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Brahms/VnSonata1 [室内楽・器楽曲]

先週のぐずついた天気が一転、快晴が続いています。この渋めの曲、天気が悪いときに聴き始めたのですが、ちょっとこの陽気には似つかわしくないかもしれませんね(^^;

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番~第3番

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番~第3番

  • アーティスト: パールマン(イツァーク), アシュケナージ(ウラディーミル), ブラームス
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2002/03/06
  • メディア: CD

ひところの(?)ゴールデン・コンビと言えるでしょう。1983年のデジタル録音です。パールマンがEMI、アシュケナージがDecca所属だったので、この録音はEMIですが、例えばベートーヴェンのソナタはDeccaから出ています。上のリンクはartリマスター盤のようですが、私はリマスターされてない旧盤を聴いています。これも3300円だったですね…。

ヴァイオリン・ソナタ第1番Op.78は、1879年、ブラームス46歳の年に完成されています。ヴァイオリン協奏曲Op.77と並行して書き進められたようで、ヴァイオリン協奏曲に入る予定だった構想がいくらかこのソナタに生かされているそうです(作品番号もお隣さんですね)。

このころのブラームスは、第1交響曲(1876年)以来、管弦楽を毎年のように作曲しています。すなわち、第2交響曲(1877)、ヴァイオリン協奏曲(1878)、「大学祝典」(1879)と「悲劇的」(1880)の二つの序曲、そして1881年には「ピアノ付き交響曲」と呼ばれるピアノ協奏曲第2番を完成しています。そして1883年に第3、1885年に第4交響曲を作曲して、交響曲はおしまいです。

ブラームスの管弦楽作品は、声楽の伴奏や小品を除くと全部で13曲しかありません(交響曲4曲、協奏曲4曲、セレナーデ2曲、序曲2曲、変奏曲1曲)。この10年間に、このうち半分以上の8曲が作曲されているのですね。第1交響曲以降、交響曲作曲の呪縛が解けたからか、堰を切ったように管弦楽曲が作られていく時期だったわけです。

こういう時期に作曲されたから、またヴァイオリン協奏曲の構想に基づいているからといって、このヴァイオリンソナタが特にシンフォニックかというと、決してそんなことはないと思います。もともとブラームスのピアノは重厚なのですが、かえって軽やかな感じさえします。またヴァイオリンは超絶技巧が求められているわけではなく、どちらかというと地味でおとなしいです。調性も穏やかなト長調で、全曲を通してしっとり聞かせる曲想になっています。

6/4拍子で付点二分音符のピアノの和音が連なる上にヴァイオリンの第1主題が出てきて始まる第1楽章は特に規模が大きく、3曲のヴァイオリン・ソナタの中で最大の楽章になっていますが、決して大仰にならず、流れるような八分音符が曲をなめらかに進めて行きます。

変ホ長調になる第2楽章は、よりピアノが主体になっていて、クライマックスの盛り上げもがんばっています。ヴァイオリンは「ヴィオラソナタ」と言ってもよいように高音域を使わず、華麗ではありませんが美しい音楽です。テンポの指定はAdagioとAndanteですが、けっこう頻繁に速度を変える指示があるのが室内楽的ですね。

第3楽章はト短調、歌曲「雨の歌」からの旋律が使われているそうです。第1楽章のように十六分音符が狂言回しになって主題をつないでいきます。コーダはト長調になって、静かに(pひとつなので「消えるように」ではありません)終わります。

パールマンとアシュケナージの演奏は、どちらが主役ということなくぴたりと寄り添い、「ブラームスの世界」に浸らしてくれます。パールマンもアシュケナージも、ブラームスになりきっていて、それでいて彼らならではの個性もきっちり聞こえてくる。他の演奏はあまり聴いたことないのですが、「他の演奏を聴かなければならない」というモチベーションは低いです。いろいろお聴きの皆様、これを凌駕する新しい録音がありましたら、お教えください。


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