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Brahms/Sym4 [交響曲(独墺系)]

相変わらずそれなりに疲れています、というわけでブラームス続け打ち。今度は80年代の録音です。

ブラームス:交響曲第4番

ブラームス:交響曲第4番

  • アーティスト: バーンスタイン(レナード), ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, ブラームス
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2005/11/16
  • メディア: CD

バーンスタイン(どうも「レニー」というのは気恥ずかしくて。"Call me Lenny."って本人に言われたわけじゃないし)のブラームスは、発表当時「異端」というか、普通じゃないように言われていました。確かに、ところどころ極端なところはあるかもしれません。でもそれらは「自然の発露」であり、バーンスタインは、「ブラームスの魂の声」を聞いていたのではないか、だからこういう演奏になっているのではないか、と、近年になって再認識している次第です。

第1楽章冒頭は肩透かし(?) まったく粘りなく、速めのテンポでするすると始まります。「ブラームス晩年の溜息」ともいわれる切れ切れの第1主題がなめらかに、すらすらと流れていくさまは、旧来のブラームス解釈からすると異端かもしれません。でもここは、「やっこらせ。ああ~おらも年をとったなあ」ではなく、「内面に諦観とか老境とかの思いを秘めつつも、伊達を気取って、堂々と歩み行く」ブラームスなのだと思えば、納得の解釈ではあります。コーダに向かって増して行くテンポ運びは、バーンスタインならではですね。

第2楽章は特にH-durの中間部など、まるでマーラーのような、濃密な弦のアンサンブルが聴けます。止まってしまいそうなテンポ、消え入りそうな弱音など、いっそうバーンスタイン色が出ています。

第3楽章、第4楽章は推進力が前面に出た、力強い演奏になっています。その分、第4楽章中間部(遅い部分)との対比が際立っています。よくよく聴いてみると、ここでもウィーン・フィルのアンサンブルは必ずしも完璧ではありませんが、各楽器の音色やアンサンブルのバランスなど、やはりこの楽団でなければ出せない、他にかえがたいものは確かにあります。ライヴと銘打たれていますが、ここでバーンスタインのうなり声が何で聞こえないのだろう?と思えるようなところもある、ぐいぐいと引き込まれる演奏で、最後のピゥ・アレグロまで持っていかれます。

ブラームスはこの作品の作曲後10年以上生きていて、数々の作品を産み続けていますし、交響曲作曲の試みも行っています(その一部は「二重協奏曲」になってしまいました)。「最後の交響曲」というと、ブルックナーやマーラーのようなケースをついつい想起しがちですが、モーツァルトのように、たまたまそのあと交響曲を書かなかった/発表しなかっただけなので、必要以上に悲愴な面持ちをこの曲から感じる必要は無く、それよりも、数々の傑作をものして、古典の形式(教会旋法やパッサカリア)と自分の音楽の融合に挑んだ意欲作として捉えたいと思います。

DGのバーンスタインの録音は、指揮姿の写真を使っているものがけっこうあります。Amazonのリンクに写真が無いのは残念ですが、このブラームスのシリーズは特にいい写真が使われていると思います。第4番は「マサカリ」ポーズ(首をかしげ、開いた肩の上に両手で持った指揮棒が上がっている)、今まさに「ウン!」と振り下ろそうとするところが切り取られています。DVDで動くのも良いですが、こういうショットを見ると写真も、それはそれで芸術的artisitic(ありのままでないartificial、という意味も含めて)だなあ、と思います。

蛇足ですが、この曲のティンパニ、特に第1楽章は、オーケストラにはまりにくい難物です。第1番の第1楽章よりぜんぜん難しいと思います。ぴったりいったときの爽快感は格別ですが、なかなかうまいこといきません(^^;


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mozart1889

バーンスタインのブラームス全集、懐かしいです。
昔、LP4枚組9200円です。高かったんです。でも、当時ミーハーで(今もですが(^^ゞ)、レコード・アカデミー賞の大賞を取った演奏なら、買わずにおれませんでした。いやはや。
バーンスタインの4番は、うねるようなブラームスです。マーラー的なところもありますね。
終楽章は憤怒の表情、珍しい感じでした。
4番の終楽章は、後ろ髪を引かれながらたゆたうような演奏がそれまで多かったので、とても新鮮に聴けたことを思い出しました。
by mozart1889 (2006-02-20 09:54) 

stbh

mozart1889さんこんにちは、毎度ご来訪ありがとうございます。
そうですか、LPの全集お買いになりましたか。私は輸入版のCDが2000円くらいになって、やっと買いましたので、新参ですね(^^; 
CBSを離れたバーンスタインは、DGにベートーヴェン、自作、ブラームス、シューマン、そしてマーラーと交響曲全集をライヴで録音しつづけましたね。あまりに主観的といわれることもありますが、どれも彼の音楽への愛が感じられる、余人をもって代え難い録音ばかりです。
by stbh (2006-02-20 21:07) 

mozart1889

stbhさん、TBを有り難うございました。当方もよろしくお願いします。
今もLPの全集を取り出します。CDでも買い直しました。4番のまさかり・ジャケットもエエですね。
by mozart1889 (2006-04-05 05:12) 

stbh

mozart1889さん、TB&コメントありがとうございます。80年代のDGのジャケット、バーンスタインをはじめとしてアバド、ジュリーニなど指揮姿の写真がけっこうありました。当時は絵や風景写真の方が好きだったのですが、今あらためて見直すと、指揮者の貴重な記録にもなっていて、味がありますね。あ、もちろん、第1の記録は音楽なのですが。
by stbh (2006-04-06 01:06) 

サンフランシスコ人

指揮者バーンスタインがロサンジェルス・フィルハーモニックと録音した作曲家バーンスタインのCDは爽快です。
by サンフランシスコ人 (2008-03-03 05:26) 

stbh

80年代にLAPOとシンフォニック・ダンスなどを入れいているのですね。
by stbh (2008-03-05 18:32) 

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