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東京プロムナード・フィルハーモニカー第9回演奏会 [実演]

先週、台風の影響が懸念される中、こちらの演奏会を聴きに行きました。

http://tokiopromenadephilharmoniker.jimdo.com/

会場:杉並公会堂 大ホール
開場:13:30 開演:14:00
曲目:W.A.モーツァルト 歌劇「魔笛」序曲 KV.620
   W.テーリヘン   ティンパニ協奏曲 作品34
        ティンパニ独奏:永野 哲(元九州交響楽団)
   A.ドボルジャーク  交響曲第9番 ホ短調「新世界より」作品95

私にとってのメインは、やはりテーリヘン(「テーリヒェン」という表記が一般的かと思いましたが、ここでは楽団の表記に従います)のコンチェルトです。映像や音で見聞きしたことはありますが、恥ずかしながら実演に接するのは初めてです。

この日は台風接近による強風のため、朝からJR・私鉄ともに多くの路線が止まってしまいました。会場の最寄り駅である荻窪へ行く中央線も各駅停車が止まってしまい、快速も間引きしているとの情報でしたが、幸運にも新宿でちょうど乗り換えることができ、その後も(休日にはスキップするはずの高円寺、阿佐ヶ谷には停車しましたが)順調に運行されたので、予定よりも早く駅に着くことができました。あとから聞いた話では、JRをあきらめて地下鉄丸ノ内線で来た人もいたようです。会場近くのコンビニでは、強風に備えてゴミ箱やのぼりが倒して置いてありました。

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ホールに入ると、舞台上ではすでにソロ・ティンパニがセットされていました。期待が高まります。

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まずは名刺代わりのモーツァルトから。初めて聴くオケですが、個々の奏者のレベルは高いと思いました。最近はアマチュア奏者の人口も増え、学生オケなどのレベルも私がやっていた数十年前とは比較にならないくらい高いですから、みんな上手ですね。 若い人が多いのか、なかなか推進力のある元気な演奏だったと思います。

さて、いよいよテーリヘンです。この曲は1954年に完成された「現代音楽」ですが、調性感があり、変拍子はありますがリズムも明確なので耳になじみやすいと思います。曲の構成は大きく3部-スケルツォ風、緩徐楽章、フィナーレのアレグロ-に分かれ、曲想が明快なので楽しく聴けました。ティンパニのソロは、あまり特殊な奏法を使うことなくオーソドックスに演奏されますが、もちろん技術的難度はけっこう高いです。そこを軽々と、音楽的に聴かせてくれるのがやはり永野さんのウデなのでしょう。

オーケストラパートは、20世紀の曲らしくけっこう難しいようでしたが、こちらは大健闘だったと思います。ティンパニは音量が大きいので、オーケストラと対等に渡り合う場面が何度かありましたが、名手のソロに引けをとらない素敵な演奏でした。自分が打楽器奏者であることを割り引いても、いちばん楽しめた曲でした。ティンパニのアンコールは2曲、作曲者を失念してしまいましたが「葬送行進曲」(テーリヘン追悼)と、なんと「黒田節」!でした。

後半は「新世界から」。超有名曲ですが、ソロは多いし(弦にもあります)アンサンブルはけっこう凝ってるし、なかなか難しい曲なんですよね。でも、よくまとまった演奏だったと思います。欲をいえば、モーツァルトのときにも感じたのですが、金管がときおりうるさく聞こえるようなところがありました(聴いた場所のせいだった可能性もあるので、安易には言えませんが)。もう少しバランスがよくなったら、もっと楽しめたかもしれないなあ、と思いました。

アンコール前に指揮者の方からお話が。そしてなんと、ティンパニ席に永野さんが再登場!アンコールの2曲(剣の舞、ラデツキー)のティンパニを演奏されました。ラデツキーでは本来の楽譜とくらべてすごく音数が多く、どうやらコンバス・パートをたたいていたようです、スゲー。オケとのバランスも完璧で、レギュラーの方には失礼ですが、ぜんぜん違うオケのように聞こえました。

半分、永野さんの独演会のようでしたが、こういう人と競演することはオケの勉強にもなると思います。オケの皆さんも楽しめたらよいなあ、と思いました。もちろん、お客さんはみんな(満席、というわけにはいかなかったようですが)楽しめたと思います。

実はこの団体には知り合いがいません。今回の演奏会に際しては、資金集めなどのために「永野哲Timpani協奏曲を実現する会」という組織が作られ、その活動のおかげで実現が可能になったそうで、私も「実現する会」のメンバーからお誘いいただきました。そのせいもあって、聴衆の打楽器奏者比率はとても高かったと思います。悪天候にもかかわらず、多くのアマチュア打楽器奏者が聴きに来ており、旧交を温めることもできました(^_^)

今回の演奏会を聴いて思ったのは、ティンパニは、ソロ楽器としてはやはり限界があるかな、ということです。協奏曲の「ソロを楽しむ」という観点からは、音が限られている(今回の曲はティンパニ5個でした)し、ペダルで音程は変えられますが他の楽器のように自由に、というわけにはいきませんので、ソロ楽器としての機能はどうしても低いと思います。ソロのアンコールも旋律中心の曲だったので、おもしろかったですが単調といえば単調でした。アンコールでオケの中でたたかれた曲で、永野さんのすごさをいっそう感じることができた(もちろん一流のオーケストラ・プレイヤーなのですから当たり前なのですが)とともに、ティンパニはやはりオケの支え役のほうが似合ってるかな、とも感じました。

とはいえ、貴重な機会であったことに違いはありません。この機会を作っていただいた多くの方々に感謝したいと思います。


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