SSブログ

Bruckner/Sym4 [交響曲(独墺系)]

上期末が近づき何かとあわただしい毎日、通勤の車中とはいえ、あまり没頭して音楽を聴けない(没頭して聴いていたらそれはそれで危険ですが)ので、没頭、じゃなくぼーっと聴ける(えー、決して聞き流しているわけではなくて、えーと、えーと…m(_ _)mごめんなさい)曲を。(後日、一部修正しました)

ブルックナー:交響曲第4番

ブルックナー:交響曲第4番

  • アーティスト: クーベリック(ラファエル), バイエルン放送交響楽団, ブルックナー
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2005/05/18
  • メディア: CD

エーザー版が聴きたくて同コンビの第3番を購入し、とても良かったので勢いで買ってしまったCDです。「ベスト・クラシック100」というソニーの企画ものの1枚だったのですが、当時(約20年前)3,000円したものが現在は1,250円で買えます。本拠ヘラクレス・ザールでのデジタル初期(1979年)の録音で、適度なホールトーンに溶けているのであまりシャープではありませんが、自然な感じで聴けます。

いつものことながら、この曲全編にわたって、クーベリックは非常に素直に演奏しています。譜面どおりでなく適度に緩急をつけ、でもやりすぎず、ちょっと金管がなりまくってバランスわるいかなあ、という感じのところも何箇所かありますが、基本的に安心して聴いていられます。

この曲が「ブルックナー初心者向け」といわれる所以はいくつかあると思いますが、まず、第1楽章が長調であることでしょう。晦渋でない、暗くないことは大事だと思います。次はスケルツォがファンファーレみたいでかっこいいこと。なぜこの曲だけ2拍子系にしたのでしょう?「ロマンティック」とか「狩のスケルツォ」とかのニックネームも親しみやすいです。ニックネームをブルックナーが(たぶん)自分でつけたのもこの曲だけ。とかとか。

でも、全部をきちんと聴こうとすると軽く1時間を越えますし、第4楽章はそれなりに難物ですから、なかなか大変。しかしそれゆえ、最後の最後に第1楽章のモチーフが帰ってくるといかにも「大団円!」という気分になりますよね。その意味ではやはり、1886年(?)の最後の第4楽章の改訂はありがたかったことになりますね。

私がこれをやったときには、指揮者がホルンとトランペットに1段だけの譜面を「最後の段はこれでやって」と渡して、「ハース版+最後の回帰」でやりました。たぶんその団体所蔵の古い楽譜がハース版だったのと、ポピュラーな旋律をやりたかったのでしょう。アメリカでやったのですが、譜面を渡しながら「この(最後の)部分はアメリカで発見された楽譜のようにやろう」というようなことを指揮者が言っていました。

クーベリックはここでノーヴァク版IV/2(「アメリカで発見された(^^;」楽譜に基づく、いちばん普通のノーヴァク版)を採用しています。ハース版との違いは上で書いた最後の第1楽章モチーフの回帰、オーケストレィションではトリオの主題の楽器がハース版がオーボエとクラリネットなのに対してノーヴァク版はフルートとクラリネット(☆追記 「フルートとクラリネット」のハース版も出版されていたとのことで、ここだけでは必ずしも区別できないようです)。その他、副旋律の音形や音程の違いがいくつかあり、ノーヴァク版にはフィナーレを中心に速度標語や拍子の変更(2/2→4/4など)が追加されています。

弦5部のトレモロにホルンが乗る開始は、典型的な「ブルックナー開始」のように思えるのですが、実は全11曲のうちこれだけです(例えば第9番は木管の吹き伸ばしがあり、第7番はホルンとチェロが重なっています)。第1楽章は速度標語が冒頭にしかないのですが、さすがにクーベリックは基本のテンポをしっかりとらえ、その上で展開部では緩急をつけて、微妙な表情を出しています。

第2楽章はハ短調ですが、不思議にあまり悲壮感の無い音楽だと私は感じます。四分音符がピチカートで入るので、レガート音ばかりより動きがあるように感じられるのかもしれません。いつも思うのですが、最後のティンパニは、残念ながらちょっと無骨ですね。四度の「でん、どん、でん、どん」はティンパニではおなじみの音形で、チャイコフスキーの第2交響曲第2楽章、マーラーの第1交響曲第3楽章、早いパッセージだとショスタコーヴィチの第5交響曲第4楽章などいろいろあるのですが、ブルックナーすなおすぎ。

いけないこととは知りながら(笑)第3楽章だけ聴きたくて、このCDを取り出すこともあります。この楽章はピシッとしたアンサンブルで聴きたいです。例えばヴァイオリンがトレモロのsempre ffで入ってくるところのタイミングと音量とか、最後近くのpppから次第に楽器が増えて八分音符、三連符(IME、このくらい変換しろよ)、十六分音符がごっちゃになって出てくるところの縦の線とか、枝葉のことではありますがカッチリしているのが気持ちよい。境目がどよろ~んとしたブルックナーはいただけません。

第4楽章、昔はなかなか通して聴けませんでした。持っている2枚組のLPも第4面だけきれいです。結局CDになって最初からなにも手を下さず通して聴けるようになって、そうこうしているうちにスコアを入手して、やっとなんとか聴けるようになりました。いちど聴けるようになってしまえば、もうブルックナーの魔術にはまったも同然なのですが。クーベリックの演奏も大胆かつ繊細。緻密な弦・木管のアンサンブルと美しく炸裂する(日本語が変ですが、まさしくそういう感じ)金管の対比がよいです。

 1970年代まではブルックナーは第4番、第7番以外は「通の曲」だったのではないでしょうか(熱狂的なファンは一部いましたが、今ほどメジャーではなかったはず)。今でも、ほぼ全部有名曲になってしまったマーラーとは違って、第2番まではポピュラリティという点でちょっと落ちますが、それでも第8番からブルックナーを聴いた、という方もいたりして、世の中かわったなあ、というか、私が年をとったということか。


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 2

おさかな♪

先日、NHKラジオで「ブルックナー 7番」がかかっていました。
ブルックナーを聴くのは初めてだったのですが、弦の音がとても綺麗で、ちょっとマーラーっぽさもあり、良い曲だなぁと思いました♪
マーラーがブルックナーを支援してあげた理由が少し分かりました。
by おさかな♪ (2005-09-18 13:02) 

stbh

おさかな♪さんこんにちは。いつもnice!とコメントありがとうございます。
弦楽器奏者の方はブルックナーにハマる(・∀・)!方と、だめ(×_×)な方とはっきりわかれますね。前者はきれいな旋律やアンサンブルに惹かれ、後者はffやppの全音符のトレモロやアルペジオのきざみが何十小節も続くのに辟易するようです。でも聴くだけでしたらトレモロもアルペジオも関係ないので(笑)、ぜひ旋律やアンサンブルを楽しんでください。第4も良い曲ですよ。
by stbh (2005-09-18 14:48) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

Mahler/TotenfeierBSO 05-06シーズン ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。