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Verdi/Requiem [声楽曲]

久々に関東直撃の台風で、交通機関の混乱、河川の氾濫、土砂災害などのニュースに混じって、この人の訃報も流れました。ルチアーノ・パヴァロッティ、享年71歳。ガンで闘病中だったのですね。好き嫌いはあるでしょうが、イタリアを、いや世界を代表するテナーであったことに、正面から異論を挟める人はいないでしょう。デッカ専属となり、主に70年代から夥しい録音にも参加していますが、例えばカラヤン/BPOとのボエームなど、今でもベスト・ワンと言える名盤だと思います。

今回は、彼の参加したヴェルディのレクィエムを聴きました。まず代表的な録音として、こちらを挙げておきます。古い盤なので売切れてしまうかもしれませんが…。

ヴェルディ:レクイエム

ヴェルディ:レクイエム

  • アーティスト: ショルティ(サー・ゲオルグ) シカゴ交響楽団, ショルティ(サー・ゲオルグ), サザーランド(ジョン), ホーン(マリリン), パヴァロッティ(ルチアーノ), タルヴェラ(マルッティ), ウィーン国立歌劇場合唱団, ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, ヴェルディ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2007/02/14
  • メディア: CD

これは60年代後半の録音だったと思います。サザーランド、ホーン、タルヴェラはいずれも60年代後半を代表する人たちばかりです。パヴァロッティは、この曲を他にムーティ/スカラ座と後年入れています。あと、1967年にカラヤン/スカラ座での録画があるそうなのですが、これは見ていません。

で、今回聴いたのは、海賊盤で恐縮ですが、こちらの録音です。

Verdi/Missa di Requiem

Scotto(S), Horne(MS), Pavarotti(T), Ghiaurov(Bs)
Orchestra and Chorus of RAI ROMA
Claudio Abbado(Cond)
Recorded live: Chiesa di S. Maria sopra Minerva, Roma; Oct. 10, 1970

CDはMade in Canada なのですが、大きくOpera in Four Actsとか書いてあって、なんなんだ、という感じ。音質も悪いですが、メジャーデビューして間もない、まだ30代のアバドがきびきびした運びの演奏を聴かせてくれます。ホーンは上と同じですし、レナータ・スコット、ニコライ・ギャウロフも同時代の著名な歌手ですね。

先日オペラに参加したとき、やはりヴェルディはオペラの人だなあ、というか、誤解を怖れずに言えば、ヴェルディの音楽がイコール、オペラなのだ、という思いを強くしました。私の場合、オペラ、特にイタリアオペラを聴くようになったのはクラシックを聴き出してからかなり後で、ヴェルディもこのレクィエムと、せいぜいアイーダくらいしか知らなかった時期がかなり長かったのです。レクィエムそのものは文句無く名曲だし、これだけでもヴェルディの偉大さはわかると思いますが、多数のオペラを踏まえてここに至るヴェルディの音楽遍歴を知ると、よりいっそう、この曲が体にしみこんで聴けるような感じがします。

パヴァロッティもまだまだ若々しく、多少ぎこちないですね。失礼ながら彼は、例えばドミンゴのようにすごく器用な方ではないと思いますが、その美声をどう使ったらよいかは熟知していたと思います。この曲での聴きどころはまず入祭唱の「Kyrie」。暗く重い「Requiem」のあと、闇に差す光のように歌い出すパヴァロッティの声は、他に代えがたいものがあります。もうひとつは奉献唱全体(「Domine Jesu - Hostias」)。この楽章はソリストのみによって歌われるため、いっそうオペラ感覚なのですが、その中でテナーとして絶妙のアンサンブルを聴かせており、技巧的にもしっかりしていることがわかります(これができないと、オペラでは持たないですからね)。

歌手と言うのは自分の体が楽器ですから、なかなか歳を取ってもかわりなく、と言うのは難しいです。当時いろいろ批判はありましたが、その(まずまず)元気な姿を先のオリンピックで世界中の人に見せてくれたのが、せめてもの置き土産でしょうか。永遠のイタオペ・テナーに合掌。


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