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Still/交響曲第1番「アフロ=アメリカン」 [交響曲(独墺以外)]

あまり政治にかかわりのあるエントリーは書かないのですが、もうすぐ就任するアメリカの新大統領にちなんでこれを聴いた、という友人がいたので、便乗して聴きました。

スティル:交響曲第1番「アフロ=アメリカン」/交響詩「アフリカ」/他

スティル:交響曲第1番「アフロ=アメリカン」/交響詩「アフリカ」/他

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 2005/05/01
  • メディア: CD

 

作曲されたのは1930年ですから、そんなに新しい作品ではありませんが、黒人作曲家の草分け的存在であるウィリアム・グラント・スティルの代表作だそうです。

1931年にニューヨーク州ロチェスター(懐かしい!)で初演され、30年代だけで30回以上演奏されたということが解説に書いてありました。曲は4楽章からなり、全編にジャズ(ブルース)のイディオムが散りばめられています。

1. Moderato Assai "Longing"
2. Adagio "Sorrow"
3. Animato "Humor"
4. Lento, con risoluzione "Aspiration"

「変イ長調」という珍しい調性なのですが、哀愁を誘う「ヘ短調」の平行調だと思えば納得。冒頭、裸のコーラングレはドヴォルザークの「新世界」第2楽章を思い起こさせますし、第3楽章のテーマはガーシュインの"I've Got Rhythm"と酷似しています。その他にも、どこかで聴いたような旋律が次々に出てきて、あちこちで書かれているように何となく郷愁を感じてしまいます。オーケストレーションは上品というか、オーソドックスで、大騒ぎをするような部分はわずかです。かえって格調の高さに居心地が悪いような気がするところもありますが、総じて聴きやすい曲です。

他のカップリング2曲も同様の傾向ですが、"In Memoriam"のほうは内容がシリアスなだけに、多少厳しい感じがします。いずれにしても、Naxosのアメリカン・クラシックシリーズは、未知のアメリカ作曲家の世界に切り込んでいくには格好の材料といえるでしょう。

なお、演奏しているフォート・スミス交響楽団(アーカンソー州で最初のオーケストラだそうですが)も、指揮者のジョン・イェーターも私はこのCDに書いてある情報しか知りませんが、曲のせいもあり、なかなか若々しく、のびのび演奏している印象を受けました。


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Lionbass

曲自体、初めて知りました。
聴く価値はありそうですね。

ちなみに、変イ長調は、ジャズや吹奏楽では極めてよく使われます。
サックスやトロンボーン、トランペットなど管楽器がみんな♭系だからです。
例えば「イン・ザ・ムード」は♭4つの変イ長調です。
(アルトサックスにとっては♭1つ)

by Lionbass (2009-01-16 19:55) 

stbh

> Lionbassさん

いつもありがとうございます。そうですね、金管やサックス族、クラリネット(A管除く)はみんなフラット系ですね。ああ、ビッグバンドやってみたい。

この曲、ガーシュインとも色合いが違うし、映画音楽にしてはちょっととりすましている感じがするし、なかなか面白いです。機会があったら聴いてみてください。
by stbh (2009-01-16 22:41) 

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