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Poulenc/Gloria [声楽曲]

年内の通勤が次第に残り少なくなってきました。天気概況を見ると関東以外の皆さんは軒並み雪だそうで、お見舞い申し上げます。

時節柄か、なんとなく宗教曲づいてしまった今日この頃、ドイツ、イギリス(書いたのはドイツ人だけど)ときたので、今回はフランスものを。ただし、フランス語でなくてラテン語、聖書でなくて典礼文です。聴いているのはこちらのCDですが、これも例によって現役ではないようです。

Leonard Bernstein Conducts Stravinsky, Poulenc, Bernstein

Leonard Bernstein Conducts Stravinsky, Poulenc, Bernstein

  • アーティスト: John-Paul Bogart, Leonard Bernstein, Francis Poulenc, Igor Stravinsky, Abraham Kaplan, Leonard Bernstein, Camerata Singers, London Symphony Orchestra, New York Philharmonic, Westminster Choir
  • 出版社/メーカー: CBS
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD

プーランク/グローリア、ストラヴィンスキー/詩篇交響曲(これはLSO)の2曲は70年代の録音で、LPはこの2曲で出ていました。特にプーランクは1976年12月と、バーンスタインのCBSへの録音のうち最期に近いものだと思います。プーランクの合唱はウェストミンスター合唱団、ソプラノ・ソロは前回のエントリーの「メサイア」でも歌っていたジュディス・ブレゲンです。

CDに含まれるもう1曲、自作の「チチェスター詩篇」は60年代の録音。これはDGにも再録音してます。プーランクでフランスの宗教曲を、他の2曲でアメリカとロシアの宗教曲を聴けるという、おいしいCDです(^^; ストラヴィンスキーはプーランク同様ラテン語で、ロシア語じゃないのがちょっと残念ですが。そういった意味では歌詞がヘブライ語の「チチェスター詩篇」の方が「世俗」感は出ますね。

プーランクの代表作は何でしょう?昔はバレエ組曲「牝鹿」、この曲、「オルガンと弦と打楽器のための協奏曲」、室内楽だと六重奏曲(木管五重奏+ピアノ)あたりかと思うのですが、皆さん何を聴いていますか?実はこの人、ピアノ曲、室内楽、合唱曲などけっこう多作です。小編成の曲も、いかにもフランス仕込み風ですてきだと思うのですが、あまり聴いていません…。

この「グローリア」はボストン交響楽団(BSO)の委嘱によるもので、1959年に作曲された、プーランク最後の宗教曲です。プーランクはこの曲のあとに1曲しか作曲せずに1963年に亡くなっていますから、本当に最晩年の作品で、プーランク語法の集大成、といったところです。
曲はミサの通常文にしたがって書かれ、大きく6つの部分に分かれています。
1. Gloria
ト長調のファンファーレで曲が始まります。ト長調(G-B-D)とロ短調(B-D-F#)が交錯して不思議な感じがします。無調ではないのですが、唐突に不協和音が鳴ったりして、新古典主義っぽい響き。主題は近接音程(B-A-G-A-B-Dとか)で親しみやすいです。
2. Laudamus Te
裏打ち、短い走句、4拍子と3拍子の交替など、リズムが特徴的な曲。全体的にオンマイクで一列横隊的な録音のせいだと思うのですが、トロンボーンのアタックがブカブカいいすぎて楽音がよく聞こえません。途中で聖歌のようなアカペラになったり、変化に富んでいます。
3. Domine Deus
木管のひそやかな長音に始まる静かな曲。ソプラノ・ソロが切々とで"Domine Deus"と歌うのが印象的。
4. Domine Fili Unigenite
スケルツォのような、短い曲。"Jesu Christe"がいろいろ形を変えて歌われます。
5. Domine Deus, Agnus Dei
かなり長いオーケストラの前奏の後、"Domine Deus"、"Qui tollis"、"Suscipe"の3つの旋律が交互に、あるいは入り組んで現れ、対位法的に曲が進んでいきます。
6. Qui sedes ad dexteram Patris
力強いアカペラのユニゾンで始まる終曲。ファンファーレをはじめとする第1曲の主要テーマを回想して、最後は静かに終わります。
バーンスタイン指揮とは言っても、マーラーのようにヘビーなわけではなく、NYPの薄めの音とあいまって、曲本来の軽さが反映されています。それでも第3、5曲あたりはじっくり聴かせています。
最後に他の録音を二つ、ご紹介しておこうと思います。ひとつは、初演(1961年、ミュンシュ/BSO)の直後、作曲者監修のもとに行われたプレートル/フランス国立放送局管弦楽団のもので、デュリュフレがオルガン・ソロを弾いています(コンチェルトとカップリング)。もうひとつは、キャスリーン・バトルがソロを歌った小澤/BSOのデジタル録音(「スターバト・マーテル」とカップリング)で、これがたぶん最新の録音です。ジャケットのステンドグラスがかっこいい(どこの教会でしょう?)
消えてしまうのはもったいない、名曲だと思います。ぜひ探して、聴いてみてください。
それではみなさん、めりい・くりすます。

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