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Puccini/Turandot2b [オペラ]

第2幕後半は、トゥーランドット登場、謎を始めた由来から、出題と謎解きの場面、そして王子の勝利と謎の出題まで。ご紹介するCDはこれ。

プッチーニ:トゥーランドット 全曲

プッチーニ:トゥーランドット 全曲

  • アーティスト: デバルディ(レナータ), デル・モナコ(マリオ), ボルク(イルゲ), サンタ・チェチーリア国立アカデミー合唱団, サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団, エレーデ(アルベルト), プッチーニ, ザッカリア(ニコラ), コレナ(フェルナンド), カルリン(マリオ)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2004/11/26
  • メディア: CD

タイトル・ロールはインゲ・ボルク、(たしか)ドイツのドラマティック・ソプラノです。リヒャルト・シュトラウスのスペシャリストとして、サロメ、エレクトラなどのタイトル・ロールを歌っています。しかしどちらかというと、この録音は、以下の二人のために作られたように思えます。すなわちカラフを歌う、不世出の名歌手マリオ・デル・モナコと、リューを歌うレナータ・テバルディです。1955年の録音はさすがに古く(モノラルです)、バランスも苦しいところはありますが、まあこれだけの大編成の曲、ある程度は我慢せざるを得ないでしょう。ちなみに、これはデッカ原盤ですが、カルショーは関わっていないようです。

私の持っているCDは、こちらの別レーベルから出されているものです(HMVのページへリンク)。

http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1437957

「Documentsレーベル」となっていて、日本語で「ドキュメント」と書かれていますが、日本語はこれだけです(苦笑)。ハンブルクのMembranという会社が出しているそうです。曲の解説とあらすじ、プッチーニの簡単な説明、そしてテバルディの解説がドイツ語と英語で書いてあります。デル・モナコについて一言も無く、テバルディだけについて2ページ以上ブックレットで費やしているのですが、ドイツでの優先順位がこうなっている、ということなのでしょうか。ちょっと意外でした。

さて、ストーリー的にはもっとも緊迫感のある第2幕後半、いよいよトゥーランドットの登場です。「何千年もの昔、異国の男に殺されたLou-Ling姫の仇をとるのだ。私は誰のものにもならない」と、求婚者に対して3つのなぞを出す理由をまず語ります。そして、「謎は3つ、死はひとつ!」と締めくくろうとするトゥーランドットに対して、王子が「いや、謎は3つ、ひとつなのは生!」と反論します。ここのだんだん盛り上がるやりとり、実は調性が巧妙に仕組まれています。

トゥーランドットのモノローグは最初イ短調で始まり、嬰へ短調と行き来し、同主調の変ト長調に転調しますが、後半は実質、変ニ長調になり、ニ長調に上がります。そして王子が入ってくると、2小節ずつ変ホ長調、嬰ヘ長調と上昇し、変イ長調となったところで二人が最高音のハイCを高らかに延ばしたあと、合唱が入ってくるという仕掛けになっているのです。歌手たちだけでなく、オーケストラも強烈な盛り上がりを見せた後、急速に弱まると、出題のシーンになります。

トゥーランドットの出題のウラで、ダン・ダダンと鳴るリズムはE-Bb、(お約束の)増四度です。3回の出題で、だんだんオーケストレイションが厚くなっていくのも常套手段ですが、他にもしかけがあります。例えば3回目だけ半音上がる(トゥーランドットの歌いだしが1、2回目はE-F-C#、3回目はF-Gb-D)とか、2回目には皇帝や群集が「負けるな、異国の人よ!」と応援するパッセージが入るけれども、3回目は周囲の人が息をのんでいる体でトゥーランドットだけが歌い、王子に「顔が真っ青だ」とたたみかけることで緊迫感を出すとか。

めでたく王子が3つの謎を解くと、群集は大喝采。トゥーランドットは猛然と抵抗をはじめますが、皇帝は耳を貸しません。とうとう王子に向かって「いやがる私を力ずくでものにするのか?」と(2回のハイCで!)言い出します-なんと往生際の悪い(^^ それに対し王子は、「私は愛に燃えるあなたを望んでいる!」とハイCで返す…はずなのですが、楽譜でもハイCはオプションになっているように、ここはかなりきついところなのでしょう。今回ご紹介したデル・モナコと、METの映像でのドミンゴはGまでで止めています(ドミンゴは、カラヤンとのスタジオ録音ではCまで出しています)。

そして王子が(トゥーランドットのときと同じ旋律で)「私はあなたの謎を3つとも解いた」とが歌い、第3幕の「誰も寝てはならぬ」の旋律で「私の名前をあてなさい」と続けます。皇帝は、「夜明けとともに私の息子とならんことを!」とすっかり王子の味方になってしまい、群集の「皇帝万歳」で第2幕が閉じます。最後の盛り上がりは、オルガンやバンダが加わることで、第1幕や第3幕よりもいっそう強烈になっています。LPだと、いわゆる「溝が見える」という状態ですね。

今回は練習風景から、チンバッソ(コントラバス・トロンボーン)さんの画像を。楽器が銀色なので見にくいですが、ボディにピストンがついており、ベルが前方を向いているのがわかるでしょうか?テューバよりもバストロに近い、張りのある音がします。マウスピースは普通のトロンボーン用よりは大きいけれど、(コントラ)バステューバほど大きくないような気がします。

次回は第3幕(前半)です。


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