Martinu/交響曲第4番 [交響曲(独墺以外)]
ボフスラフ・マルチヌー(マルティヌー)の交響曲の中では、この曲が一番とっつきやすいのではないでしょうか。
Bohuslav Martinu: Symphonies 3 & 4
- アーティスト: Bohuslav Martinu,Neeme Järvi,Bamberg Symphony Orchestra
- 出版社/メーカー: Bis
- 発売日: 1994/03/25
- メディア: CD
上で紹介したBISが初出ですが、現在はブリリアントから全集が再発されています。私の持っているのはこちらで、今なら容易に入手できると思います(リンク先はTowerrecords)。
Martinu: Complete Symphonies: No.1-No.6
マルチヌーはおもに20世紀前半に活躍したチェコの作曲家です。作品は400曲以上と多作ですが、残念ながら日本の知名度はいまひとつのように思います。私も交響曲しか知りません。オーケストラ作品をおもに聞く人はどうしても交響曲や協奏曲に目が(耳が)いっていまいがちですが、室内楽や声楽曲などももっと聴かないといけませんね…。
マルチヌーは番号の付いているもので6曲、交響曲を作っています(若いころに番号なしのものがあるらしいです)。交響曲というと、作曲家が一生かけて数曲~十数曲くらい作るもので、その作曲家の年代を代表する音楽が聴ける、というイメージがある(例えばベートーヴェン、マーラー、ショスタコーヴィチ)のですが、マルチヌーの場合はちょっと違うようです。
第1交響曲が作曲されたのが渡米直後の1942年、そこから1946年までに5曲が年1曲のハイペースで作られているのです。第6(交響的幻想曲)はアメリカを離れた1953年に完成していますが、これもボストン交響楽団とミュンシュに献呈されており、マルチヌーの交響曲はおよそ10年の「アメリカ時代」に集中しています。
短い期間に集中して作曲されたせいか、マルチヌーの交響曲は、どれを聴いても最初は似た印象を受けます。第4は各楽章間の対比が比較的鮮明ですが、それでも、あの独特の混沌とした感触で始まる第1楽章は、マルチヌーの交響曲に共通している印象を与えます。この楽章は特にピアノのバランスが絶妙で、「ピアノを用いた交響曲」として非常によくできていると思います。最後に盛り上がりますが、全体としては序章的な、やや軽い楽章です。
第2楽章はわかりやすいスケルツォ楽章で、6/8のリズムに特徴あるシンコペーションの旋律が積み重なっていきます。打楽器の使い方も特徴的で、重厚ながら爽快感があります。トリオは一転して弦楽器主体の優美な旋律。この好対照も魅力の一つです。
第3楽章は緩徐楽章に相当します。ソロも交えた弦楽器主体のアンサンブルですが、ちんまりとまとまってしまうのではなく、音楽のスケールは大きいです。最後の第4楽章は緊張感をもってはじまります。全体の曲想は第1楽章と共通するところがありますが、より緊密さが増しており、次第に盛り上がってトゥッティの強奏で幕を閉じます。
マルチヌーの交響曲全集は、ひところまでノイマンのものが唯一、手に入りやすいものでした。ここでご紹介したヤルヴィ/バンベルクの演奏がどちらかというと豪快で派手なのに対し、端正で地味な印象を受けるかもしれませんが、これはこれで正攻法のアプローチだと思います。
私はどちらの録音も好きで、優劣つけがたいです…。
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