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Penderecki/広島の犠牲者に捧げる哀歌 [管弦楽曲]

前回に引き続き、図書館からこの曲のスコアを借りてきて、腰を落ち着けて聴いてみました。以前ご紹介した「戦争レクイエム」に併録されているケーゲル=ライプツィヒ放送管弦楽団の録音、幸い、まだ現役盤です。

ブリテン:戦争レクイエム

ブリテン:戦争レクイエム

  • アーティスト: ケーゲル(ヘルベルト),ペンデレツキ,ベルク,ライプツィヒ放送管弦楽団,ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • 発売日: 1999/05/26
  • メディア: CD

 

「広島の犠牲者に捧げる哀歌」には「52弦楽器のための」という副題が付いています。

その内訳はヴァイオリン24、ヴィオラ10、チェロ10、コントラバス8ですが、各楽器が曲のそれぞれの場所でさまざまにグルーピングされ、音程・強弱が指定されています。また微分(1/4)音、駒の上や向こう(テールピースとの間)を弾く、表板を叩くなど、いわゆる「現代的」な奏法がふんだんに用いられています。

譜例は全曲の最後の音、全楽器がそれぞれ指定された音程で弾くことによってトーン・クラスター(音の塊)を形成し、fffからppppまで30秒かけてデクレシェンドしていく指示がされています。

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楽譜を見ながら音を聴いてみると、かなり忠実に演奏されているのがわかりました。各部分に指定されている時間は必ずしも守られていませんが、このような難曲にもかかわらず、楽器間のアンサンブルはしっかりしています。

この曲は決して「ヒロシマ」をイメージして作られた曲ではないのですが、「原爆による阿鼻叫喚の描写」と言われると素直に信じてしまいます。それほど厳しく、強烈な音楽です。いちど題名と音が重なってしまうと、もう他の題名など想像もできないほどしっくりしていて、この曲がこの題名を与えられるのは必然だったような気がしてきます。

しかし、演奏が決して容易ではないこの曲に魂を入れていくには、指揮者や演奏者が互いに、また曲に共感していくことが必要だと思います。CDの解説によれば、ケーゲルは「反体制的」ととれる曲をたびたび取り上げていたようです。ペンデレツキは作曲時にアウシュビッツをイメージしたこともあるそうですが、ケーゲルとライプツィヒの東独の面々は、どういう思いでこの曲を録音したのでしょう。


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