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Toyama/ラプソディーrevisited [管弦楽曲]

3年近く前にエントリーした外山雄三の「管弦楽のためのラプソディー」。ここでもご紹介したように、全音から販売されている楽譜は「改訂版(2001年3月)」です。

スコア 外山雄三 管弦楽のためのラプソディー[改訂版] (Zen‐on score)

スコア 外山雄三 管弦楽のためのラプソディー[改訂版] (Zen‐on score)

  • 作者: 外山 雄三
  • 出版社/メーカー: 全音楽譜出版社
  • 発売日: 2001/04/20
  • メディア: 楽譜

 

いっぽう、これの前に販売されていた大判の楽譜があり、こちらは1964年に音楽之友社から出版されています。エントリーの時はわからなかったのですが、最近目を通すチャンスがあり、「改訂版」との異同を確認することができました。その結果、沼尻盤は、改訂前の版(以下、「初版」と表記します)に依っていることがわかりました。また同盤は、八木節直前の掛け声以外にも、八木節での大太鼓の処理が異なっていることがわかりました。譜面どおりベタに叩かず、拍頭や、トロンボーン・テューバと合わせてアクセントをつけているのです。また最後の小節も大太鼓が叩いているようです。これらにより、聴感はスコアとかなり変わっています。

さて、意識して聴けばわかる「初版」と「改訂版」の相違点は、以下のとおりです。

(なお、これらの「相違点」は私がざっとスコアを比較しながら拾ったものです。間違い等がありましたら修正しますのでお知らせください。)
1.序奏最後の「うちわ太鼓」のリズムパターンの繰り返し回数が違う(初版は5回、改訂版では5回目を5回以上繰り返す指定になっている)。
2.「信濃追分(フルートソロ)」直前の「鈴」が改訂版で1小節(トレモロ)追加。
3.「信濃追分」の装飾音符が違う(増えたり減ったりしている)。
4.「八木節」のリズムになる直前、「拍子木」の最後の音(初版は前打音あり「チョチョン」、改訂版はなし「チョン」)。
5.曲の最後の直前のトゥッティ、弦のトレモロが初版は2小節、改訂版は4小節。
6.最後の小節の「デデデン」の打楽器、初版は5人とも拍子木のまま、改訂版は一人大太鼓に持ち替え(この奏者は、直前2小節の拍子木は休む)。
結果として、改訂版のほうが3小節長くなっています。

もちろん、初版のミスの修正も入っています。2番フルートがピッコロ持ち替えであることは、初版の楽器一覧には書かれていなかったのが、改訂版では明記されています。強弱やアクセント、スタッカート、表情記号、弱音器の指定などの抜けも補われています。これらの他にも、打楽器の表記がイタリア語(Clavesなど)から日本語(Hyoshigiなど)とイタリア語の併記になっているという違いがあります。あと、たぶん電子写植により、レイアウトが整理されています。

どうしてこのような改訂を行ったか、なぜこの時期なのか、出版社が変わった理由などはわからずじまいでしたが、変更箇所がわかったのでちょっと自己満足しました。「ラプソディー」の録音は沼尻・都響が最新だと思います。ということは、まだ改訂版による録音はなされていないことになりますね。演奏会などでは取り上げられているのでしょうか?いちど聴いてみたいものです。


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