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Puccini/Turandot3a [オペラ]

さて、いよいよ第3幕、アリア「誰も寝てはならぬ」を含む部分になります。今回はパヴァロッティに敬意を表してこの録音を。

プッチーニ:歌劇「トゥーランド

プッチーニ:歌劇「トゥーランド

  • アーティスト: パヴァロッティ(ルチアーノ), メータ(ズービン), ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団, サザーランド(ジョーン), カバリエ(モンセラ), ギャウロフ(ニコライ), ポーリ(ピエル・フランチェスコ), クラウセ(トム), ピアーズ(ピーター), パルマ(ピエロ・デ)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 1992/07/01
  • メディア: CD

上の全曲盤はアマゾンでは「在庫切れ」だそうですが、CD店で見たことあります(^^; 抜粋盤もあるけれども、やはり全曲聴いていただきたい…

プッチーニ:トゥーランドット ハイライト

プッチーニ:トゥーランドット ハイライト

  • アーティスト: メータ(ズービン), サザーランド(ジョーン), パヴァロッティ(ルチアーノ), カバリエ(モンセラート), ギャウロフ(ニコライ), ジョン・オールディス合唱団, ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団, プッチーニ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2006/05/10
  • メディア: CD

と思っていたら、輸入盤は全曲盤がありました。上の抜粋盤は、ジャケットを踏襲しているのですね。

Puccini: Turandot

Puccini: Turandot

  • アーティスト: Giacomo Puccini, Zubin Mehta, London Philharmonic Orchestra, Joan Sutherland, Luciano Pavarotti, Montserrat Caballé, Nicolai Ghiaurov, Peter Pears, Pier Francesco Poli, Piero de Palma
  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD

1972年ですから、もう30年以上前の録音です。メータがもっとも脂が乗っていた70年代前半、これはロンドンでの録音になっています。パヴァロッティもまだまだ若々しい、張りのある声を聞かせてくれます。

タイトル・ロールはサザーランドです。私がこの人の録音を初めて聴いたのは、シュミット=イッセルシュテットの「第九」だったと思います。なんかやたらヴィブラートがかかっていて、こういう人(歌い方)が上手というのだろうか?という印象というか疑問を持ってしまった覚えがあります。残念ながら、その印象はこれを聴いてもあまり変わりません。ついでに言えば、カバリエもちょっと貫禄ありすぎで、繊細ではかなげなリューのイメージとはちょっと合わない。よって、(強引ですが)この録音はやはりパヴァロッティを聴くものなのだ、という結論に至りました。

さて、第1幕、第2幕が衝撃的に始まったのに対し、6/8拍子のアンダンテで真夜中の北京市街を描写します。この冒頭の和音は、実は第1幕の最初に連続してたたきつけられる和音と同じ、ニ短調DFAと嬰ハ長調C#FG#が重なったものです。舞台(場所)が同じであることをこれで表わしているのかもしれませんね。兵士達がトゥーランドットのお触れを告げ、群衆が復唱する(1回目と3回目が「誰も寝てはならぬ!」"Nessun dorma!"です)のを受け、王子が「誰も寝てはならぬ」のアリアを歌い始めます。

もともと有名なアリアではありましたが、オリンピックで一気にブレイクしてしまいました。この曲の題名が「トゥーランドット」だと思っている人もいるようです。「トゥーランドット」がオペラなんだ、ということを知った人も、これを聴いてプッチーニに目覚めた人もいるのではないでしょうか。それはそれで、クラシックファン(「にわか」でも)を増やすことになって、何となくうれしい気持ちになります。

アリアが終わると、3大臣が現れ、美女や宝物で王子の心変わりを促しますが、王子は全く動じません。このシーン、美女達が王子を誘惑するのですが、あっさりしていて、プッチーニはこんなところの描写にはあまり力をかけていないのがよくわかります。そうこうしているうちに、捕らえられたティムールとリューが連れて来られ、トゥーランドットが王子の名前を聞き出そうとします。

「私だけが彼の名前を知っています。しかし私は言いません」というリューに、トゥーランドットも群集も激高してリューを拷問にかけますが、それでもリューは口を割りません。その強い意思の理由を尋ねるトゥーランドットに、「それは愛でございます」と彼女は答え、ついには近くにいた兵士の剣をとって自害してしまいます。王子もティムールも、「リュー、死なないでくれ!」と駆け寄りますが、リューは息を引き取り、運ばれていってしまいます。怒りがいつの間にか悲しみに変わっていた群集も、いなくなってしまいます。

ここまでがプッチーニが完成した「オリジナル」の部分です。リューが死んでゆく場面とはいえ、クライマックスなど合唱も加わってかなり大きい音が出ているのですが、それでもきちんと歌が聞こえ、悲しみのうちにアンチ・クライマックスを迎える作曲術は、さすがにツボを心得ているというか、プッチーニが死の間際に残した、文字通り最後の傑作です。

第2幕のときにはカラヤン盤(ドミンゴ)を、ここでパヴァロッティを取り上げました。私が持っていなかったので今回落としてしまいましたが、「3大テナー」の残るひとり、ホセ・カレーラスがカラフを歌った録音ももちろんあります。

プッチーニ : 歌劇「トゥーランドット」(全曲)

プッチーニ : 歌劇「トゥーランドット」(全曲)

  • アーティスト: カレーラス(ホセ), ウィーン国立歌劇場合唱団, ウィーン少年合唱団, マルトン(エバ), リッチャレッリ(カーティア), ボガート(ジョン・ポール), ライドル(クルト), カーンズ(ロバート), ビルトハーバー(ヘルムート), クメント(ワルデマール)
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1998/07/18
  • メディア: CD

タイトル・ロールはエヴァ・マルトン、そしてリッチャレッリがリューを歌っています。1983年の録音がいまだこの価格で売られているというのはちょっと驚きですが、まあそれだけの価値があるということでしょうか?ちなみにタワレコやHMVでは、同じ録音の輸入廉価盤(レーベル違い)が売られています。演出は当時、物議をかもしたそうですが、シュターツオーパーでのライヴですから、少なくとも録音で聴く限りは、(推測ですが)楽しめるのではないでしょうか?

さて、今回の練習風景はクロマティック・ゴング(チャイニーズ・ゴング、音程つき中国銅鑼gongs cinesi)を。建築現場の足場のような枠に、手書きの模様のついた大小さまざまのドラがぶら下がっています。写真ではわかりにくいかもしれませんが中央が半球形に盛り上がって(叩き出されて)おり、そこをたたくと音程がよくわかります。トゥーランドットで使うのは全部で12枚、ほぼ1オクターブです。楽器のケースには「マダム・バタフライ・セット」と書いてありました(前にも書いたように、「蝶々夫人」でgongs giapponese(つづりは不正確です。ごめんなさい)として使われています)。

鍵盤のように半音階にあわせて並べるのが標準的なようですが、今回は全部同時に届くようにはおけそうにない(場所が狭い)ので、不規則な順番でつるして使います。いろいろと試行錯誤が必要で、この写真も今回限りの練習用のセッティング。ほとんどの人がこの楽器を見るのは初めてでしょう。写真もけっこう撮られていたから、いまごろはすでにいくつかのHPやブログに出ているかも。


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コメント 3

おさかな♪

トゥーランドットのジャケットって、
頑張って中国風にしてます!っていう感じが面白いですよね・・・(笑)
by おさかな♪ (2006-08-22 22:55) 

stbh

ジャケットで多いのはトゥーランドット、獅子、建物などのようですが、中には国籍不明の衣装(中東風?)や東南アジア風の建物など、「勘違い系」もけっこうあります(特に古い録音)。中国人が嫌ってなかなか中国で演奏されなかった(「紫禁城DVD」が最初)、というのも、むべなるかな。勘違いは、まあ目くじら立てずにそれなりに楽しめばよいのではないでしょうか。
おさかな♪さんはオペラをいろいろ楽しまれていますね。トゥーランドットもちょっとハデハデですがゴージャスで面白いです。ぜひお試しください。
by stbh (2006-08-23 08:01) 

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