Bach/ロ短調ミサ [声楽曲]
バッハは限られた曲しか聴いてきませんでした。この曲をまともに聴くのはこれが初めてでした。
私が購入したのは輸入盤ですが、いずれにしても、なんと感動的な音楽でしょう!「もともとまとめられる予定ではなかった」「つぎはぎの寄せ集め」などの否定的な言葉に踊らされていた自分が恥ずかしいです。
バッハの声楽曲は、若いころに「マタイ受難曲」を聴いて、その壮大さと難解さに太刀打ちできず、そのままカンタータなども聴かずに過ごしてきました。しかし先日このCDがバーゲンで出ているを店頭で見つけ、「そろそろいい年だし(苦笑)聴いておかないと」と思って購入したのです。 これは「Towerrecordsさん、ありがとう」というしかありませんね。
バッハが死の直前に取り組んでいたのがこの「ロ短調ミサ」だったそうです。歌詞はミサの通常文-キリエ、グローリア、クレド、サンクトゥス、アニュス・デイ-が用いられており、全曲を通すと2時間近くかかる大曲です。特に大部のグローリアとクレドは「十字架形式」という、前後が関連を持ち、大きい中間部がまた入れ子になっている構造をとっているそうです。
曲全体、あるいは部分部分の構造や原典、作曲年代などを詳しく知っていれば、いっそう堪能できるのでしょう。しかし今回、ほとんど予備知識無く聴き始めても、その生き生きとした、それでいてフーガなどは端整に作られている音楽は、十分楽しむことが可能だと思います。これがバッハの音楽の偉大さなのか、レオンハルトとラ・プティット・バンドらの功績なのかは私にはわかりませんが、たぶん両方なのではないでしょうか。
録音は1985年ですが、アナログ録音のようです。とはいえ、気楽に聴く分にはまったく弱点は感じさせません。一つ一つの音があまり立ちすぎず、ほどよい混ざり具合であることも、心地よさの要因のひとつなのでしょうね。なお、音楽之友社から出ていたスコアは残念ながら現在、流通していないようです。
新たに演奏(録音)を聴く、というのは、いつも新鮮でわくわくする体験ですが、この録音は私にとって、ここ数年でいちばんの衝撃でした。ぜひ皆様の感想をお聞かせください。
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