Takemitsu/Seasons [室内楽・器楽曲]
武満徹の音楽、もうひとつご紹介します。Towerrecordsの企画で、この録音が昨年、復活しました。
かつてDGから出ていた「ミニアチュール」は武満徹の室内楽を集めた曲集でしたが、長らく入手困難になっていたようです(Towerの受け売り(;^_^A)。中でも聴きものは、4人の打楽器奏者を聴き手の四方に配して演奏する「四季(シーズンズ)」でしょう。もともと大阪万博(「人類の進歩と調和」ですね-私はまだ小学生でした)の「鉄鋼館」で開かれた現代音楽祭のための音楽のようですが、グラフィックな楽譜とインストラクションにしたがって、即興的に演奏するもの(これはCDの解説の受け売り(;^_^A)だそうです。メンバーは当時から有名な打楽器奏者だったツトム・ヤマシタ、ミカエル・ランタ、それに元日フィル主席の佐藤英彦さん(今年の3月に江東フィルの第九でお世話になりました)と、山口保宣(のちに「恭範」と改名)さんの4人です。
こちらは、このCDの全曲に参加している山口さん(と吉原すみれさんご夫妻)が武満や"Seasons"について語った、昨年のインタビューです。曲を聴く前に読むと参考になります。これによると、8月の音楽祭での初演はランタと山口さんの2人バージョンだったようで、いわば「完全初演」がこのCDなのですね。ここに収められている「トゥワード」のもとになる音源は同年3月の録音ということですが、これは「初演」ではないということなのでしょうか。ひょっとすると非公開の録音だったのかもしれません。
"Seasons"は武満徹の初めての打楽器作品なのだそうです。楽譜がどのようになっているかは知らないのですが、かなり即興的要素が強く、例えば、同じメンバーでもういちど録音したとしてもぜんぜん違った音になることでしょう。いわば、作曲家の持つ(示す)イマジネーションと奏者たちのインプロヴィゼイションの融合、というところでしょうか(小難しく言うのは簡単ですけど)。使っている楽器のリストがCDに書いてありますが、フランスの彫刻家、フランソワ・バッシェが鉄鋼館に作った17種類の「楽器彫刻」の一部も使われているということで、どの音がどの楽器か、よくわからないところもあります。なお楽器リストには書かれていませんが、声(誰だろう?)で「カノープス」とか言っているのが聞こえます。
こういう曲は、あまりこまかいことにはこだわらずに、音と静寂の織り成す世界(あるいは宇宙)に、ひたすら身をおいてみればよいのではないでしょうか。打楽器は特にダイナミックレンジが広く、周波数領域も不規則なので、録音を聴くなら、よいシステムで、大音量で楽しみたいものですね。車で大音量でこれを聴いていると、ちょっと危なく見えそうで、我ながらヤバイ感じがします。
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