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Bruckner/Sym9 [交響曲(独墺系)]

オペラをやったり、マーラーを聴いたりしていて、しばらくご無沙汰でした、ブルックナー。今日は第9をこの録音で。

ブルックナー:交響曲第9番

ブルックナー:交響曲第9番

  • アーティスト: マタチッチ(ロヴロ・フォン), ブルックナー, チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2002/06/21
  • メディア: CD

マタチッチのブルックナーといえば、70年代のチェコ・フィルとの第7や最晩年のN響との第8などが有名ですが、この80年、チェコ・フィルとのライヴの第9もよく知られています。そういえば私は、マタチッチはこれらのブルックナー以外、ほとんど聴いてません。あの風貌が、そもそもブルックナーにぴったりと言ったら、あまりに安易ですか。でもやはり、N響でブルックナーを振ったときの映像が、まぶたの裏に焼きついています。

マタチッチのブルックナーは、「大きな流れ」をまず重視しているようです。この第9もライヴなので、細かい部分の乱れは多少ありますが、そんなことは二の次で、構えと言うか、長い時間スパンでみたときの音楽のつくりの方がはるかに大事なのですね。

第1楽章は、比較的早い、あまり夢想的でないテンポで始まります。この曲の冒頭は、まず弦のD音のppのトレモロだけで2小節、そのあとに木管がpで入ってくるのですが、スタジオ録音だと弦のトレモロはそこそこ大きくしないと聞こえません。しかし、この録音は(本当の)ライヴのせいか、比較的よくppが聞こえます。実際のコンサートホールでの聞こえ方に近く、何となく安心して聴ける気になります。

チェコ・フィルは弦の音が有名ですが、第1楽章では金管、特にトランペット、トロンボーンの音が勇壮に鳴り響きます。最初のテンポはやや速めですが、随所にタメが入り、聴かせどころを押さえた演奏ですので、せかせかした感じは全くありません。最後のコーダまで、どっしりと分厚い音楽を聞かせてくれます。

続く第2楽章は、ざくざくっとした肌触りの、なかなか強烈な演奏になっています。特に主題部の荒々しい弦楽器は、ちょっとびっくりします。しかしこれが、しなやかなトリオと好対照をなしています。この楽章では、ハープがない分、分散和音を受け持ったり、けっこう木管楽器が活躍します。

第3楽章も、「夢幻の彼方へ連れられていく」のではなく、地に足の着いた、テンポ感がありしっかりした音楽になっています。ここではやはりワグナー・テューバの音色が魅力的。ブルックナー晩年の交響曲は、いずれもこの楽器あってのものですが、特にこの楽章は、最良の美しさが出ていると思います。マタチッチの解釈は最後まで無骨で、いささかこじつけ的なリタルダンドなどもときどきありますが、聴いているとだんだんその世界に浸ってしまうのがわかります。

ブルックナー以外にも数々の優秀な録音があるのです(はずです)が、やはり代表的な録音ということになると、ブルックナーははずせません。次には、何か違う作曲家の録音を聴いてみましょう。

では最後に、楽譜のリンク。重版の関係か、現在は第7、第8のほうが安いようですが。

OGTー209 ブルックナー 交響曲第九番 ニ短調 (〓sterreichische Nationalbibliothek Internationale Bruckner‐Gesellschaft miniature scores)

OGTー209 ブルックナー 交響曲第九番 ニ短調 (〓sterreichische Nationalbibliothek Internationale Bruckner‐Gesellschaft miniature scores)

  • 作者: ブルックナー, L.ノーヴァク
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 1998/12/10
  • メディア: 楽譜

ブルックナー協会版では、第4楽章のスケッチをできる限り印刷したものもあります。いずれ入手したいと思っていたのですが、なかなか手が出ないうちに見かけなくなってしまいました…。


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mozart1889

マタチッチのブルックナーは、素晴らしいですね。
構成というか、全体のスケールというか、細かいところにコセコセしないで、悠久の大河の流れのような演奏になってゆくところが、素晴らしいと思います。
DENONのクレスト1000シリーズで、5・7・9番の演奏を聴いています。
どれも、感動的でした。
by mozart1889 (2007-10-19 10:18) 

stbh

mozart1889さん、こちらもありがとうございます。

マタチッチのブルックナー、雄大でいいですね。大きな流れは説得力があります。第7のLPにカップリングされていた「神々の黄昏組曲」も大きな音楽のうねりが感動的でした。おっしゃるとおり、「魅力的」より「感動的」のほうがマタチッチの音楽には似合いますね。
by stbh (2007-10-20 07:57) 

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