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Handel/Messiah [声楽曲]

日本では年の瀬のクラシックと言えば「第九」ですが、欧米(英米?)ではこれが「暮れの風物詩」のようで、あちらこちらでプロ・アマ問わず演奏が行われます。今回はちょっとひよって抜粋盤。

Messiah Hlts

Messiah Hlts

  • アーティスト: Handel, Westenburg, Blegen, Musica Sacra
  • 出版社/メーカー: RCA
  • 発売日: 1991/06/21
  • メディア: CD

これではあまりに不親切なので、演奏者を書きます。
Musica Sacra, Musica Sacra Chorus
Richard Westenburg(Music Director, Harpsichord)
Judith Blegen(S), Katherine Ciesinski(A), John Aler(T), John Cheek(B)

18トラック、70分以上入っている1981年のデジタル録音で、全曲盤もあるようです。10年以上前に廉価盤(1000円くらい?RCAのシルバー・シール)で購入したものです。時間にすると全曲の半分近くが入っていることになります。ムジカ・サクラという団体はぜんぜん知らなかったし、これまで調べもしなかったのですが、検索するとニューヨークの団体らしく、クリスマス・キャロル集のCDなども出しているようです。ウェステンバーグは主宰者らしいですね。

「メサイア」はいうまでもなくヘンデルの代表作です。チャールズ・ジェネンズのリブレットに感銘を受け24日間で作曲されたほど、ヘンデルとしても入魂の作品でしたが、キリストを扱いながら劇場(演奏会)で演奏することへの反感もあり、ダブリンでの初演こそ会場に入りきれないほど人を集めましたが、ロンドン初演やその後の再演は、必ずしも成功ではなかったようです。しかしヘンデルが根気強く演奏を続け、次第にその偉大さが認められ、今では押しも押されぬ名曲として知れ渡っています。

初演・再演の過程でヘンデル自身が編成を変えており、いわゆる「原典版」は存在しないそうです。これらのヘンデル自身による変更も楽譜はきちんと残っておらず、「これが本当のメサイアの姿だ」と決めるのは困難なようですが、基本は弦楽合奏と通奏低音にオーボエが1曲だけ、ティンパニが2曲、トランペットが5曲に加えられているとするのが一般的なようです。

さらに、後世の作曲家たちによる数々のオーケストレイションもあります。有名どころでは2管編成に木管を拡大したモーツァルトの編曲があり、リリンク指揮などの録音で聴くことができます。さらに打楽器なども加わった大編成の編曲は、ビーチャム指揮の録音があります。

この録音は、聴いた限りでは基本的には弦楽合奏中心の編成で演奏されていて、ところどころオーボエが聞こえてくるところを見ると、ファゴットも入っているのかもしれません(耳ではわかりませんでした)。ピリオド楽器ではないと思いますが、全体にテンポは速めで合唱もあまり大編成ではありません。トランペットとティンパニは、最小限だけ入っています。

全曲は3部構成で、第1部がキリスト降誕の告知、第2部がキリストの受難と贖罪、第3部は復活と永遠の命をテーマにしています。演奏時間はそれぞれ60分、50分、40分くらい。いちばん有名な「ハレルヤ・コーラス」は第2部の最後です。

このCDには各部から順に11、4、3曲収録されています。2曲の器楽曲(「序曲」Sinfoniaと「田園曲」Pifa)を含んで変化に富んだ音楽が多い第1部から多くの曲が選ばれているのは、まあ順当なところでしょう。第2部最後の「ハレルヤ・コーラス」に対して第3部の最後は「アーメン・フーガ」。この2曲だけでもヘンデルの偉大さは味わえますし、合唱だけ集めた録音もありますが、できれば全曲を聴きたいと思います。

形式的には、序曲にレシタティーヴォとアリア、ときどき合唱という当時のイタリア・オペラの構成を用いているのですが、この曲の特徴はなんと言っても合唱の比重が大きいこと、ただ聴かせるだけの旋律でなく歌詞との関連が熟慮されていることではないでしょうか。前回のブラームスと、奇しくも聖書を日常の言葉で歌う曲が続きました。これらの曲を聴くと、西洋音楽はやはりキリスト教に強く根ざしているものなのだなあ、としみじみ感じます。

ところで我が家には、メトロポリタン美術館(MMA)所蔵の美術品の写真が挿絵になっている、デヴィッド・ウィルコックス(往年のフォーレのレクィエムの録音が有名)監修の、メサイアなどの合唱の楽譜(ピアノ伴奏)があります。ハレルヤ・コーラスのページは、例年、クリスマスのシーズンに1階中央に飾られる、高さ20フィート(7メートルくらい)の、このクリスマス・ツリーなのです。

http://www.metmuseum.org/special/Christmas2005/images.asp

私は幸いにも2回、目の当たりにすることが出来ました。ぜひクリスマス・シーズンにニューヨークにおいでの際は、MMAを訪れて、これをご覧になってください。アメリカの美術館は、フラッシュ/ストロボをたいたり三脚を立てたりしなければ撮影が許可されているところが多いのですが、さすがにこれは撮影禁止でした。いらっしゃる方、お気をつけください。

ニューヨークといえば、12/21現在、MTAのストで地下鉄とバスが全く止まっています。昨年、12月上旬にいったときですら、ロック・フェラー・センターの周辺など平日でもごった返していました。ましてやこのクリスマス直前の時期、ビジネスや商戦への影響は莫大なのではないでしょうか。地下鉄やバスだって書き入れ時だろうに、いくらアメリカの組合はやることが大胆といっても、これはちとやりすぎでは、と思いますが。


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