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stravinsky/Rite [バレエ音楽]

先日コメントをいただいた中に「メタルテープ」のお話がありました。かつてのカセットテープ全盛時は「高嶺の花」で、私はもっぱらノーマルや、贅沢してもクロムどまりだったのですが、たしか何本かはあるはず、と思い探してみました。で、出てきたのがこの録音です。

ストラヴィンスキー:春の祭典

ストラヴィンスキー:春の祭典

  • アーティスト: ドラティ(アンタル), デトロイト交響楽団, ストラヴィンスキー
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2003/07/30
  • メディア: CD

ははは…、「ハルサイ」と「ペトルーシュカ」で1200円ですか。初出当時はLPがたしか2800円で、もちろんそれぞれ別々に出ていました。四半世紀を経たデジタル初期の録音ですが、ドラティ/デトロイトの代表的名盤と言えるのではないでしょうか。ハンガリー出身でアメリカで長く活躍したドラティは、ステレオ初期のミネアポリス交響楽団などとの録音のころから、オーケストレーションを楽しめる大編成の曲を取り上げていました。

彼のDeccaへの録音が出始めたのは70年代ころでしたでしょうか。ストラヴィンスキーの三大バレエについては、Deccaにはメータ/ロス・フィル、ショルティ/シカゴなどの録音がすでにありましたが、デジタル時代の管弦楽曲の新盤のために白羽の矢が立ったのは、ドラティ/デトロイト、そしてその後のデュトワ/OSMでした。とくに「春の祭典」は、その録音のよさが絶賛され、各種のランキングでも上位に入っていました。各楽器の出している音が鮮明にわかる、いわゆる「楽譜が見える」録音だと思います。

「楽譜が見える」理由は、ドラティの解釈にもあると思います。ドラティは、曲の各部分の中でテンポをあまり変えません。これによって各シーンの特徴が際立ち、バレエの場面がくっきり描かれているように聴こえます。全体に速めのテンポで、「新古典主義的」とも言えるあっさりとした運びです。曲をありのまま鳴らすアプローチは、ロマン的な演奏が復興しつつある昨今では、かえって古めかしく聴こえるかもしれませんが、こういった大曲は、個人的にはさっぱりした演奏の方が好みです。

好みの話ついでに。この録音はどのパートも鮮明に聴こえますが、私は「皮の音」が好きです。「ハルサイ」のピッコロ・ティンパニ(上のBbの音)の「ポコン」という高い倍音を含んだ音、大太鼓の「ズウン」という重低音が、すごくリアルに聴こえます。打楽器の録音は難しいですが、エンジニアの腕の見せ所でもありますね。特に大太鼓、ドラ、鐘など周波数帯域もダイナミックレンジも広い音をどう聞かせるかで、いろいろな違いが録音に出てきます。こういった音色を聴き比べてみるのも一興かもしれません。

楽譜は、例によってDoverから出ているのが安価で便利です。「ハルサイ」も何度か改訂されていますが、これは初期のもののコピーですね。

Stravinsky; The Rite of Spring (Dover Miniature Scores)

Stravinsky; The Rite of Spring (Dover Miniature Scores)

  • 作者: Igor Stravinsky
  • 出版社/メーカー: Dover Pubns
  • 発売日: 2000/07
  • メディア: ペーパーバック

↑こちらは携帯・保存にコンパクトなミニチュア版。見るのは↓大判のほうが楽です。

Stravinsky: The Rite of Spring in Full Score

Stravinsky: The Rite of Spring in Full Score

  • 作者: Igor Stravinsky
  • 出版社/メーカー: Dover Pubns
  • 発売日: 1989/03
  • メディア: ペーパーバック

品切れだった四手ピアノ編曲版も復活しました。

Stravinsky: The Rite of Spring for Piano Four Hands (Dover Classical Music for Keyboard)

Stravinsky: The Rite of Spring for Piano Four Hands (Dover Classical Music for Keyboard)

  • 作者: Igor Stravinsky
  • 出版社/メーカー: Dover Pubns
  • 発売日: 2005/08/22
  • メディア: ペーパーバック

以前は「ペトルーシュカ」と2曲入りだったのですが、「ハルサイ」だけのようです。「ペトルーシュカ」と「火の鳥」は、ピアノソロの楽譜が最近Doverから出版されています。

アマゾンでは、Boosey & Hawkesの扱いもあるようです。何年版かちょっとわかりません(汗 ご存知の方、教えてください。私のBoosey & Hawkesのスコアは1947年版でした。最近Boosey & Hawkesは、バルトークやブリテンなどのスコアも、これと同様の装丁でやや(あくまで「やや」)安価にして再版してますね。

Rite of Spring: Sacre Du Printemps (Boosey & Hawkes Masterworks Library)

Rite of Spring: Sacre Du Printemps (Boosey & Hawkes Masterworks Library)

  • 作者: Igor Stravinsky
  • 出版社/メーカー: Boosey & Hawkes Music Publishers Ltd
  • 発売日: 1997/02/14
  • メディア: ペーパーバック

 

ところで、拙ブログのエントリー数もそこそこ増えてきたので、検索性を向上させよう(古い記事でもどこにあるかわかるようにしよう)とカテゴリー設定をいじっています。タイミングによってはかえってわけがわからないときがあるかもしれませんが、ご容赦ください。ブログ開始当初から「マーラーのリスナー」を標榜している私ではありますが、エントリーの2割近くがマーラーでした。これからはちょっとレパートリーを広げていきたいなあ、と思っているのですが、果たしてどうなることやら。


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コメント 4

吉田

こんばんは。
ドラティとデトロイトの「ハルサイ」は、発売されて少しほとぼりがさめたころに出た3枚組の3大バレエ5400円を購入して聴いておりました。その後。輸入盤のCDでこれと「ペトルーシュカ」の1枚組を発見し、愛聴しております。この演奏、今でも不動の4番的存在だと思います。
このコンビの来日を心待ちにしていましたが、とうとう実現しませんでした。
by 吉田 (2007-12-15 21:53) 

mozart1889

ドラティ/デトロイト響のストラヴィンスキー、懐かしいです。
僕がクラシック音楽を聴き始めた頃、ちょうど、「ハルサイ」ブームでした。アバド、C・デイヴィス、小澤、メータ、マゼール、ムーティにフェドセーエフ・・・・その中でも抜群に録音がよいと評判だったですね。
3部作を今もLPで聴いてます。3枚組廉価盤ボックス5,000円。1984年11月でした。当時は廉価盤といっても高価でした。
by mozart1889 (2007-12-16 09:23) 

stbh

吉田さん、いつもコメントありがとうございます。3枚組で出ていた時期があったのですね!もって回った鬱陶しさと無縁の、爽快な演奏だったと思います。最近のデトロイトSOはどうしているのでしょうか。
by stbh (2007-12-16 10:10) 

stbh

mozart1889さん、いつもコメントありがとうございます。mozart1889さんも3枚組ですか!やはり人気盤だったのですね。おっしゃるとおり、アナログ末期からデジタル初期にかけて、「ハルサイ」の録音が目白押しでした。最近では普通の曲になってしまったんでしょうか、あまり新盤の話は聞きませんね。
by stbh (2007-12-16 16:29) 

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