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Mahler/交響曲第4番 [交響曲(マーラー)]

この曲を聴いたのはずいぶん久しぶりのような気がします。今回は-もうすでに「往年の名盤」の仲間入りでしょうか?-この録音で。リンク先は最近発売されたBlue-spec CD盤です。

マーラー:交響曲第4番

マーラー:交響曲第4番

  • アーティスト: マーラー,インバル(エリアフ),パギン(ディーゴ),フランクフルト放送交響楽団
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2010/09/22
  • メディア: CD

1980年代に録音されたインバル=フランクフルトのマーラー交響曲全集は、数多くの優秀録音を残したDENONのスタッフによる、最良の成果のひとつでしょう。録音全体を通じてマルチマイクは必要最小限と聞きますが、特にこの第4番は、2本のマイクだけによる純粋なワン・ポイント録音として有名です。マーラーの交響曲としては最小の編成のこの曲だからこその、極限への挑戦だったのかもしれません。

マーラーの交響曲としては唯一、編成の中にトロンボーンとテューバを欠くこの曲は、演奏時間から見ても最も短いので、第1番、第5番と並んで、長らく「マーラーの入門用」としての位置づけがなされていました。マーラーのすべての交響曲がポピュラーになった現在、かえって耳にする機会は相対的に減っているかもしれません。アマチュアも含めてみると、オーケストラだけで用が足りてそこそこの演奏時間の第1番、第5番が演奏される機会が多いと思いますが、わずかな出番とはいえソリストが必要であり、トロンボーン・テューバの出番が無いことがかえって仇になって、そう頻度が高いとはいえないようです。

マーラーの交響曲らしくホルンやトランペットも活躍しますが、他の交響曲と比較すると、弦や木管の活躍する場面が多いです。また他の曲のような厳しい、あるいは暗い部分は少なく、全体が長調基調の明るい、穏やかな曲想からなっています。

インバルの解釈は、例によって全体的にあっさり目ですが、ところどころでテンポや強弱の変化を強調しています。1936年生まれのインバルは、この録音当時(1985年)はまだ40代、フランクフルト放送交響楽団に着任して10年あまり、一連の録音が好評で「新時代のマーラーの旗手」として意気盛んなところでしょうから、通り一遍の平板な演奏・解釈では満足できなかったのでしょう。最新の都響との録音は未聴ですが、きっともう少しまろやかになっているのではないかと想像します。

独特の解釈はところどころにありますが、決して聴きづらいわけではなく、(平穏なほうの)マーラーの世界にひたれます。インバルのマーラーは第4、第5、第7の評価が特に高いと思いますが、それは録音だけのことではなく、音楽も含めてのことだということが実感できます。もちろん録音も、私の貧弱な装置でも、適度なホールトーンを伴った録音は心地よく響きます。

最後に昔話をちょっと。私がこの曲を最初に演奏したとき、この録音はまだありませんでした(大昔ですね)。第2、第1で小物を担当して、初めてマーラーのティンパニを演奏したのがこの曲です。他のマーラーの交響曲にくらべれば出番も少なく、技術的にもそれほど難しくはないのですが、まだ経験もあまり多くないころでした。すごく緊張して演奏し、終演後、友人に「良かったよ」と言ってもらってとてもうれしかったのを、今でもおぼえています。

スコアはこちらになります。

 

OGTー1214 マーラー 交響曲第4番 (決定版) (Philharmonia miniature scores)OGTー1214 マーラー 交響曲第4番 (決定版) (Philharmonia miniature scores)

  • 作者: マーラー
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 1977/04
  • メディア: 楽譜

 

 オイレンブルクスコア マーラー 交響曲第4番 ト長調 (オイレンブルク・スコア)

オイレルクスコア マーラー 交響曲第4番 ト長調 (オイレンブルク・スコア)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 全音楽譜出版社
  • 発売日: 2007/01/23
  • メディア: 楽譜

 

Mahler: Symphonies Nos 3 and 4 in Full Score

Mahler: Symphonies Nos 3 and 4 in Full Score

  • 作者: Gustav Mahler
  • 出版社/メーカー: Dover Publications
  • 発売日: 1990/01/01
  • メディア: ペーパーバック

ドーヴァーのミニチュアスコア、アマゾンでは品切れのようでした。このさいですから、第4の源流となる(第4交響曲の第4楽章は、もともと第3交響曲の「第7楽章」として構想されたものです)第3交響曲も合わせてお聴きになってはいかが?


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コメント 2

Lionbass

先日、ようやく演奏する機会を得ました。
ご指摘ような理由からか、なかなか弾くチャンスがなくて…。
心が平穏になっていくような気がしました。
マーラーとしては珍しく…。
これで残りは7番と8番です。(苦笑)

ところで、ブログを引っ越しましたのでよろしくお願いします。
新URLは下記の通りです。
http://lionbass2.blog.so-net.ne.jp/
by Lionbass (2010-11-04 10:10) 

stbh

Lionbassさん、nice!とコメントありがとうございます!
あと2曲ですか、すごいですね~。第8が難関かもしれませんが、達成めざしてこれからもがんばってください(^_^)

リンク先を【本家】に変更させていただきました。お知らせありがとうございます。
by stbh (2010-11-06 08:22) 

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