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Bruckner/交響曲へ短調 [交響曲(独墺系)]

久しぶりにブルックナーを聴きたくなりました。でも長いのはちょっとヘヴィーだな…ということで、この曲。

ブルックナー:交響曲ヘ短調

ブルックナー:交響曲ヘ短調

  • アーティスト: フランクフルト放送交響楽団,ブルックナー,インバル(エリアフ)
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1997/10/25
  • メディア: CD

Teldec盤もAmazonの扱いはありませんでした。特に初稿を採用した第3、4、8番で脚光を浴びたインバルのブルックナーですが、

現在、新品として販売されているものは少ないようです。ワーナーがクラシックから撤退したことも品薄の理由なのでしょうか。以前は第0番とこの曲の2枚組なども店頭にあったのですが…。

この交響曲、何も予備知識が無くて聴いたら、少なくとも冒頭はブルックナーとは思えないのではないでしょうか。あの朝もやの中から日光が差してくるような「ブルックナー開始」とは全く違い、「普通の交響曲」のように始まります。シューベルト、メンデルスゾーン、シューマンといった、彼に先立つドイツの交響曲作家の後に続くにふさわしい作品、といえると思います。言い方を変えれば、ブルックナーの個性はまだあまり発揮されていません。

ブルックナーが後にこの曲の自筆譜を残すとき「習作交響曲」と記したように、彼はこの曲を、管弦楽法などを習った最後の時期に作っています。すでに40歳近いとはいえ作曲家としてのキャリアはまだまだですので、個々の旋律や和声の一部などに彼独自の「節回し」はあっても、全体の構成やオーケストレーションなどが、先人の作の模倣に近くなってしまうのはいたし方ないのでしょう。特に両端楽章はソナタ形式に縛られているようでもあり、あまり新しさは感じられません。上に挙げた先人のうちではシューマンの影響がいちばん強いでしょうか。

それに比べて中間2楽章は、ブルックナーの特質-第2楽章では息の長いフレーズ、第3楽章では無骨なリズム-が発揮されているように感じます。第2楽章での圧倒的なクライマックスはまだありませんし、規模も大きくないですが、美しい旋律が次々と出てくるのはまさにブルックナーならではです。第3楽章も、第3交響曲あたりまでのスタイルがすでに確立されています。

晩年ブルックナーが自分の初期の作品をバッサバッサと処分したときに、「全くの習作」と書き付けたとはいえ、この曲を残してくれたことはありがたいことでした。「ブルックナーの交響曲に順位をつけて」と言われたら、確かに決して上位に来ることはないでしょうが、捨てがたい佳曲だと思います。


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コメント 2

サンフランシスコ人

インバル・チェコフィルは、日本公演を予定していますか。
by サンフランシスコ人 (2008-06-19 02:13) 

stbh

調べた限りではわかりませんでした。
by stbh (2008-06-21 22:29) 

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