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Mahler/Sym3 [交響曲(マーラー)]

仮面舞踏会からもう1週間経ちましたから、いつもの、CDの感想文にもどりましょう。昨日たまたま長距離を走る機会があったので、この曲を。

マーラーの第3交響曲、マーラーの諸作品の中では決して目立つほうではありませんが、ネットを見ると、けっこう好きなかたが多くいらっしゃるようですね。私もマーラーを聴き始めて比較的早い段階から、この曲は好きでした。今日聴いた演奏、国内盤は残念ながら中古しか出ていなかったので、輸入盤をリンクしておきます。

Mahler: Symphonie No.3 in D Minor

Mahler: Symphonie No.3 in D Minor

  • アーティスト: Gustav Mahler, Leonard Bernstein, New York Philharmonic, Joseph Alessi, Glenn Dicetrow
  • 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
  • 発売日: 1989/07/20
  • メディア: CD

アメリカのメジャー・オーケストラは、シカゴの「豪快」、フィラデルフィアの「華麗」、ボストンの「豊潤」、クリーヴランドの「繊細」と、けっこうそれぞれの特色がはっきりしていると思います(異論はいろいろあるでしょうが)。これらに比べると、NYPというのはちょっと一言では言い表しにくい、さりとて、特徴がないわけではない、独特のカラーを持っているように感じます。強いて言えば「クール」かな?しかしここでは、かつてのシェフ、バーンスタインのもと、ホットな演奏を聴かせてくれます。1987年11月の録音ですから、もう20年前になるのですね。

LPからCDになり、さらに最長録音時間が約74分から80分になったことで、1枚に入るクラシックの曲が格段に増えました。マーラーの交響曲も、たいがいのものは1枚におさまるようになったのですが、この曲だけは優に100分を必要とするので、どうしようもありません。特に車で聴いているとCDを入れ替えることのできるタイミングが限られているので、どうしても1枚目と2枚目の間にはかかった時間以上に心理的なラグができてしまいます。

それでも、この長大な第1楽章が切れ目無しに聴けるというのは、ありがたいことですね。時間にして約35分、ハイドンやモーツァルトの交響曲は、この楽章を演奏しているうちに終わってしまいます。大規模なソナタ形式ではありますが、冒頭のホルンの主題、トロンボーンの朗々とした「歌」などをはじめとする旋律の豊富さ、大太鼓、小太鼓等の打楽器による特徴的なリズムなど、まるで交響詩のように表情の豊かな楽章です。

第1楽章と対をなす「第2部」には残りの5楽章が含まれます。時間にして約60分、各楽章の形式はいっそう自由で、さらに第4楽章以下はアタッカで演奏されるため、楽章間の関係が綿密に設計された「起承転結」感は希薄ですが、移ろい行く音楽の変化に身を委ねると、マーラーの描いた「自然」にどっぷりと漬かれます。第2交響曲のそれと似た性格を持つ、チャーミングな第2楽章、「若き日の歌」からの引用とポストホルンのソロで有名な第3楽章、ニーチェに基づく歌詞を持ち、音楽も哲学的な第4楽章、女声合唱・少年合唱が繰り広げる一瞬の天国絵巻の第5楽章、そして終始緩やかなテンポで、穏やかに進められる第6楽章。

CDの時代になっても、2時間弱を聴きとおすのは常にできることではありません。しかし、この曲、この長大な第3交響曲こそ、一つ一つの楽章がどうのこうのより、全体でひとつの世界を作り上げている曲だと思います。ヨーロッパの自然描写の音楽なのに、あえてウィーン・フィルやコンセルトヘボウでなくNYPを選んだバーンスタインの解釈も、この曲では比較的穏当で、マーラーの書いた音をそのまま、鳴らしてくれている気がします。大ヴェテラン・ルートヴィヒの歌唱ともども、心にしみる名録音だと思います。

ちょっとおまけ。打楽器的には、この曲も楽しいパートがたくさんあるのですが、いちばん特徴的なのは「タンバリン」。マーラーの交響曲でこれだけバリバリ、タンバリンが出てくる曲はありません。マーラーの自然のイメージにあっていたのでしょうか。


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コメント 2

mozart1889

こんにちは。
マーラーの第3交響曲、いいですねえ。長い曲なのでずっと敬遠していたんですが、7年前に開眼しまして、今や最も好きな交響曲のひとつです。
特に第1楽章がカッコイイですね。そして、フィナーレの静謐。素晴らしいと思います。
バーンスタインの新盤は、彼の体臭がにおうような、いかにもバーンスタインといった演奏ですね。NYPは好演と思います。
ふだんはハイティンク/BPO盤、メータ/ロスPO盤、ショルティ/シカゴ響盤、インバル/フランクフルト放送響盤などをよく聴きます。
この数年、CD価格が下落したので、マーラー全集が気軽に買えるようになりました。増殖中です(^^ゞ。
by mozart1889 (2007-08-21 14:00) 

stbh

mozart1889さん、こんばんは、コメントありがとうございます。
私はバーンスタインの旧盤が刷り込みでした。この曲は他の交響曲に比べると、バーンスタイン節が"自然に"きこえるように感じます。
マーラー全集、たくさんありますね。聴くだけでも大変でしょうが、ご感想を拝見するのを楽しみにしています。ぜひよろしくお願いします!
by stbh (2007-08-21 22:16) 

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