Mahler/FahrendenGesellen [声楽曲(マーラー)]
「さすらう若人の歌」は、マーラーの歌曲集の中で、最も録音が多いのではないでしょうか。古くはフルトヴェングラーをはじめとして、多くの指揮者が、ドイツ・リート系を中心とした歌手たちとこの曲を録音しています。ですのでこの録音は、あまたある中ではマイナーな方になってしまうでしょうか。
- アーティスト: Gustav Mahler, Eugene Ormandy, Sir Andrew Davis, Frederica Von Stade, London Philharmonic Orchestra, Philadelphia Orchestra
- 出版社/メーカー: RCA Red Seal
- 発売日: 2006/03/28
- メディア: CD
フレデリカ・フォン・シュターデは1945年生まれ、1970年のメット・デビュー以来、1970~80年代に絶大な人気を誇ったメゾ・ソプラノです。アンドリュー・デイヴィス(現在では「サー」の称号を得ています)は1944年イギリス生まれの指揮者。例によってアマゾンの表記はわかりにくいのですが、オケはロンドン・フィルです。
この曲集の詩は、マーラーが自分で書いています。彼の「ウェルテル」とも言える青春の心の叫び、とよく評されます。全4曲
1. 彼女の婚礼の日は
2. 朝の野辺を歩けば
3. 燃えるような短剣で
4. 彼女の青い目が
のうち、第2曲と第4曲には第1交響曲(上のCDでもカップリングされています)の旋律がそのまま使われています。第2曲は主旋律が第1楽章の第1主題、第4曲は中間部が第3楽章の中間部です。古い本や録音の解説には「引用」という表現が使われていますが、これはあまり適当な表現ではないようです。最近の作曲過程の研究により、特に初期(「角笛」歌曲集と第4交響曲まで)は歌曲と交響曲が交錯しながら渾然一体と作曲されていたことがわかってきました。特にこの歌曲集と第1交響曲は、かなり紆余曲折を経て産み落とされたようで、マーラーの愛着が強かったのかもしれません。
「シュターデ」は、私のLP(下の写真・ピンボケですが、もともとソフト・フォーカスなんですよ)の表記は英語風の「スターダ」だったんですが、これはあまり定着しなかったようです。彼女は、あまりヴィブラートをかけないで清清しく歌うときが合うようで、例えば第2曲の主題などは非常にさわやかで気持ちよいですが、第3曲のように激情にかられたような表現は、いまひとつしっくり聞こえてきません。全体に淡白めに歌ったほうがハマる歌い手さんではないでしょうか。その意味では、この曲集よりも、LPに入っている「角笛」の抜粋(2曲)のほうが曲想にマッチしていると思います。LPでは「リュッケルト歌曲集」も抜粋で歌われており、できればこれらもまとめて復活してほしかったです。
こんばんは。
シュターデの「さすらう若人」があったのですね。この歌手、今でもときおり取り出しますが、特に80年代によく聴いたものでした。
ちょっと舌足らずなような発声と甘い声は実に独特のものがあり、後期ロマン派の音楽によく合うと思います。
カプリングも良いですねー、このCD欲しくなりました。
by 吉田 (2007-04-10 22:54)
吉田さん、こんばんは。
シュターデは独特の甘い(としかいいようのない)声と端麗な容姿で大人気でしたね。
カップリングのオーマンディの第1も、なかなかいいですよ。しばらくしたらご紹介しますね。
by stbh (2007-04-11 00:09)
昔、フレデリカ・フォン・シュターデのマーラーをフィラデルフィア管弦楽団の定期で見ました。
by サンフランシスコ人 (2008-02-20 12:41)
フィラデルフィアにもいらっしゃったのですか!私も1度だけ、フィラデルフィア管弦楽団を当地で聴いたことがあります。まだ昔のホールのころでした。
by stbh (2008-02-20 22:18)