Berlioz/幻想交響曲 [交響曲(独墺以外)]
先日は「鐘」を集中的に聴きましたが、全曲も聴いてみたくなり、こちらの録音をひも解いてみました。例によってザルツブルク音楽祭の音源です。
ベルリオーズ/幻想交響曲
ロンドン交響楽団
指揮:クラウディオ・アバド
1983年7月31日、ザルツブルク祝祭大劇場にて
近い録音はこちら。同年2月に録音されたものです。
デジタル初期の録音で、音の良さがかなり話題になりました。広島の「平和の鐘」の音を使っていることでも有名ですが、鐘のことは発売当時はあまり話題になっていなかったように思います。3500円もした国内版の初出CDを持っていますが、解説にも言及されていません。
実はこの年、このコンビは日本でも「幻想」を演奏していたのだそうです。
アバドの演奏記録がいちばん充実しているのは、こちらのサイトでしょうか。
http://www.ne.jp/asahi/claudio/abbado/
こちらの「ロンドン交響楽団」のページによると、5月に来日して「マンダリン・幻想」というとんでもないプログラムの演奏会をやっています。マンダリンは前年にロンドン交響楽団(LSO)と録音していますし、他の演奏会で演奏している「巨人」もシカゴ交響楽団と録音した、脂の乗った演目ですね。そしてこのザルツブルクでの演奏会は、ウェーベルンとモーツアルトのアリア(ソロはグルベローヴァ)を前半に配したプログラムになっています。
さて、本題の演奏ですが、放送録音のせいもあるかとは思いますが、ダイナミックなシカゴとの録音と比べるとややおとなしめの印象を受けました。とはいえ第1、4楽章は繰り返しを実施、第2楽章にベルリオーズが後から加えたコルネットを採用するなど、アバド独自のアプローチも録音と共通ですし、全体のテンポ運びや雰囲気も大きくは違いません。テンポを揺らしたり強弱を強調したりしておどろおどろしさを醸しだすわけではなく、ストレートでシンフォニックな表現になっています。
へヴィーな「幻想」を聴きなれた方には第1楽章の序奏は物足りないかもしれませんが、すっきり爽やかで聴きやすく、気がつくとクライマックスまで一気に運ばれています。第2楽章のコルネット、音量は控えめですが、入ると華やかさが一段アップしますね。第3楽章はサクサク進んでいき、あまりのんびりしてはいません。雷も折り目正しくてあまり怖くありません。が、これはこれですっきりしていい感じだと思いました。
そして第4、第5楽章の間はほとんど開けずに演奏されています。2楽章まとめて壮大なフィナーレ、という印象でした。最後は文句なくブラヴォー!
このころの多くの録音と同様に、アバドが誠実に音楽を作ろうとしていて、オーケストラがそれにこたえようとしているのが伝わってくる快演だと思います。LSOとも長いこと良好な関係にあったことがわかる気がしました。
「幻想」の楽譜ももちろん版権が切れていますから、国内版がいくつか出ています。代表的なのはこちらでしょうか。
OGTー235 ベルリオーズ 幻想交響曲 作品14 (OGT 235)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 音楽之友社
- 発売日: 2001/05/11
- メディア: 楽譜
私の持っている昔の全音のスコアには第2楽章のコルネットが無かったのですが、こちらには載っているようです。また解説も充実しているようですね。
以前、NHK-FMで、幻想交響曲の鐘のところばかり聴き比べる、っていうのをやっていて、
全然感じが違って面白いと思いました。
アバドさんのも、荘厳で良いですよね♪
by おさかな♪ (2009-11-08 21:02)
(前も書きましたっけ)「当時の楽器」で演奏した幻想交響曲のDVDを持ってます。
衝撃的です。
テューバではなくセルパンやオフィクレイドが使われていて、コルネットはピストンがありますが、トランペットはナチュラルです。
肝心の鐘がどんなものだったか思い出せないのですが…。
(今度確認します。)
http://lionbass.blog.so-net.ne.jp/2006-01-16
by Lionbass (2009-11-09 07:38)
おさかな♪さん、いつもありがとうございます。
NHK-FMでもそういう企画があったのですね。鐘の音は本当にいろいろありますね。あれ、3回目にpで出てくるところがちょっと難しいのですよ。小さくたたこうと思って「スカッ」ということが…。
by stbh (2009-11-10 21:51)
Lionbassさん、いつもありがとうございます。
ピリオド楽器は見る楽しみも大きいですね!ティンパニや小太鼓はともかく、大太鼓やシンバルはどんな楽器を使っているか興味深いです。またご覧になったら教えてください。
by stbh (2009-11-10 21:56)