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Mozart/SerenataNotturna [管弦楽曲]

遅ればせながら、モーツァルトのエントリーを。有名曲ではありますが。

モーツァルト:セレナード第6番&第13番

モーツァルト:セレナード第6番&第13番

  • アーティスト: イ・ムジチ合奏団, モーツァルト
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2005/06/22
  • メディア: CD

 

セレナード第13番がK.525、いわゆる「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」G-dur、セレナード第6番がK.239の「セレナータ・ノットゥルナ」D-durです。他に、「ザルツブルク・シンフォニー」と呼ばれる3曲のディヴェルティメント、K.136 D-dur、K.137 B-dur、K.138 F-durが収録されています。モーツァルトの弦楽作品のポピュラーなものを集めたCDですが、中ではセレナータ・ノットゥルナがいちばんマイナーでしょう…。

ジャケットは違いますが、私の聴いているCDと収録曲が全部同じなので、たぶんこれだと思います。1972年7月と9月、スイスでの録音。このころのコンマスはミケルッチでしたっけ、それともアッカルド?いずれにしてもイ・ムジチの持つ明るい響きが、モーツァルトの曲想となんとあっていることでしょう!特に、16歳の、イタリア旅行から戻ったばかりのときに作曲された3曲のディヴェルティメントに、開放的な音(「チャーン!」という弾き納めの音の出し方によるのかなあ)がよく似合います。

今日の本題の曲、「セレナータ・ノットゥルナ」と命名された曲は、他にあるのでしょうか。セレナータはセレナーデ、ノットゥルナはノクターンですから、そのままだと「夜曲的小夜曲」になってしまい、頭の頭痛が痛くなってしまいます(^^; CDの解説には「これは要するに、ふつうの「セレナード」と同じことである。」と書かれてしまっていて、何でわざわざこういう題名にしたのかわかりません。また、モーツァルト20歳の作品ということはわかっていますが、作曲された由来(誰かに依頼されたとか、献呈するためとか)もわかっていないなど、得体の知れない曲のようです。

考えられる理由のひとつとして、複数群の編成を用いるとき、「ノットゥルナ/ノットゥルノ」の題名をつける、という説もあるそうです。たしかにセレナーデ第8番「ノットゥルノ」は4群のオーケストラを用いています。毎度、編成の話で恐縮ですが、この第6番は「コンチェルト・グロッソの形」として解説されることが多いです。第1オーケストラはヴァイオリン2、ヴィオラ、コントラバスの4人、そして第2オーケストラは第1、第2ヴァイオリンとヴィオラ、チェロの弦楽合奏にティンパニが加わります。

第8番とは、楽章数も共通しています。セレナードは屋外での演奏が想定されているものもあり、最初と最後が行進曲だったりして、多楽章(7とか8とか)の曲が多いのですが、この曲と第8番はいずれも3楽章しかなく、モーツァルトのセレナーデでは最少です。

では第1楽章、マーチから。いさましいfの合奏で主題が始まりますが、直後のなめらかな独奏群との対比に代表されるように、小部分ごとの曲想の違いを楽しむような構成になっています。中間部のピツィカートとティンパニのpの部分が特に印象的ですね。イ・ムジチの演奏は行進曲のテーマも堅苦しくなく、いかにも楽しげに聞こえます。楽器の音色や奏法など、いろいろ要因はあるのでしょうが、何とも優美なものです。

第2楽章はメヌエット、主題部はティンパニが入っているせいか、モーツァルトにしては力強い感じがします。トリオへはほとんどテンポを変えずに入りますが、三連符、十六分音符のアンサンブルがきっちり弾かれていて、やや固めの印象。

第3楽章のロンドは、思いのほかゆっくりしたテンポですが、決して重く聞こえないところがイ・ムジチの真骨頂でしょうか。ここでも中間部との表情の対比が絶妙です。モーツァルトにしてはあまりかげりのない曲調も、イ・ムジチの華やかな音とあっているようです。

実はこの曲、学生のときにうちわでやったのです。モーツァルトのティンパニは、例えばベートーヴェンのようにfを本当にでかい音で演奏してはいけなくて、あくまで優雅に、一人で目立たないようにしなければなりません。しかし、いくら周囲が少人数の弦楽だけとはいっても、ティンパニはソロ的要素も多分にあり、ただ引っ込んでいるだけというわけにはいきません。そのへんのバランスが難しいのです。本番をタイコの師匠にも聞いてもらっていて、笑顔で「まあ、よかった」といちおう及第点をもらったのが、懐かしい思い出です。

mozart1889さんの、カラヤンの録音をエントリーをTBさせていただきました。


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コメント 6

mozart1889

今日は。TB有り難うございました。
イ・ムジチ合奏団のモーツァルトはエエですね。
スカッと抜けるような青空、とっても明るいモーツァルトです。
弦楽器の響きが素晴らしく、何度でも聴きたくなります。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の爽快さなど忘れられません。
by mozart1889 (2006-02-03 17:49) 

stbh

中学生くらいだったと思うのですが、NHKにイ・ムジチが出演して、「春」の第1楽章を途中までやったのを聴いた(見た)のが、初めての出会いだったと思います。息の長い楽団ですが、明るい音はいつの時代も変わりませんね。まさに「爽快」という表現がぴったりです。ヴィヴァルディなどが本領なのでしょうが、モーツァルトの明るい曲も、ついつい聴いてしまいます。
by stbh (2006-02-04 19:33) 

おさかな♪

先日、オケ弦楽器有志でアイネクを弾いたところ、ものすご~く爽やかな合奏になってとても感動しました。お友達の好意で、おうちを練習場所に提供してもらったのですが、白いじゅうたんのお部屋に日光がさんさんと差し込んでいて、まさにアイネクの演奏のような風景♪
結成したカルテットは、早くも病院等での演奏依頼を受けていますが、治療効果もある(?)モーツアルトも選曲候補として有力です!
by おさかな♪ (2006-02-05 23:22) 

stbh

おさかな♪さん、ご来訪ありがとうございます。
モーツァルト、聴いても弾いてもいいですね!日のあたる明るいお部屋に似合います。もう演奏依頼が来るなんて、さすがですね。ぜひ多くの方を癒してください。
by stbh (2006-02-07 08:44) 

丘

はじめまして。
「セレナータ・ノットゥルナ」はブログで珍しいようですが、私は大好きです。
有名な「ポストホルン・セレナード」とのカップリングのベーム/ベルリンフィルの輸入盤(LP)を持っています。
作曲経緯などの「なぞ」に関して、この盤の解説には「作曲が1月で室内での演奏のために書かれた。そして2つのオーケストラは多分別々の部屋に
置かれた、チャーミングなエコーが生まれるように・・・」などとあります。
これまで、私もこんな解説を知らぬまま何気なく聴いてましたが・・・。
by 丘 (2006-02-08 17:54) 

stbh

丘さん、はじめまして。ご来訪いただきありがとうございます。そんな経緯がこの曲にはあったのですか!珍しい編成の曲ですが、タイコタタキにははずせません(^^; これからもよろしくお願いします。
by stbh (2006-02-10 08:58) 

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