Shostakovich/Sym10 [交響曲(独墺以外)]
有名な録音なので今さらという感がありますが、これはお勧めしないわけに行かないです。
- アーティスト: レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団, ショスタコーヴィチ, ムラビンスキー(エフゲニ)
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 1997/03/21
- メディア: CD
通称「タコじゅう」、この曲を1953年に初演した、ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルの1976年ライヴ録音です。
実は、きのう(6/13)の朝、FMで聴きました。残念ながら第1楽章の途中からになってしまったのですが、ラジオをつけた直後から、ただならぬ緊張感に耳をそばだてて聴いていました。この暗いはずの楽章の、ワルツのような躍動感は何だろう!?こんなに生き生きとした第1楽章ははじめてだ。
第2楽章は予想通り「暴走列車」を思わせる快速運転。アンサンブルの乱れは時としてあるが、気にしない、気にしない。この楽章、勢いだけでは物足りないが、勢いが無ければ何にもならない。続く第3楽章も出だしは早いですが、よくよくスコアを見れば、この楽章もアレグレットだったんだ、ということに気がつきます。しかし、山の呼び声のようなホルンのひとくさりからテンポはガクッと落ち、強烈な対比を作っています。
構成的にこの交響曲の最大の弱点といわれる第4楽章、クラリネットで第1主題が出てくるまでの序奏が長く、緊張感を持たせるのが難しいですが、ここでのレニングラード・フィルのトップたちは、しみじみと聞かせているのに引き締まった演奏を聞かせてくれます。主部に入ればあとはもう猛進あるのみ、最後までアンサンブルの力が落ちないのはさすがです。
この曲、実は全体にオーケストレーションが単純で薄いのです。精度のよいアンサンブルでこれだけデッドな音だと、それが(特に終楽章など)ばればれになってしまうのですが、それでもこの高揚感の魅力には抗えないですね。
私の愛聴盤は以前ご紹介したカラヤンの新盤で、ティンパニのボーンヘッドを除けば美しい名盤だと思いますが、ここでムラヴィンスキー盤と優劣の話をするのは野暮というか愚かなことでしょう。音楽へのアプローチのしかたは無限に存在し、それぞれについて、演奏者の意図が浸透しているか、音楽として聞こえてくるか、が問題なのですよね。カラヤンもムラヴィンスキーも大指揮者であり、それぞれのアプローチが音となって明快に見えていることに違いはありません。
ムラビンスキーのコンサートに2回行きました。
by サンフランシスコ人 (2008-12-31 04:17)
ムラヴィンスキーの実演!それも2回も!さすがですねえ。うらやましい限りです。
by stbh (2009-01-03 15:44)