Torakyo#78 [実演]
ブログ仲間で、リアル知り合いでもあるLionbassさんのオケの演奏会を聴きに行ってきました。途中から…。
というわけで、1曲目の「ボヘミアの森と草原から」はホールの外で、スピーカーからの音を聴いていました。なかなかアンサンブルはしっかりしているなあと(えらそうに)思っていました。
若い世代が次々と新しいオーケストラを作るので、私が大学卒業直後あたりとはアマチュア・オーケストラの数は、格段に増えていますが、このオーケストラは1970年代の創立ですから、東京近郊のアマオケとしては老舗に属します。演奏会も今回で78回ということで、かなり息の長い団体ですね。昔からある団体の中には、創立時のメンバーから若手への世代交代が難しく、老齢化が進んでいるものもあるように聞いていますが、ここのオケは若い方も多く、順調に運営されているようです。
2曲目は、シベリウスのヴァイオリン協奏曲。実は私、この曲、ヴァイオリン協奏曲の中でいちばん好きです。それでも、この曲をやるとうかがったとき、ソリストの方は大変だろうなあ、と思ってしまいました。というのもこの曲、ソロはもちろんですが、オーケストラもかなり難しく、複雑でつかみどころのないリズムや楽想ばかりで、プロならいざ知らず、アマチュアでしっかり(ソリストとアンサンブルをする)指揮者の意図を反映するのは、相当難しいと思ったからです。
しかしそんな心配は、冒頭のヴァイオリンからソロが入ってくるところを聴いただけで吹っ飛んでしまいました。第1、第2ヴァイオリンをさらに半分に分け、同音を分解してアルペジオで弾かせたその上にソロが入ってくるわけですが、これが(あたりまえですが)ヴァイオリンの上にヴァイオリンが乗るという、なんとも音色的には地味な、というかあえてモノトーンの暗さを狙ったとしか思えないアンサンブルになっているのです。録音だとレヴェルの調整などでソロはソロとして聞こえるのですが、今回のような響きのよいホールの、舞台から遠くで聴いていると、まさにその同質性がシベリウスの狙いであったろうと容易にわかります。このヴァイオリンの明確なリズムの上にソロが舞い降りた時点で、もうそこはシベリウスの故郷、フィンランドの原野なのです。
その後も、オーケストラは数々の難所があるのですが、かなり明快にクリアしてくれていたと思います。パンフレットによれば、識者の方はリズムを重視したご指導であったとの由。たしかにこの曲とスメタナ、それにベートーヴェンの第7では、もうどこを切ってもリズム、リズムではないでしょうか。特にシベリウスは2拍子系の中に3拍子が唐突に入ってきたりして、さらにソリストとからんでルバートになったりしますので、息を合わせるのがかなり大変であったろうと思います。なかなか練習に全員が集まりにくいアマオケではなおさらです。
第2楽章の叙情的な流れや第3楽章の緊密なアンサンブル、いずれもそれぞれの雰囲気が出ていて快演だったと思います。特にヴィオラ以下の弦が充実しており、どっしりとしたシベリウスのサウンドを見事に支えていたと感じました。Lionbassさんの勇姿も何十年ぶりかで拝見することが出来ました(^^
休憩後のベートーヴェンも、危なげないものでした。ホルンももちろん、木管の各ソロもすてきでしたし、第4楽章はそれほど攻撃的なテンポではありませんでしたが、十分盛り上がりました。ブラヴォの声が複数上がっていましたが、当然でしょう。
ちょっと気になった点をあえてあげれば、木管は通常の2管であるのに対して、ホルンとトランペットはそれぞれアシをつけていたので、強奏のときはどうしても木管がかくれがちになるように感じたのですが、これは指揮者の好みなのでしょうか、団員の乗り番の関係なのでしょうか。
今回の印象を一言で申し上げれば、「ダテにシベリウスを取り上げたのではないなあ」というところです。シベリウスやバルトークは、アマオケ、特にドイツ物などを得意としているオケにはなかなか難物です。ベートーヴェンやブラームスなどと明らかに違うはずなのに、同じ音しか出てこない、という演奏を何度か聴いたことがあります。その意味では、今回のシベリウスは、ソリストの表現力も手助けになっていたのでしょうが、「らしさ」が聞こえていたと思います。楽しませていただきました。
*追加 LionbassさんのページをTBさせていただきました。
昨夜はご来場ありがとうございました。
おかげさまでなかなかよい演奏会になりました。
ソリストの大森さんの力か、はたまたベト7の力か、雨模様で寒かった割に、聴衆もいつもより多かったようです。
シベリウスの”ソロ”(1人弾き)やコントラバス全体、いろんな方にお褒めいただき、気を良くしております。
ありがとうございました。
by Lionbass (2007-12-01 23:03)
Lionbassさん、さっそくのご来訪ありがとうございます。稚拙で恐縮ですが、感想文を書かせていただきました。低弦がしっかりしているオケというのは、安心して聴けますね。Lionbassさん、かっこよかったです。大変楽しませていただきました。
by stbh (2007-12-01 23:40)
>シベリウスのヴァイオリン協奏曲。実は私、この曲、ヴァイオリン協奏曲の中でいちばん好きです。
嬉しいな。。。
私も最近大好きな曲になりました^^。
オーケストラ的には、、、ソリストさんなしの練習は
あまり面白くなかった気がしますが、ともかくわくわくする曲です!
by おさかな♪ (2007-12-12 20:22)
おさかな♪さんも大好きとのこと、私もうれしいです(^_^)
確かにソリスト無しだと延々と同じリズムだったりしていまひとつかもしれません。この曲は聴くのがいちばん楽しいかな、と思ったりもしますが、やはり一度演奏してみたいですね。
by stbh (2007-12-13 22:54)