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Mahler/Rückert [声楽曲(マーラー)]

またマーラーからしばらく離れてしまったので、いちど軽めの曲で戻っておきましょう。

「リュッケルトの詩による歌曲」全5曲は、「子供の不思議な角笛」による2曲(「死んだ鼓手」と「少年鼓手」)とともに、「最近の七つの歌」というタイトルで出版されました。今日聴いた録音、アマゾンには扱いがなかったので、タワーレコードへのリンクです。

R.Strauss: Vier Letzte Lieder; Mahler: Ruckert-Lieder

独唱はハンナ・シュヴァルツ、アバドの旧交響曲全集と並行して録音されたもので、1981年、CSOとのデジタル録音です。もともと第6交響曲とセットで発売されていて、私はこの形で持っています。リンクしたCDには、シュトラウスの名曲「4つの最後の歌」と「6つのオーケストラつき歌曲」も併録されています。こちらの独唱はカリータ・マッティラ、オケはBPOです。

 さて、「リュッケルトの詩による歌曲集」は1901-2年ごろ、すなわち第5交響曲と同時期に書かれた、ということになっているようです。これはちょうどマーラーがアルマと結婚した直後、ということになりますね。第5のフィナーレのコラールを「バッハのように古臭い」とけなしたアルマに、この歌曲集はどう見えたでしょうか?

全部で5曲からなる曲集ですが、出版譜によっても、録音によっても曲順が違います。またこの曲集の特徴は、曲想も、編成も、長さも、よく言えばヴァラエティに富んでいる、悪く言えばバラバラだということです。「角笛」はあれだけ書かれた時期が広がっていますが、基本的にシニカルな色合いで統一されています(もちろん原詩のもつ雰囲気が反映されている部分が大きいのでしょうが)よね。

また脱線しそうになってしまいました…。このCDの曲順に、曲名(音友のピアノ伴奏譜に準拠)、録音時間、オーケストラの編成をご紹介しましょう。

1.ぼくの歌をのぞきこまないで(1'30")1-1-1-1、1-0-0-0、ハープ、VnI-VnII-Va-Vc(全部ミュート)
2.美のゆえに愛するなら(2'13")0-3(うちコーラングレ1)-2-2、2-0-0-0、ハープ、弦五部
3.私はこの世に忘れられ(7'03")0-2(うちコーラングレ1)-2-2、2-0-0-0、ハープ、弦五部
4.ほのかな香りを(2'51")1-1-1-2、3-0-0-0、チェレスタ、ハープ、Vn-Va
5.真夜中に(6'10")2-1(オーボエ・ダモーレ)-2-3(うちコントラファゴット1)、4-2-3-1、ティンパニ、ハープとピアノ(全部ユニゾン)

(オーケストラの編成、数字は木管(フルート-オーボエ-クラリネット-ファゴット、それぞれ特殊楽器を含む)と金管(ホルン-トランペット-トロンボーン-テューバ)の本数です。)

最後にやっと金管・打楽器がそろって劇的に盛り上がる「真夜中に」では弦がおやすみですし、コーラングレとオーボエ・ダモーレと両方必要だったり、チェレスタとピアノが必要だったり(マーラーがオーケストラにピアノを使うのは珍しいです。あとは第8くらい?)、おまけにチェレスタは「チャラリン~」というアルペジオを3回弾くだけだったりと、なかなか不経済な(笑)曲ですが、それだけ、マーラーがいろいろ試してみたかった、とういことなのでしょう。ほぼ同時期に、同じリュッケルトの詩によって書かれた「なき子をしのぶ歌」は、テーマが一貫していることもあってか、曲ごとの編成も時間も大差なく、これほどの寄せ集め感はありません。

オーケストラの人数から見てもわかるように、ほとんどの曲はいわゆる「マーラー!」というイメージの大音響にはほど遠く、ウェーベルンを先取りしたような、絞り込んで切り詰めた音楽になっています。雰囲気としては第7交響曲の2つの「夜曲」が最も近いですが、もっと凝縮された感じがします。わかりにくいですね…(汗 とにかく聴いてください(大汗

最後に、楽譜のリンクをつけておきましょう。いずれも「七つの歌」の形で収録されています。音の量は楽譜の長さにも現れていて、「七つの歌」は約100ページあるのですが、「リュッケルト」の5曲はそのうち40ページに過ぎません。これでは確かに、この5曲だけで出版するのは難しいかも。なお音友版は品切れのようですので、店頭で見つけたら即ゲットをお勧めします(笑)

OGTー1253 マーラー 7つの歌

OGTー1253 マーラー 7つの歌

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 1998/12/10
  • メディア: 楽譜

The Ruckert Lieder and Other Orchestral Songs in Full Score

The Ruckert Lieder and Other Orchestral Songs in Full Score

  • 作者: Gustav Mahler
  • 出版社/メーカー: Dover Pubns
  • 発売日: 2003/02/27
  • メディア: ペーパーバック

あれ!?ドーヴァー版、内容を確認しようと思ってDoverのサイトに行ったのですが、見つかりませんでした。ひょっとしたらこちらも入手困難になっているのかもしれません。


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おさかな♪

今、宿で裁縫をしながらマーラーの番組をラジオで聴いてます!
とても天気の良い日曜日です^^。
by おさかな♪ (2007-06-17 22:11) 

stbh

> 裁縫をしながらマーラー

どんな絢爛豪華なものが出来上がるんでしょうか?(^o^;
クラシックが溶け込んでる日常、いいですね!毎日を満喫しているご様子、目に浮かぶようです~。
こちらも今日(6/17)の日曜日はよい天気でした。
by stbh (2007-06-17 22:44) 

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