若いマーラーの作る世界への共感をこめた、しかし堂々たる歌いぶりだと思います。シノーポリの表情付けは、交響曲ほど濃密ではなく、淡い色合いの旋律にあっているものです。
なお、この曲集の編曲者はHarold Byrnsと表記されており、1963年にジャック・ディーサーらとアルマに第10交響曲を聴くように説得しに行った、ハロルド・バーンズによるものだと推察されます。「若き日の歌」の管弦楽伴奏化は、他にルチアーノ・ベリオも行っています。もともとシンフォニックなピアノ伴奏であり、「角笛」のようなオーケストラ伴奏を作りたくなるのは自然なことだと言えましょう。
この編曲は、オーボエやクラリネットのはだかの音色を多用したり、弦楽器のソロを交えたり、マーラーの世界の再現にはある程度成功していると思います。惜しむらくは最終曲の鈴とグロッケンシュピール。他の曲では打楽器のバランスが悪くないのに、この曲だけは、「ここまでやるとやりすぎじゃない?」と思ってしまいます。
へ~、まじめに書いてるんだね(笑)
by JUNKO (2007-03-27 03:52)
JUNKOさん、ご来訪ありがとうございます。リアルの知り合いはなかなかこっちに来ないんですよね。実は音楽系の話題はこちらのほうが主なんですけど。
by stbh (2007-03-28 07:45)