Bruckner/交響曲第4番のシンバル [音楽関係の雑記]
ブルックナーの交響曲第4番変ホ長調、通称「ロマンティック」は、第1楽章のホルンの主題や「狩りのスケルツォ」など親しみやすい部分が多く、ブルックナー交響曲の入門編のように位置づけられています。しかしブルックナー特有の、いわゆる「版の問題」についてはこの曲は上級者向きで、現在ブルックナー協会から4楽章の形で出ているものだけでも3種類あります。
このうちの第3版、およびその下敷きとなった改訂版について以前に書きました。もう4年も前のことです。先日、改訂版のスコアを見る機会があり、愕然としました。
第4楽章のコーダ、ホルンとテューバの旋律に「ぱーーぱぱぱ|ぱーぱー|ぱー」とトランペットが合いの手を入れるところがあるのですが、このトランペットの吹き出しと同時にシンバルがppで入るのです!
画面の一番下の段、Bk.(Beckenの略)と書かれているのがシンバルです。恥ずかしながら、録音を聴いた限りでは気がつきませんでした。同じ音形は2回あり、上の楽譜はその1回目のもので、2回目も同様にシンバルが入ることになっています。確かに「第3版」のCDではシンバルは入っていました(クナの「改訂版」のCDは音が悪く、2回目は入っているように聞こえますが1回目はよくわかりません)。
生半可な情報ですみませんでした。謹んで補足させていただきます。実際に演奏するか、せめて演奏会で聴いて(見て)いれば見落とすことはなかったでしょうが、やはりちゃんと譜面にあたらないといけませんね。
しかしブルックナーの交響曲でppでシンバルが入るのは、あとにも先にもこれきり、「ブルックナーらしくなさ」は否めないですね…。久しぶりにこれらの演奏を聴きなおしましたが、第3、4楽章は聴いていてどうにも落ち着きません。オーセンティックな協会版が出たからと言って、そう簡単にこの版が普及するということはなさそうです。
なお、クナの録音でもう1か所入っているシンバル(329小節、中間のクライマックスのところ)は、改訂版のスコアにも書かれていませんでした。これはブルックナー当人はもちろん、「第3版」を編んだ人たちもあずかり知らぬ改変だということですね。
ブルックナーのシンバルの件、初めて知りました。
(ブログに書きましたように)8日間に第九を2回演奏しますが、楽譜が違ってて、コントラバスの音符も少しだけ違ってます。
http://lionbass.blog.so-net.ne.jp/2009-12-17
ベートーベンも、自分で書き直したりしたらしいですね。
最近、金子健志氏の「第九」の本を買ったので、これから読もうと思ってます。
by Lionbass (2009-12-21 23:03)
> Lionbassさん
第9お疲れ様です。ブログを拝見して初見大会を思い出しました(;^_^A
ベートーヴェンやシューベルトのシンフォニーは、登場以来新版への移行が進んでいるようですね。私も数年前に第9を新版でやりました。昔の曲も少しずつ変わるのですね。そういえば「タイタン」の第3楽章冒頭も新版では「パートソロ」になってしまいました。
金子氏の本、マーラーの2冊は読みました。読み物というよりは「版の比較のデータ集」みたいな気持ちで行ったり来たりしながら読みました。ペダンティックな楽しみは大きいですね。
by stbh (2009-12-24 20:43)
打楽器のppって、ひそかに大好きです☆
独特の期待感というか…
マーラー五番の二楽章ラスト、ティンパニ?のpp
「てててんてん、てーんててん…」
大好きです!
実演でしか聴こえないだろうなぁ…という感じも、生演奏の魅力ですね♪
by おさかな♪ (2010-01-25 13:31)
ええと、あれは大太鼓ですね。大太鼓をppではっきり演奏するのは、けっこう大変なんですよ。聴く機会があったら注目してあげてください~!
by stbh (2010-02-06 17:55)
ヨッフム、カラヤン、バレンボイムは変形88年稿の4楽章、つまりシンバル強奏1発だが、フルヴェンはなんと強奏1発と弱奏2発のご丁寧な88年稿
by Salomon (2011-12-16 15:23)
Salomonさん、情報ありがとうございます。ヨッフム(新旧とも?)、カラヤン(同)も第4楽章の「1発」は入れているのですね。改訂版は最初に流通した版でしたから、70年代くらいまでは慣習的に使うことも多かったのではないかと推測しています。
by stbh (2011-12-17 23:53)