Mahler/Sym7 [交響曲(マーラー)]
今回のマーラー・シリーズは順不同で取り上げているので、何について書いたか忘れてしまいそうです。交響曲第7番は、往年のこの名演で。
- アーティスト: Gustav Mahler, Claudio Abbado, Chicago Symphony Orchestra
- 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
- 発売日: 1995/03/14
- メディア: CD
シカゴ交響楽団を中心にした旧全集の中でも、評判の高かった1枚(むろん、初出のLPは2枚でしたが)だと思います。
以前書いたように、私はこの曲をマーラーの中でも比較的早く聴き始めていて、大好きでした。就職してしばらくしてからアマオケでこの曲をやることになり、もちろん喜び勇んでティンパニを受け持ったのですが、実は本番で大失敗をやらかして、その後、数年は聴くこともできませんでした。終楽章で特に後半、音替えがガシガシあるのですが、そのうち1箇所をしくじって、ごっそり落ちてしまったのです。練習不足だった(全奏への参加回数も少なかった)ので、仲間からもかなり批判を受け、落ち込みました。結局その後数年、ほそぼそとやっただけでオーケストラは長期引退に入ります。思えば、ネガティヴな意味で運命的な1曲なのかもしれません。
さて、第7番は、マーラーの交響曲がほぼ全曲、人口に膾炙した現在に至っても、なかなかアマチュアで(プロでもそんなに)演奏する機会はありません。第4楽章のギターやマンドリン、第1楽章のテナー・ホルンなど特殊な楽器が必要ですし、何よりも、長くて難しいのが、大きな壁でしょう。
私がクラシックを聞き始めたころは、この重厚長大な曲を、例えばバーンスタインは主観的、情念的に、クーベリックは自然に、雑然とした印象のままに、ショルティは勢いをつけて豪快に、と、かなり個性的なアプローチがされていました。そこへ出てきたのがこのアバド/シカゴ盤で、非常に整理された(録音も悪くないと思います)音と、特に両端楽章での明快なアプローチ-具体的には、あまりテンポを変えない(リタルダンド、アッチェレランドを濫用しない)、同じ曲想のところは同じテンポで、楽譜に指示されたとおりのダイナミクスをできるだけ守って、など-が新鮮で、かなり話題になりました。相前後してレヴァインやインバルの全集録音も進行しており、いわゆる「新しいマーラー像」のさきがけとなった録音だと思います。
長大な両端楽章をすっきりとまとめあげているのに比べ、2曲の夜曲(第2、第4楽章)はゆったりとテンポをとり、情緒たっぷりに演奏されます。第3楽章もテンポは速めですが、グリッサンドを強調したり、おどろおどろしい雰囲気が出ており、楽しめます。アバドはBPOと全集を再録音しており、どの曲もいっそうすっきりとした演奏になっていますが、個人的には、これら壮年期の諸録音のほうが好きです。
この曲は、ホルンが4本だったり、第2、4楽章は編成をかなりしぼっていて、マーラーのオーケストレーションが整理され、縮小の方向に向かっているのがわかります。楽譜があると、どこでどんな音がなっているのか、録音だけでは聴ききれないところもわかります。
ちょっと高いな…というかたは、Doverのスコアがあります。大きくて見やすく(持ち運びは不便ですが)、少し安いです。
Mahler: Symphony No. 7 in Full Score
- 作者: Gustav Mahler
- 出版社/メーカー: Dover Pubns
- 発売日: 1992/12
- メディア: ペーパーバック
第1-6、8、9交響曲は、Doverからミニチュア・スコアが出ていて1000円台で買えるのですが、第7だけ無いようです。やはり、人気が無いのですかね。
先日、こちらのクラッシックラジオ番組で、ケントナガノさんのモントリオール響
マーラー7番を聴きました。やっぱりマーラー7番、良いなぁ〜って思いました!
ちなみに私も、第九の2楽章でとても緊張した思い出があるので、
聴くと落ち着かないです。
by おさかな♪ (2007-05-31 05:49)
第九の第2楽章、難しいですよね(;^_^A
自分が演奏する曲は、練習がはじまるとだんだん聴かなくなり、演奏会のあとしばらくは「おなかいっぱい」状態になります。今年の3月に「第九」をやったのですが、それ以来、1度も聴いていません(^^;
by stbh (2007-05-31 07:21)
こんばんは。
アバド/シカゴの7番はときどき取り出して聴きます。この曲もCDでは1枚ものが多くなったことで、聴く機会が増えました。といっても別に最近のことではありませんけれども…。
あとインバル盤も気に入ってマス。
by 吉田 (2007-05-31 21:56)
この曲はダイナミクスの差が激しいので、やはりよい録音で聴きたいです。インバル盤はそういう意味でも、また明快な解釈という意味でも、名盤だと思います。第7のCDもいろいろ出てきて、選択肢が非常に広がりましたね。
by stbh (2007-05-31 23:24)
stbhさん、おはようございます。
TBを有り難うございました。
アバドの若い頃のマーラーはエエですね。シカゴやウィーンとやったマーラーは、しなやかで瑞々しく、新鮮な歌心にあふれた名演と思います。
シカゴ響が、ショルティの時とは違った柔らかい表情を見せてくれるのもイイです。
by mozart1889 (2007-07-07 06:00)
mozart1889さん、こちらこそありがとうございます。アバドの旧録音、どれもよく聴きます。そのむかし、第7はショルティ=シカゴが代表盤にあげられていましたが、この一連の録音で「シカゴのマーラー」のイメージはショルティからアバドに移ってしまいましたね。
by stbh (2007-07-07 11:00)
今週、シカゴ交響楽団の指揮者はナガノです。
http://www.suntimes.com/entertainment/music/classical/916627,CST-FTR-cso26.article
by サンフランシスコ人 (2008-04-27 08:40)
シカゴも振るのですか。さすが売れっ子ですね。
by stbh (2008-04-30 15:37)
ムーティ=シカゴになりましたね。
http://www.cso.org/main.taf?p=17,11
by サンフランシスコ人 (2008-05-07 01:51)
ムーティ、楽しみですね。現在のハイティンクは主席で、音楽監督ではなかったのですね。
by stbh (2008-05-09 00:08)
ムーティのシカゴ響での演奏会は、来年までないですが.....
"He is scheduled to visit Chicago on June 2 to meet members of the extended CSO family in celebration of his appointment."
来月シカゴで記者会見があるはずです。
by サンフランシスコ人 (2008-05-14 06:29)
ムーティはこれまでどれだけCSOを振っているのでしょう。
by stbh (2008-05-14 22:59)
シカゴ響/ムーティのこれまでの演奏会
http://www.cso.org/res/pdf/press/Press_muti_hist.pdf
by サンフランシスコ人 (2008-05-15 01:23)