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Stravinsky/Firebird1919 [バレエ音楽]

「火の鳥」の続きです。今日は、いちばん聴く/演奏する機会の多い1919年版を、この録音で。

Stravinsky: Rite of Spring, Firebird Suite / Bernstein

Stravinsky: Rite of Spring, Firebird Suite / Bernstein

  • アーティスト: Igor Stravinsky, Leonard Bernstein, Israel Philharmonic Orchestra
  • 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
  • 発売日: 1990/07/24
  • メディア: CD

実際に聴いたのは、以前にもご紹介した「プルチネルラ」「結婚」と3曲入ったCDなのですが、すでに在庫切れになっていましたので、こちらの「春の祭典」とのカップリングをリンクしておきます。1984年のライヴ録音です。

晩年(DG時代)のバーンスタインの録音というと、ベートーヴェンから始まって、ブラームス、シューマン、モーツァルト、マーラーなど独墺系の作曲家が思い出されてしまいますが、シベリウスやショスタコーヴィッチの交響曲も何曲か録音されています。これらに較べると、ストラヴィンスキーの作品はあまり目立たないようですが、実はそこそこの数を残しています。CBS時代にも60年代から「春の祭典」を録音するなど、生涯にわたって取り上げている作曲家なのですね。

「火の鳥」オリジナル版は1910年の作曲で、1919年には、2管編成に縮小した「組曲版」を発表しています。「ペトルーシュカ」が4管から3管に縮小されたのは1947年ですから、ストラヴィンスキー自身が「火の鳥」の縮小版の必要性を強く感じていたのでしょう。その「必要性」とは、もちろん「演奏機会の拡大」ということです。

1919年(第1次大戦が1914-1918ですから、その直後なのですね)には、まだ2管編成が標準的だったのでしょうか。もちろんマーラーやリヒャルト・シュトラウスの大曲はすでに完成・演奏されていましたし、当時ストラヴィンスキーが本拠にしていたフランスでも、ドビュッシーやラヴェルなどが大規模な曲を書いていたのですが、これらも決して一般的ではなかったということなのですね。

以前「ツァラトゥストラ」について、「ダイナミックレンジが広すぎて車向きではない」という話をしましたが、この曲もそうかもしれません。とにかく、普通のヴォリュームでは「序奏」冒頭の低弦はまったく聞こえません。大きくすると、ライヴのせいか多少雑音が聞こえてきます。この部分は、バーンスタインと言えど、あまりおどろおどろしい感じではありません。マーラーでのバーンスタインを期待すると、やや肩透かしかもしれません。続く「火の鳥の踊り」や「ヴァリアシオン」では、決して遅いテンポではないのですが、イスラエル・フィルのサウンドのせいか、重厚になっているように感じます。

続く「王女たちのロンド(ホロヴォード)」は、ダイナミクスの変化が楽譜の指示より大きく、遅めで揺れがちなテンポもバーンスタイン節です。野太いようなイスラエル・フィルの弦の音が印象に残ります。「カスチェイ王の魔の踊り」(全曲と組曲で、タイトルが違うようです)も遅めのテンポで、響きを聞かせてくれます。「ジャン!」というトゥッティの和音は強烈で気持ちがいいですね。

「カスチェイの踊り」の最後の和音を残さずにいったん切るのは、組曲版の演奏でも珍しいほうだと思います。「子守唄(ベルキュース)」はホロヴォードの雰囲気をいっそう強調していて、テンポ感がなくなるぎりぎりです。終曲も遅めのテンポで重厚に聞かせてくれます。オーケストラ全体の音がくすみ加減なので、トライアングルのトレモロが非常に目だって聞こえます。最後の最後のクレッシェンドが短めなのはちょっと物足りないですが、これもバーンスタインの潔さなのでしょう。

バーンスタインのDGへのストラヴィンスキー録音は、結果としてそれほど多くないようで、これからというときに亡くなってしまったような気もします。やはり、「早すぎる死」であったと思います。


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