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Saint-Seans/Sym3 [交響曲(独墺以外)]

夏バテのせいか、どうにも調子が上がらない。朝、スパッと起きられない、仕事中も集中力に欠ける、踏ん張りが利かない、等々、基本的にいつものこととはいえ、ちょっとひどい(苦笑)。なので、きょうも「元気が出る(元気を出す)」1曲を。

サン=サーンス:交響曲第3番

サン=サーンス:交響曲第3番

  • アーティスト: デュトワ(シャルル), ハーフォード(ピーター), モントリオール交響楽団, サン=サーンス, フィルハーモニア管弦楽団, ロジェ(パスカル), オルティス(クリスティーナ), ロンドン・シンフォニエッタ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2003/06/25
  • メディア: CD

フィルハーモニア以下の奏者は、フィルアップの「死の舞踏」と「動物の謝肉祭」の参加メンバーで、交響曲はOSMです。1983年のデジタル録音。

フランスの作曲家の交響曲としては「幻想」の次ぐらいに有名でしょうか(いいすぎ)?古くはミュンシュ、アンセルメあたりから交響曲全集を入れているマルティノン、スペクタキュラーおまかせのオーマンディ、アナログ末期からディジタル初期にかけての録音を(も)売りにしたメータ、バレンボイム、カラヤン、レヴァイン、近年ではチョン・ミュンフンと、ぱっと思いつくだけでも名盤目白押しですが、「やっぱフランスものはデュトワっしょ」ということで。

CDを買えば必ず書いてあることなのですが、この曲は2部に分かれています。その第1部前半が交響的アレグロ、後半が緩徐楽章、第2部前半がスケルツォ、後半がフィナーレの役割を果たしており、実は通常の4楽章の交響曲に近い構成になっています。時間も全部で35分程度と、それほど長くありません。楽器編成は特殊3管+オルガン+ピアノ2台(第2ピアノは6小節?という話も)。ちょっと不思議だけれど、ハープは使ってないのです。

んー、やっぱりいいですね。冒頭、弦によるDes-durの和音の<>から、引き込まれてしまいます。静かな序奏が終わると3拍子の主部が「んたたららた|たりりららた」という特徴的なシンコペーションで幕を開けます。この曲は聞き流す分にはイージーだが(本当はいけないのよ^^;)楽譜を見るとびっくり。複雑な譜割りやシンコペーションがそこら中にあって、全曲どこをとっても、演奏しようとするとなかなか一筋縄ではいかないのです。

第1部後半はオルガンと弦のからみからはじまります。曲想はぜんぜん違うのだけれど音の響きから、ちょっとプーランクの「オルガン、弦とティンパニのための協奏曲」を思い出してしまいました。弦を中心としたのびやかな旋律は、サン=サーンスならでは。恍惚となってしまいます。

第1部が静かに終わると、第2部。また弦を中心にシンコペーションの嵐。打楽器まで含めて、縦の線がきっちり決まった演奏というのは、こういう快速な曲の場合、特に気持ちいいです。さすがOSM。前半の終結に向けてきっちりディミニュエンド。

そして一瞬、弦の音が切れると、「キターーーーーー(゜∀゜)ーーーーーー!!」(失礼しました)オルガンのC-durのff和音で第2部後半へ突入です。弦の長音符とピアノの細かい音形の対比、オルガンの持続音とオーケストラのアタックの対比など、個々をみれば単純なオーケストレイションなのですが、こうやって次々繰り出されてくると、いやがうえにも盛り上がってしまいます。低弦とオルガンペダルがゆっくりしたスケールを降りてくるところも、上はなかなかスリリングな(難しい)ことをやっています。最後は3/1拍子(1小節に全音符3個!)でC-durの和音の保持(やはり息のきれない/弓を返さないオルガンの威力は絶大)とティンパニのソロで輝かしく全曲を閉じます。最後の超リテヌートはデュトワの常套手段。最後の和音のティンパニはロール(トレモロ=ドロドロドロドロ)でなく単音なので、和音が非常に澄んで聞こえます。幻想やマーラーの第3交響曲と同じですね。

各地にオルガンを備えたホールが出来たおかげで、この曲を生で聴くことができる機会がずいぶん増えたと思います。アマチュアでもときどき取り上げていますよね。フル・オーケストラとわたりあえる性能を備えたオルガンが必要だし、ホールのオルガンと合わせるのは大変(チューニングとか、音のタイミングとか)ですが、これもぜひ生で演奏して/聴いてみたい曲です。

ちょっと話がずれますが。バブルや地方振興費のおかげでオルガンを備えたホールが増えたのは大変よいことですが、その導入コンセプトやその後の維持・運営は必ずしも成功しているとはいえないようです。こんな辛口の本もあります。

癒しの楽器 パイプオルガンと政治

癒しの楽器 パイプオルガンと政治

  • 作者: 草野 厚
  • 出版社/メーカー: 文芸春秋
  • 発売日: 2003/01
  • メディア: 新書

日本に来た多くのオルガンたちが幸せになりますように。
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コメント 4

おさかな♪

stbhさん
先日はコメントをありがとうございました。
サン・サーンスの3番「オルガン付き」は、以前大学オケのものを聴いたことがあります。パイプオルガンはピアノと違って、一回和音を押したあと、弦楽器のようにクレッシェンドできるところが好きです♪
by おさかな♪ (2005-08-20 22:42) 

確かに譜面を見るとびっくりしますね。弾く&合わせるのに苦労した覚えがあります。しかしフランスの交響曲って少ないですね。やっぱり形式より洒落た音楽を好む人々だからなんでしょうか。
by (2005-08-20 23:55) 

stbh

おさかな♪さん
なんてったって、オルガンは「楽器の帝王」ですからね、えっへん!オーケストラ曲でいちばん印象的に使われているのはこの曲でしょう。独奏曲だとすぐバッハを思い出してしまいますが、リスト、フランクをはじめ多くの作曲家が作品を残しているようです(モーツァルト、ブラームスなども)。シンフォニーの編曲などもありますよね。いろいろ聴きたいなあと思いつつ、なかなか機会が…。
by stbh (2005-08-21 10:51) 

stbh

浦島くん さん
これも弾いたことがあるのですか!経験豊富ですね。ウラヤマシイ。
検索したら「フランス三大交響曲」として「幻想」「オルガン」とフランクの交響曲が挙げられていました。「ちょっとちがうんじゃない?」という気もしますが…。あと有名な作曲家ではビゼー、グノーが書いていますね。近代ではルーセル、オネゲルが何曲かずつ書いていますが、いずれもベートーヴェンやブラームスみたいな「創作の柱」という聴かれ方はしていないようです。
ハイドンやモーツァルトと同時代の人の作品もいくつかあるようですが、聴かれる頻度はサリエリの作品並みでしょうか…。
「フランスのクラシック」というと、オペラやバレエのイメージが強いですね。
by stbh (2005-08-21 11:08) 

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