Beethoven/Sym6 [交響曲(独墺系)]
久しぶりのベートーヴェンのエントリーは、「田園」です。あまりデータがネットに落ちてないCDなので、書きます。今回聴いたのは「田園」だけでした。
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」*、交響曲第8番
ジェームズ・ロッホラン指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団*
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮ロンドン交響楽団
10年以上前の新星堂の企画による1000円CDで、Collins Classicsというレーベルのものです。ジャケット(?ケース表に挟まれていて「表紙」になっているもの)は紙1枚、表はいわゆる通常の「ジャケットおもて」で、裏は楽章ごとの演奏時間や録音スタッフなど。しかし録音データは「in London 1988-89」だけというそっけなさ。日本語の紙も1枚ついているのですが、こちらも「田園」とロッホランの紹介がそれぞれわずか100字程度、第8番とフリューベックには言及なし、という状態です。
街頭の非正規安売りCDが出てきたのはバブルの頃でしたっけ?解説とかデータとかはついてませんが、60年代のカラヤン、ショルティ、ベーム等の録音が正規盤の半値かそれ以下で買えたので、それなりに重宝しました。2枚組300円のPILZなんてレーベルもありましたね。(旧)東独系のアーティストが多かったように思います。
正規の1000円盤の出始めはドイツ・シャルプラッテンの再発だったでしょうか。やはり解説や演奏者紹介はぜんぜん無く、オビに券がついていて、何枚送ったら別冊の解説書がもらえる(買える?)とかいうしくみだったと思います。こういった初期のものにくらべれば最近の1000円(程度の)盤は解説もきちんとついているし、リマスタリングは向上しているし、よい時代になったものです。それでも貧乏人は、なかなか「全とっかえ」というわけにはいかないのですが…。
閑話休題。オーケストラで弾いていて同じ曲を何回もやったり、気に入った録音を何度も何度も繰り返して聴いたりした曲は、いったん離れるとあまり録音を聴かなくなったりしませんか?もう「身についている」というか、スコアを見れば(見なくても)それなりに曲・音をおぼえているし、自分がやった演奏のイメージがあるし…。
「田園」はスコアを最初に買った曲でした。第1楽章を中心に、けっこう聴いたし、オーケストラに入ってからは自分で演奏しないものも含めると本番も多く体験したので、わざわざ録音を聴く必要も感じませんでした。
そもそもこのCDを買った理由も、「田園」と第8番のカップリングが、ちょうどすでに買ってあったベートーヴェンの交響曲のCDとかぶらないから、という至って消極的な理由なので、耳にはしていたのですが、あまりきちんと聴いてきませんでした。
ロッホランは長年イギリスのハレ管弦楽団の指揮者だった人(その後バンベルクでしたっけ)ですね。ハレ管との録音がいろいろ出ていますから、名前を見たことがある方は多いのではないでしょうか。
非常に素直な録音だと思います。極端なテンポやテンポ変化はほとんど無く、中庸の解釈で通されています。こういう演奏はアマチュアで演奏したことのある身には、ある意味ありがたいと思います。
というのも、アマチュアのオーケストラは(トップレベルの団体を除けば)音を合わせるだけでも大変ですから、極端な解釈は実現しにくいですし、綿密なアンサンブルを求めるわけにもいかず、結果として、凡庸な解釈に落ち着くのは必然ともいえます。そういう演奏体験が積み重なった後で、例えばC. クライバーやチェリビダッケ、テンシュテットなど個性的な演奏を聴くと、面白さがいっそうわかる反面、あまり繰り返して聴くのはつらい時があるのです。
この録音は、とんがったところがほとんどないので、すんなり入っていけます。アインザッツや音の長さなどもきちんとした演奏ですので、一聴すると「つまらない」と思ってしまうかもしれませんが、純粋に「田園」という曲を楽しむには、かえってありがたいと感じます。いやあの、決して「聞き流しやすい」と言っているわけでは…(汗
有名指揮者の手に汗握る快演も良いですが、こういう録音もほっとしますね。
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