Bartok/管弦楽のための協奏曲 [管弦楽曲]
バルトークの最有名曲、数々の名録音がありますが、今日はマイナーなこの録音を聴きました。
- アーティスト: Bela Bartok,Constant Lambert,Eugene Ormandy,Fritz Reiner,Philadelphia Orchestra,Philharmonia Orchestra of London,Pittsburgh Symphony Orchestra,György Sándor,Joseph Szigeti
- 出版社/メーカー: Pearl
- 発売日: 2002/05/21
- メディア: CD
良く知られたシカゴ響とのものではなく、終戦直後、1946年2月、ピッツバーグ交響楽団との録音です。私のCDは4年近く前にご紹介した「英雄の生涯」とのカップリング、全40枚の「The 20th Century Maestros」の中の一枚で、ノイズから察するにSPから起こしているようです。
最晩年、アメリカに渡ってからのバルトークの作品は、「衝撃的(パーカッシヴ)」さが薄れて抒情的な要素が強くなり、親しみやすいものが多いです。中でもこの曲は、抜きん出たオーケストレーションの面白さで、バルトークの代表作のように言われている作品ですね。
今となっては数多くの指揮者が個性的な解釈で録音を行っていますが、この録音は初演の2年後、まだできたての「現代音楽」として演奏されているころのものですから、換骨堕胎とはいかず、楽譜に忠実な演奏・録音と言えると思います。いわば「素朴な」演奏であまり個性的とは言えないかもしれませんが、ダイナミクスやテンポはかなり微妙なニュアンスまで守られています。例えば、終結間近のシンバルは、fあるいはffに聞こえる演奏・録音が大多数を占める中で、楽譜の指示通りmfで奏されています。ぜんぜん劇的でない、中途半端な音量なので、知らないと打楽器奏者がしくじったかと思うかもしれませんが、実はこれがバルトークの指示なのですよね。
この録音、もちろんモノラルですし音はよくありませんが、ユニゾンで違う楽器が入ってくるところなど各楽器の音色を区別して聴くことができます。個性的でない分、この曲を演奏するために勉強する目的で聴く人向きの録音と言えるかもしれません。
もちろん演奏しなくても、この曲は楽譜を眺めてながら聴くと楽しいです。第1、5楽章はついていくのが大変ですが(;^_^A いちどお試しください。こちらはお求めやすい国内版。
もともとの版権を持っていたBooseyからも、比較的廉価になって出版されています。たぶん大判で、重いけれど見やすいと思います。
Concerto for Orchestra (Boosey & Hawkes Masterworks Library)
- 作者: Bela Bartok
- 出版社/メーカー: Boosey & Hawkes Inc
- 発売日: 1997/02/14
- メディア: ペーパーバック
20世紀前半の音楽は、自分が子供のころは本当に「現代音楽」だったわけですね。
それが「もうすぐ100年」とか聞くと、なんだか複雑な気持ちです。
by Lionbass (2009-10-13 11:45)
Lionbassさん、いつもありがとうございます。
そうですね、1913年の「ハルサイ」はあと4年ですし、新ウィーン楽派の初期の作品は1910年前後に多くありますから、これらも100年です。100年は経っていませんがバルトークやプロコフィエフは、私たちが子供のころはバリバリの現代音楽だったので、まあなんというか、歳をとったということでしょうか…。
by stbh (2009-10-14 23:59)
アメリカの演奏会に、バルトークの作品が頻繁に出てきます。
by サンフランシスコ人 (2009-10-21 05:11)
この曲はクーセヴィツキーの委嘱によって誕生しましたし、アメリカでの晩年に数々の傑作が生まれていますから、アメリカでの人気が高いのでしょうか。
by stbh (2009-10-25 18:49)
アメリカ人がバルトークを好きなのです。
by サンフランシスコ人 (2009-12-16 10:30)
> サンフランシスコ人さん
バルトーク晩年の作品はアメリカでなければ生まれなかったのかもしれませんね。
by stbh (2009-12-19 00:24)