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Orphee [室内楽・器楽曲]

別の曲を探していたんですが、こんな珍しいテープが出てきたので、つい聴いてしまいました。

織笛(Orphee)
1. ドヴォルザーク/スラブ舞曲Op.72-1
2. モンティー/チャルダーシュ
3. バルトーク/トランシルバニアの夕べ
4. モーツァルト/トルコ行進曲
5. ラヴェル/ボレロ

全部で約25分、スタジオライヴかもしれません。録音日時もわかりませんが、80年代後半かな?メンバーは全部で6人、宮井順子(Pf)、一戸敦(Fl)、山本安洋(Ob)、磯部周平(Cl)、冨成裕一(Hr)、大滝雄久(Fg)という面々です。中心は、N響主席の磯部さんで、3、4、5の編曲もしています(1と2の編曲は大滝さん)。ピアノは、例えば下のCDでは別の方になっているので、メンバー・チェンジがあったようですが、いずれにしてもピアノと木管五重奏のアンサンブルです。

1、2は舞曲系のにぎやかな楽しい曲、3は緩徐楽章のような緩やかな調べ、と、このあたりまでは通常のアレンジ。「ああ、木管アンサンブルも楽しいね」という感じです。これに対して4、5は皆様ご存知の大有名曲ですが、ただ演奏するだけではつまらない、ということか、いろいろ仕掛けがあります。4はピアノ曲なので、ピアノだけで始まって木管が絡みだすとちょっとうるさい感じがしますが、原曲にはない対旋律や装飾的な音が入っていて、楽しめます。5は、この曲がいかようにもアレンジできる事を示す好例。出だしはピアノとスネア(磯部さん?)にフルートが入って、ほぼ原曲どおりなのですが、ソロが一巡したあたりから和声が変わったり、フレーズを一部伸ばしたり。ファゴットの「春の祭典」の冒頭は、ボレロの旋律と「ドーーシド」までが同じなので、いわば想定の範囲内(笑)ですが、いきなり「ダフニスとクロエ第2組曲」の「夜明け」が鳴り出したときは、さすがにびっくりしました。

私は天邪鬼なせいか編曲ものが好きで、お座興にもならない程度ですが、自分でもいくつかやったことがあります。木管楽器というのは、小編成で音色の変化を追求しようとしたとき重宝です。例えばオーケストラ曲をアンサンブルに編曲しようとするとき、弦や金管のアンサンブルよりも木管のほうが音色の変化が圧倒的につけやすく、アレンジのイメージが湧きやすいです。問題はブレスと音の少なさ(ひとり当たり1音しか出せない)-まあこれは金管も同じですが。しかしここにピアノが加わると、パーカッシヴな(アタックの強い、減衰する)音が出せるようになり、かつ音の数が増えるので、かなり自由な表現が可能になります。「もうひとりのティル・オイレンシュピーゲル」という、リヒャルト・シュトラウスの交響詩の室内楽版も、木管五重奏に弦3人くらいの編成ではなかったでしょうか。

ここでも、音色の変化-各楽器の高低での音色差、ホルンのゲシュトップなども含めて-の多彩さを楽しめる、楽しいアレンジになっています。「管楽アンサンブル」というと、「友人が吹くから」くらいの理由じゃないと行かない人も多いかと思います(恥ずかしながら、私はそうでした)が、ぜひ機会を見つけて、「プロの技」を聴かれることをお勧めしたいなあ、と、この録音を聴いて思いました。

織笛のCDは、たとえばこんなのがあります。残念ながら大手ショップでは扱っていないようでした。
http://raymondacd.uf.shopserve.jp/SHOP/F100602.html

追記:こちらの「Essay-10」に、織笛メンバーのファゴット奏者大滝さんに楽譜を借りた方のエピソードがあります。「編曲は軽く見られる」「編曲をした曲は非常に愛着がわく」といったくだりは、本当にそうだと思いました。
http://marine.pi.cuc.ac.jp/jie/Report/Essay.html


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